ABT 『ロミオとジュリエット」2011/07/27

どんな『ロミオとジュリエット」なのか、期待しながら上野に行ってきました。
火曜日だからか、会場の入りも今一つのようです。

来年のボリショイのチケットが売っていたので、列に並び『スパルタカス』を買いました。
私って相変わらずの勘違いをしていました。なんで『スパルタカス』なのに、190㎝以上も背のある人がでないで、ワシーリエフかしらと思っていたのです。
そう、レニングラード国立バレエとボリショイをごっちゃにしていたんですね。
(ちなみに190㎝以上ある方はマラト・シェミウノフです)
そうそう、レニングラード国立バレエの公演もアップされていますが、私はパスします。『白鳥』と『海賊』で、またまた例のお方が出てます。叔母様方に人気があるからかしら。芸術監督が変わったはずでは?私的にはレニングラードの『スパルタカス』を見てみたかったわ。
シェスタコワ(産休らしい)もボリショイのザハロワ(産休明けのはず)も来日しないようです。


7月26日(火)6時半開演
振付 : ケネス・マクミラン
音楽 : セルゲイ・プロコフィエフ
原作 : ウィリアム・シェイクスピア
台本 : セルゲイ・プロコフィエフ/セルゲイ・ラドロフ
装置・衣裳 : ニコラス・ジョージアディス
照明 : トマス・スケルトン
指揮 : オームズビー・ウイルキンズ
管弦楽 : 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団


≪キャスト≫
ロミオ : マルセロ・ゴメス
ジュリエット : ジュリー・ケント
マキューシオ(ロミオの友人) : クレイグ・サルステイン
ティボルト(キャピュレット卿夫人の甥) : ゲンナディ・サヴェリエフ
ヴェンヴォーリオ(ロミオの友人) : ダニール・シムキン
パリス(ジュリエットの婚約者) : アレクサンドル・ハムーディ
キャピュレット卿夫人 : ステラ・アブレラ
キャピュレット卿 : ヴィクター・バービー
ヴェローナの大公 : クリントン・ラケット
ロザライン  ルシアナ・パリス
ジュリエットの乳母 : スーザン・ジョーンズ
ローレンス神父  クリントン・ラケット

まず、残念なことから。
オーケストラが・・・。新国立劇場のオーケストラは私にはわかるようなミスはしていないし、すばらしい演奏だったと思います。ところが、今回は・・・。

座席は前に座ったのがお子さんだったので、近年にないベストな席でした。私のひとつ置いて左の女性は前に座った女性が結構座高の高い方だったので、前のめりになって見ていました。さぞ後ろの方が大変だったことでしょうね。

前にも書きましたが、ABTってコールドがあまりそろわないのですね。
迫力的にいうと新国立の方があったと思います。三人の娼婦やマンドリンの踊りなんか見がいがあったもの。体型とか見た目とかは不利でも、全体の踊りを見ていると、頑張っているなと思いましたから。
なんなんでしょう。ABTはロミオとジュリエットの二人以外はあっさり系?あまり印象に残りません。

今回の三馬鹿トリオのシムキン君、童顔なので、ロミオの友人には若すぎ?
三人の踊りがそろわなくて、シムキン君は初めてヴェンヴォーリオを踊るのでしょうか。ワンテンポ遅れていたような、踊りがまだ身についていないというか・・・。バレエ初心者の私にはそう見えました。
マキューシオの死に方はダンサーによって色々と演技が変わります。サルステインは刺された苦痛に悶えながらの死に方でした。ようするに大げさな演技のない死に方と言えばいいんでしょうか。彼の踊りは好きです。

今回のお気に入りキャストは、2人います。(『スペシャル・ドン・キホーテ』ではキューピットのサラ・レインでした)
乳母の女性がポチャポチャしていて(もちろん何か詰めてますよ)愛情深そうな感じがよかったです。
パリスは前に見たように非情な感じではなくて、育ちのいい温厚そうな感じです。が、怒りを観客に背中を見せ、背中に語らせていました。足と胴体が同じ長さ。スタイルいい・・・。

ロミオのゴメスは娼婦ともあまりベタベタしない、誠実な好青年でした。(新国立のマトヴィエンコはずいぶんイチャイチャしてたなぁ)
踊りもしっかりしていて、好印象でした。力持ちなんでしょうか、リフトが完璧。『ドン・キホーテ』には出ないはずだったのに、コレーラが出られなくなったので、バジルを踊ったとか。見たかったです。

舞踏会の場面で初めてロミオとジュリエットは会いますが、偶然にぶつかって意識し合うというのではなくて、ABT版はロミオが始めにジュリエットに気づき、ジーと見ているというものです。

ジュリエットのケントは何回もジュリエットをやっているようです。
ダンサーによって踊り方が変わるのですね。マクミランの同じ振付を踊っているのかしらと思ってしまいました。どういう言い方がピッタリくるのかわかりませんが、ケントはスーと流れるように踊っていました。
ゴメスより随分年齢的に上なのでしょうが、全然そうは見えなくて、おっとりした内気な、それでいて芯は強そうなジュリエットです。
ロミオが寝室から出て行って、ベッドに腰掛けるという場面ではグッと手を握り締めていました。



最期の墓場で胸を刺した後に(ジュリエットは何故ロミオの側にいってから刺さないのかが私の疑問なのですが)、ロミオの側までいき、最後の力を振り絞り(ちょっと力ありすぎと突っ込みたくなりましたが)ロミオを引っ張り口づけをするという、今までとは違う演技をしてくれました。
踊りとして満足まではいかないような。何が足りないのか、私の中では言葉にできません。
最期の場面では、私の隣の右隣の女性が泣いていました。(一幕では左隣りの女性が寝てましたが)

バレエを極められるほどの時間的、金銭的余裕がありませんが、来日するバレエ団の『ロミオとジュリエット』だけでも見続けるとおもしろいかもしれませんね。

次は『クロージング・ガラ』です。『オープニング・ガラ』はたいしたハプニングもなく、サラッと終わってしまったので、最後ですからパーと派手なことをしてくれないかしら。ショービズのアメリカですから。