「ハリー・ポッターと死の秘宝 Part 2」を観る2011/08/01

ハリー・ポッター・シリーズの最後を見てきました。

三人が大人になっちゃって・・・。
ラドクリフは背が伸びなかったのね。意外と足が短いです。
おしゃれなエマはどんな女優になるのか、楽しみです。
ルパートは、ごめん、あまり興味がないや。個性派俳優志望かな。


映画はパート1とは全く趣が違い、ハリーたちとヴォルデモート卿との闘いに重きがおかれています。パート1は静的でパート2は動的です。
私は本を最後まで読んでいないので、はっきり言ってわからないところがありました。図書館で『死の秘宝』を借りようと思ったら、誰かが借りていたので、未だ謎は謎のまま。
もし本を読んでいないのなら、読んでから行かれると、より映画を楽しめると思います。

実はヘレナ・ボナム=カーターのハチャメチャな感じが好きだったので、パート2ではどんななのかと興味を持って見ていたのですが、残念。まったく活躍場面がなかったです。ただ大人しくいるだけなんて、もったいないです。

ある意外な子がヴォルデモート卿の○○を殺すのですが、何故彼なのか、未だわからず。何か意味があるのでしょうか?でも彼でよかったのかもね。

3D作品ですが、3Dにするほどのものじゃないのではというのが相棒と私の感想です。
ネタバレしないように、これぐらいで止めておきましょう。
後で本を読んで復習をしますわ。

椿山荘の三重塔2011/08/02

先日椿山荘に行ってきました。
庭にある三重塔の改修が終わったそうです。東京に残る3つの古い塔のうちの一つで、有形文化財になっています。建ってから少なくとも600年は経っているそうです。


これ(↑)は正面から見た三重塔。
右、左からみた三重塔は↓です。



近くに井戸がありました。

庭に江戸風鈴が飾られており、風が吹くとチリンと微かに音が聞こえます。


灯籠も道沿いに置いてあり、夜には灯るようです。


ロビーに各地の風鈴が飾ってありました。音は南部鉄器の風鈴が一番きれいです。

フォーシーズンズホテルのイタリアレストラン「イル・テアトル」でランチを頂きました。
前菜は2品。



肉料理はチキンを頼みました。


一見すると、魚みたいですが、チキンです。チキンが四角く切られているのを初めて見ました。


魚介類のニョキです。
この他、パンとグリッシーニ、デザートと飲み物がつきます。
お腹がいっぱいになりました。味はちょっとこってりしていたので、もっとアッサリ系を頼めばよかったと思いました。

横山隆治、山本直人ほか『ポスト3.11のマーケティング』2011/08/03

AMNブッククラブ・キャンペーンで本を頂きました。ありがとうございます。
マーケティングについて全く知らない私ですが、おもしろく読まさせていただきました。


3月11日の震災から五カ月が経とうとしています。
地震、津波、原発事故、計画停電、そして自粛、節電と続いたため、経済活動が停滞していると言われています。

地震直後に運輸、観光、外食企業が打撃を受けましたが、少しずつ元に戻りつつあります。しかし、耐久消費財の需要は低迷し、一般消費財の需要のうち高級品の買い控えが続いています。
その主な原因が過剰な自粛と節電です。
こういう時に企業はどうマーケティングのあり方を考えていけばいいのでしょうか。8人の方々がそれぞれの立場から書いておられますが、だいたい同じようなことを言っておられます。

今後のマーケティングに必要なのは「共感」だと言います。
3.11では携帯電話は通じず、テレビやラジオを利用できない人たちがツイッターでリアルな情報を知るということが起こりました。
ソフトバンクの孫社長はツイッターで発言してきました。このツイッターが共感を生み、ソフトバンクは「RIGHT」だという感じが広まりました。これがソフトバンクのブランディングに役立っています。
企業はこの「RIGHT」という感じ、この人、この企業は信じられるという感じを増幅させていくことが必要なのです。
「リアル」な心を動かす情報を、地味でもいいから地道に発信し続けていくことが必要なのです。このような情報を発信し続けていくことで、消費者に「信頼」を与えることになり、これを基盤にマーケティングを推し進めていくことができるのです。
情報発信の手段として、震災時に活躍したインターネットインフラを使ったカンバセーションが役に立つであろうと書かれています。

