『パウル・クレー おわらないアトリエ』展@東京国立近代美術館2011/06/25

京都に行った時に見られなかった『パウル・クレー』展を見てきました。
普通は東京から地方へと展覧会が巡回すると思うのですが、この展覧会は京都からやってきました。京都で見られなくても、東京でちゃんと見ることができたということで、私はラッキーなのだわと、一人で納得しています。


クレーはスイス人で、両親ともに音楽を生業にしていたといいます。彼もヴァイオリンを弾き、プロ級の腕前だったそうです。しかし、彼は音楽よりも美術を取りました。画家になってからもヴァイオリンは弾いていたようです。奥さんはピアニストだそうで、音楽が好きなんですね。(彼の絵に音楽的なものがあるのかもしれませんね)
結婚と共に当時の芸術の都ミュンヘンに行き、ワシリー・ガンディンスキーらとともに青騎士グループを結成し、バウハウスで教鞭をとったようです。
第二次大戦中にドイツからスイスに亡命しますが、亡命後の生活や創作活動はあまり恵まれたものにはならなかったようです。

<現在/進行形|アトリエの中の作品たち>
この展覧会には彼自らが撮ったアトリエの写真が飾られ、その中に写りこんでいる絵を展示しています。よく探したものだと感心しました。アトリエも1つではなく、5つの町に一つずつあります。一度に5つあったわけではなく、転々としたのでしょうね。

<プロセス1|写して/塗って/写して| 油彩転写の作品>
「油彩転写」というのがどういうのか今ひとつ理解できませんでした。パンフレットによると、「鉛筆やインクで描いた素描を、黒い油絵具を塗った髪の上に置き、描線を針でなぞって転写した後、水彩絵の具で着彩するという技法」だそうです。
だからペン画と一緒に油彩転写で水彩を使った絵が飾られていたのですか・・・。

そうそう、私の思い込みのひとつは、クレーの絵は油絵だと思っていたのです。ところが、油彩はあまり使われていなく、水彩が多いのです。それに厚紙に描いているのです。キャンパスは嫌いだったのでしょうかね。厚紙に水彩ってどうなんでしょう。見てみると、全然滲んでいません。あまり水をつけずに描いていたのでしょうか。
糊絵の具を使っている絵もあります。糊絵の具ってどんなのでしょうか?

<プロセス2|切って/回して/貼って|切断・再構成の作品>
クレーの不思議なところは、絵を切断して、上下を反転したり、左右を入れ替えたりして絵を作ることです。


この絵が再構成されたものだそうです。どこをどう動かしたのかしら?

<プロセス3|切って/分けて/回して/貼って|切断・再構成の作品>
クレーは1枚の絵を切って、別々の絵にすることがあったそうです。
これって一枚の絵からいくつも絵ができて、結構画家にとっては金儲けになっていいんじゃないでしょうか。だって切断すると一枚が二枚に、三枚に、四枚にと増えていくんですよ。
どういう風にひとつになっているか、写真があるのでよくわかりました。



どうやってこの2つが同じ絵だったとわかったのでしょうか?色の使い方が同じですから、気づいたのでしょうか?
描いたクレーもこの色がいいからついでに描いちゃって、ここで切ろうかとか思っていたのでしょうか?

クレーの絵は色がとってもきれいに使われています。彼には天性の色の感覚があったのでしょうね。この色の隣にどの色を置くとその色が生きるか、このことを知っていたのです。

<プロセス4|おもて/うら/おもて|両面の作品>
絵を切断する他に、何故か裏にも絵を描いています。裏の絵はうまくいかなかったから、紙がもったいないから描いたかと思ったら違うんですね。


               <花ひらく木>

この絵は国立近代美術館所蔵です。この絵の後に同じような<花ひらいて>が描かれたようです。

               <花ひらいて>

この絵の裏にはこんなわけのわからない絵が描いてあります。


何か意味があるんでしょうか?色は綺麗ですが、袋に虫がウヨウヨ・・・みたいなような・・・。

おもての絵に題名が書かれていて、裏の絵にはないことがあります。
会場では裏の絵の方がいいわという声も聞こえていました。

<過去/進行形|”特別クラス”の作品たち>
”特別クラス”とは非売品の絵なんです。
「試金石的ないし模範的作品」や「次の新たな作品を生み出す起爆材となった作品」だそうです。

プロセス1~4まで、どのように見たらいいのか、ちょっと迷ってしまいました。もっと見やすくしてもよかったのではないでしょうか。


ランチに学士会館まで行きました。レトロな雰囲気の建物です。中華料理のレストランに入りましたら、結構混んでいて、お年のめした方々がたくさんいました。


珈琲を飲みたくなったので、古瀬戸珈琲に入りました。何年ぶりでしょうか。昔はコーヒーが千円ぐらいし、カップを選べたのですが、今はカウンターに座った人しかカップを選べないそうです。コーヒーの値段も550円と安くなっています。ドトールやスターバックスなどが流行っていますから、昔のような値段では人が入らなくなったのでしょうか。それでも私が入った時はテーブル席が埋まっていました。
不思議の国のアリスの陶器がたくさんあります。好きな人は眺めにいってはどうでしょうか。
これまたレトロな喫茶店です。