乃南アサ 『いつか陽のあたる場所で』2010/03/04


 設定が谷根千なので買ってみた本です。ミステリーかと思ったのですが、全然違っていました。どちらかというとコメディタッチです。
 後ろめたい過去のある二人の女性が、どうやって世間になじんでいくのかを描いた小説です。
 後ろめたい過去は・・・というと、ムショ暮らしです。
 だから、題名は、いつかまっとうな顔で、世間に顔向けできるようになりたいという願望を表しています。



 29歳の小森芭子は、大学時代にホストに惚れて、入れ込んでしまいます。ホストに会うためにお金がないので、伝言ダイヤルで出会った男をホテルに誘い、睡眠薬を飲ませて眠らせ、お金を盗んだのです。
 罪名は昏睡強盗罪。懲役7年。
 41歳の江口綾香は、DV夫から子供を守るため、夫を殺して、懲役5年。
 刑務所から出たら、元受刑者同士は絶対に付き合ってはいけないと何度も言われてはいたのですが、この2人、気が合ったのか、同じ町に住みつきました。
 ちょっと能天気なところのある綾香に戸惑いながらも、まじめな芭子はその脳天気なところに救われています。
 罪を犯した人のすべてが悪い人ばかりではなく、その時のどうしようもない状況から罪を犯してしまった人もいると、頭ではわかっていても、側に住んでいると心配になるでしょうね。そういう人と付き合えるかと言われると・・・無理かもしれません。
 罪は償えるものなのでしょうか?
 一生償い続け、幸せになってはいけないとは言えません。
 でも、自分の愛する人が犠牲になっていたら・・・。
 色々と考えると、結論が出なくなります。
 シリーズ物らしいので、これから芭子と綾香がどうなっていくのでしょうか。せめて本の中だけでもいいから、幸せになってもらいたいですね。
 どうも下町の谷根千は、人のことに興味津々の人たちがすんでいるようです。ここが、あの場所かと思いながら読むのも一興です。