私たち消費者はもう3.11以前のような生活ができませんし、しようとも思わなくなっています。「安定した・安全な・安心した生活」が崩壊したからです。
疑心暗鬼になっている消費者一人一人のニーズに応じたマーケティングを行い、日本経済に活力を与えて欲しいと切に思います。
政府があてにならないのですから、この本に書いてあるように、企業が個々に情報を発信していくことが望まれます。
これからは本当に「信頼」できる企業が生き残っていくのではないでしょうか。
この本を読みながら、この思いが強くなりました。

『ツリー・オブ・ライフ』を観る2011/08/05

ブロガー限定の試写会に行ってまいりました。
私は間違って駅の反対側に行ってしまい、途中で気づいて戻ったという次第。急いで歩いたのでちょっと疲れました。

宣伝部の方が、「この映画は35歳以上の男女でクリント・イーストウッドの映画のファンの方をターゲットにしている」とおっしゃっていました。イーストウッドの最近の作品を見ていない私にはピンときませんが。
ブラッド・ピットのファンでも、私のように顔が好きだというだけのミーハー的ファンには、この映画、向いていません。ピットはただのおっさんにしか見えません。(彼の下唇って上唇より出ていたっけ?)
アメリカの映画館で「おもしろくなくても代金は返しません」と書いてあったとか。うなずけます。
下手をすると、気持ちよくて(かどうかわかりませんが)寝てしまうかもしれません。
賛否両論の映画でしょう。

とにかく映像と音楽が文句なくよかったです。
テキサスの撮影はエマニュエル・ルベツキ(この人のカメラワークも独特)でしょうが、それ以外の映像はナショナル・ジェオグラフィック社のカメラマンにこういうのを撮ってくれと頼んで撮ってもらったそうです。
そう、宇宙、地球、海、火山・・・など自然の映像が満載なのです。
イーストウッドの映画というよりも、『地球交響曲 / ガイア・シンフォニー』の方に近い映像です。
『2001年宇宙の旅』に匹敵する映画だと宣伝部の方が自負しておりました。映像的にはそうかもしれませんが、映画としてはそれほどのインパクトはないように思いますが、どうでしょう。
内容が宗教的、スピリチュアル的で難解ですが、『地球交響曲』が好きな人には合うかもしれません。

残念ながら私はテレンス・マリック監督の作品を見たことがありません。
監督になってから38年間で5本しか作品を撮っていないという伝説の監督だそうです。「作品がすべてを代弁する」という考えなので、賞を受けても授賞式には出ませんし、今度の映画についても自身では何も語ってくれていません。
宣伝部の人曰く。マリック監督もテキサス州出身で三人兄弟の長男。真ん中の弟さんが亡くなっているとか。
自伝的作品なのでしょうか。謎です。




ジャックは都会の高層ビルに事務所を持ち、何不自由のない裕福なくらしをしています。
しかし、心の中では空しさ感じており、この頃、よく思い出すのは幼い時のこと・・・。

1950年代、アメリカ、テキサス州。
ジャックは宗教心の強い、愛情あふれる母と、音楽家になりたいという夢をもっていた厳格な父、そして、二人の弟と暮らしていました。
日常はキラキラした光に満たされていましたが、唯一、父親の存在が生活に暗さをもたらします。

父は善人にはなるな。強くあれと子供たちを仕込みます。
しかし・・・。

私は長男よりも父の方に興味を持ちました。
もしかしたら、彼は音楽家になりたいという夢を、軍隊に入っていたようですから、経済的な面で諦めたのかもしれません。彼の父親は常に今の彼と同じようなことを幼い彼に言い、音楽家などと言う軟弱者のなるようなものにはなるな、軍隊が男の職場だとか言っていたのかもしれません。
彼は自分が弱い性格(善人)であると知っていたので、子供たちは自分のようになってもらいたくないから、強くなるように言い続けたのかもしれません。

