K・アルヴテーゲン 『影』2009/12/04

ムーア監督、予想どおりテレビに出てましたね。昨日の7時半のNHKで彼を見ました。まさか「笑っていいとも」になんか出ませんよね。

今日はお茶の水に行ってきましたが、イチョウがきれいでした。


新しい携帯のカメラで撮ったのですが、薄暗闇ではあまりよく撮れないです。
神宮外苑のイチョウは見頃でしょうね。明日にでも行ってみようかしら。

K・アルヴテーゲンの小説を初めて読みましたが、おもしろくて最後まで一気に読んでしまいました。
彼女は1965年生まれのスウェーデンの作家です。
人間の中に潜む”弱さ”や”醜さ”を的確な描写力で書いています。

 
ノーベル賞作家アクセル・ラグナーフェルトの息子ヤン=エリックは、父親が脳疾患で全身麻痺になっているのをいいことに、彼の本の契約金で家族経営の会社を作り、その経営者になり、父親の代わりに講演をしていました。
彼は講演をするときに、講演を聞きに来た一人の女性に目をつけ、浮気を繰り返していました。
彼の家庭は崩壊しており、長い間、妻とはろくに会話もせず、肉体的接触もしていませんでした。

ある日、自治体の管財人であるマリアンが電話をしてきて、彼の家で家政婦をしていたイェルダ・パアションが死んだと告げ、葬儀のために彼女の生前の写真が欲しいと言います。
イェルダの写真を探してみるとヤン=エリックは約束します。

父親が入院してから誰も住んでいない家で、父親の書斎を調べ始めたヤン=エリックは、彼がアメリカにいた時に事故で死んだと言われていた妹アニカの死因が書かれた警察の報告書を見つけます。
そこには首吊りによる自殺と書かれていました。
何故アニカは死んだのでしょうか?
ここからラグナーフェルト家の恐ろしい秘密が暴かれていきます。
 
売れない脚本家のクリストファー・サンデブロムも管財人のマリアンから電話をもらいます。彼がイェルダの遺産相続人だと言うのです。
クリストファーには人に言っていない過去がありました。
彼は捨て子だったのです。
自分の親のことを知ることができると喜ぶクリストファーでしたが・・・。

言ってしまえば、スウェーデン版、「家政婦は見た!」ですかね。

ノーベル賞作家はスウェーデンでは国民的英雄なのですね。
名士の仲間入りをし、家名を傷つけることがないように振舞うことを期待されるのです。
社会的名声という美酒に酔うと、人間はどこまで堕ちることができるのかということを考えずにはいられません。
すばらしい芸術家が道徳的に尊敬できるとは限らないというのが世の常識ですが。

k・アルヴテーゲンの本をもっと読みたくなりました。

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