長男は幼いですから、そういう父の心がわかりません。
彼にとって父は自分のやりたいことをやらせてくれないウザい存在。
大きくなって成功しても、心が満たされないのは、父のせいで、自分は自分の望むように生きてこなかったのではないか。
常に父の存在がのしかかり、父に刷り込まれた父の望むような人生を歩んでしまったのではないのか。
弟のように幼くして亡くなってしまう人もいるというのに・・・。

一体我々は何のために生まれてきたのだろう。

人間の根源的な問い。

自然はそこにあり、永遠の営みを繰り返しています。
人間もその中にあり、永遠に太古からの問いを繰り返しています。

私たちのこれからの生き方の指針を与えるような映画なのかもしれません。
私たちは再度自分たちが自然の一部であるということを認識しなくてはなりません。
私たちは自然を征服する者ではないのです。

映画の解釈には正解はないので、さて、観たあなたはどのように感じるでしょうか?

『青木繁展―よみがえる神話と芸術』@ブリジストン美術館2011/08/06

青木繁といえば、教科書に≪海の幸≫が出ていたのを覚えています。が、それ以上に興味は持ちませんでした。
赤瀬川さんの『日本美術応援団』(だと思うのですが、記憶が曖昧。他の本だったかも)で≪海の幸≫を取り上げているのを読んで、実物を見たいと思いました。
ブリジストン美術館で『青木繁展』をやっているのを知り、重い腰をあげて行ってきました。
彼は1904年(22歳)から1911年(28歳8か月)という短い期間で彼独自の世界を展開し、後世に残る作品を残しました。


[第1章: 画壇への登場―丹青によって男子たらん 1903年まで]
木炭画や鉛筆画などが多く展示されています。
その中で、黒田清輝の「昔語り」に描かれた芸妓の上半身の下絵を模写した作品である「舞妓」はデッサンの木炭の濃淡で髪の一本一本、着物の布のしわなど緻密に描かれており、後で見た師であった黒田のデッサンとそっくりでした。


これは黒田の「舞妓」。会場で比べてみて下さい。

[第2章: 豊饒の海―≪海の幸≫を中心に、1904年]
有名な≪海の幸≫が画壇に発表されたのが1904年です。
現物を見て分かったのですが、下絵や碁盤の目が消されずに残っています。
こういうことは実物を見ないとわからないことです。


一人、恋人の福田たねらしき白い女性の顔がこちらを見ています。不思議な絵です。
晩年の彼が神話の世界を描きましたが、この絵も実際の漁の様子ではなく、彼の描く物語の世界のようです。

私は彼の描く海に魅せられました。まるで印象派の描いたような絵筆のタッチです。


海は彼の中で特別なものだったのでしょうね。

[第3章: 描かれた神話―≪わだつみのいろこの宮≫まで 1904-07年]
彼は何枚も自画像を描いています。その絵を見ながら、キリストのように思いました。


彼はキリストのように、絵に殉教しようと思っていたのかしら?
第5章を見ている時に、キャプションに「彼が洗礼を受けた」と書いてあるのを見てやっぱりと思いました。


この「わだつみのいろこの宮」を見て、ある画家を思い出しますね。そう、ラファエロ派のロセッティやバーン・ジョーンズ。
日本の神話を描いているのですが、日本的というよりも西洋的な感じがします。
この絵を自信をもって展覧会に出品したのに、評価は低かったといいます。

[第4章: 九州放浪、そして死 1907-11年]
絵は売れず、恋人に子供ができ、故郷の父親が死に、結核にかかります。手紙で困窮している様子がわかります。
この展覧会で、私が一番好きなのは「夕焼けの海」と絶筆の「朝日」です。
どちらかというと暗いトーンの絵が多かったのに、晩年のこの2枚の絵は淡いトーンに変っていて、静謐さに満ちています。



自分の命が尽きようという時の青木の心象は、あくまでもこの絵のように穏やかなものだったのでしょう。それは諦念かもしれませんが。

[第5章: 没後、伝説の形成から今日まで]
彼は友人に恵まれていたようで、友人の坂本らは繁の死後、遺作展の開催や画集の発行に奔走してくれました。彼が今日にこのように評価されているのは、友人のおかげですね。

8月9日から展覧会の後期になります。後期には紙作品(水彩・素描)はすべて入れ替わり、「大和武尊」(東京国立博物館所蔵)は展示されないそうです。

この青木繁展の他にコレクションも展示されています。思いがけず、またかわいいジョルジェットちゃんにも会えました。ピカソのサルタンバンクもいました。

震災の影響で美術館も売店も18時までしか開いていません。ティーショップは17時半になるとオーダーストップです。
ここではカフェオレを頼むと、ミルクとコーヒーが別々に出てきて、自分で好きなように濃さを調節できます。2杯分あるので、嬉しいですね。
サンドイッチは「赤トンボ」から取り寄せているそうです。前回は食べられたのですが、今回は12時で売り切れになってしまったそうです。どうしても食べたい場合は予約しておくといいそうです。

池井戸潤 『下町ロケット』2011/08/07



めずらしく相棒が読みたいと言って買ったので、ついでに私も読んでみました。
直木賞を取った本で、内容がベタだけれどサクサクと読めます。
読後感もスッキリとしていて、この本って会社に勤める男の人の好きそうな本ですね。

佃航平はロケット開発の研究をしていましたが、ロケット打ち上げが失敗したことから責任を取って辞めるというような感じで研究の道を諦め、大田区にある従業員200名程度の実家の町工場を継ぎました。
順調に業績が上がっていたのですが、ある大企業が取引を止めると言ってきたことから運がつき、銀行から融資を断られるは、特許を巡って法廷闘争に巻き込まれるは、倒産の危機か!という状態になってしまいます。
しかし、地道に、誠実にやってきた佃を天は見捨てなかった。
諦めていたロケット開発にかかわるチャンスがやってくるのです。

中小企業の歓びと悲哀がよく伝わってきます。こういう人たちがいたからこそ、今の日本があるのです。
夢をいつまで持ち続けていけるのか。現実を見ろ、青臭いことをいうなと必ず言う人がいるでしょう。
でも、「カネ」よりも「ユメ」を取ったっていいじゃない。
それでなくても今は「ユメ」を持ち辛い世の中なのだから。

経理担当の殿村さん、大好き。
(相棒に私がこの本の中で一番好きな人って誰だと思うというと、当てられてしまいました)
彼の言う、目先の利益だけを考えないで、十年先、二十年先のことを考えようという視点が、今の社会(特に政治)に抜け落ちているような気がします。

これは絶対にドラマになるなと思って帯を見ると・・・。
三上博史主演で8月21日から放送されるんですね。しかし、WOWWOW。と言っても我が家はまだ地デジ対応のテレビを買っていないので、どっちにしろ見られません。
しかし、弁護士が寺島しのぶってどう?(本では弁護士が男なので、特に寺島さんが嫌いってわけじゃないです)


「ものつくり」に関して、関係あるかな?
御徒町から秋葉原へ続くJRの高架下に職人の店が集まった所があります。
2k540 AKI-OKA  ARTISAN」という不思議な名前。この頃マスコミで取り上げられているので、知っている人も多いでしょう。
先々週の水曜日に行ったら休みだったので、再度行ってみました。まだ全部できあがっていないようで、工事をしているところがありました。入り口がなかなか見つからなくて、御徒町から歩いたのに、秋葉原側まで行ってしまいました。


小さなお店ばかりなので、ちょっと入りずらいです。
日傘の骨が壊れてしまい、気に入っていた傘だったので捨てられずにいたのですが、思い切って傘屋さんで聞いてみると、直せるものなら直して下さるとのこと。今度持っていきますわ。
早く工事を終わらせて下さいませ。

インド仏教指導者、佐々井秀嶺2011/08/08

佐々井秀嶺さんの本、『必生 闘う仏教』と彼の自伝、山際素男著 『破天 インド仏教徒の頂点に立つ日本人』、そしてテレビ番組の放送内容を本にしたもの『男一代菩薩道』の三冊を読みました。


彼のことは五木寛之の『海外版インド 百寺巡礼』で知りました。インドでアンベートカルの意志を継ぎ、インド仏教徒の指導者として君臨しているのが佐々井さんです。

これら三冊の本には彼の人生の軌跡が書かれています。けっしてそ聖人の人生ではありません。
どちらかというと、彼は思い込みの激しい人のようです。それだからこそ、悩みも深いのです。
女好きで、何故自分はこんなにも女が好きなのかと苦しむような人です。
女性にもてたのでしょうが、それを赤裸々に語るところなんか飾りっけのない人だなと思います。
こういう生臭い所がインドという風土に合うのかもしれません。

仏教というと、一人で悟りを開くという静的なものという印象ですが、インドの仏教は不可触民解放と結びついているため、どうしても動的にならざるえないのです。彼は「闘う仏教」と言っています。
闘うと言っても、もちろん仏教ですから”不殺生”です。しかし、仏教徒になるからには、「非暴力を貫くためには、自己犠牲を含む必要最小限の力の行使をみずから選択しなければならない場合があることも、覚悟しておかなければ」ならないのです。
インドで仏教徒であることは、なんと厳しいことでしょう。

佐々井は日本には戻らないと言っていたのですが、彼のことを日本に紹介した山際さんの死をきっかけに、2009年に44年ぶりに一時帰国したそうです。
2004年にフジテレビが彼のインドでの活動を放送したのですが、2009年には第二弾として日本に帰国した彼に密着取材して番組を作り放送したようです。
再放送してくれませんかね。ア、テレビがないか・・・。


日本に帰国して、彼は宗派の違いを超えた仏教の実践を唱えています。

「仏教では釈迦以来”出家”の必要性を説きますが、それは断じて「世捨人」や「傍観者」になることではありません。いったん自我中心の世俗的価値観から距離をおき、慈悲心をもって、みるべきものに目を凝らし、聞くべき声に耳を澄ます。そして再び世俗社会に飛び込んでいくことだと、私は思います」

「座禅や瞑想は、立ち上がってからなにをするか、そのためにあると思います。
そしてまた、社会的実践の支えとなるべき「瞑想」は、時も場所も形式も選ばないはずです。いうなればこの人生すべてが、瞑想なのではないでしょうか。生きる姿勢そのものがヨーガのアーサナ(座法)であり、座禅であり、呼吸や会話が念仏であり題目であり、現実社会で慈悲を実践していくことが仏道である、と私は考えます」

お葬式以外では人々の生活とかかわらなくなってしまった現在の仏教を痛切に批判していますね。
彼の言う仏教なら信じられそう。

人の心をすぐに変えることはできません。彼の戦いはこれからも続きます。
それにしてもインドは理解するにはとてつもなく難しい国ですね。

広瀬隆 『原子炉時限爆弾―大地震におびえる日本列島』2011/08/09

今日は長崎に原爆が落とされた日。
長崎出身の緑内障友は家族で黙とうをしたことでしょう。

Googleマップで普通では見られない広島の原爆ドームの中が見られます。


この本は昨年出版されていました。広瀬さんはこう書いています。

「地震が起こったら、原子炉の頑丈さにはほとんど意味がない。水が流れる回路のすべて、どこにも破壊が起こらないということが保証されなければ、大事故は防げない」

実は2010年6月17日に福島第一原子力発電所二号機で電源喪失事故が起こっていたそうです。この頃、日本国内は南アフリカのワールドカップで大はしゃぎ。マスコミも報道しなかったそうです。
この時から今の状況は予想できたのではないでしょうか?

他の原発はどうかというと、浜岡原発や滋賀原発、柏崎刈羽原発、六ヶ所村再処理工場、東海村などの建っている土地を地質学的に調べていくと、直下か近くに活断層があるか、ある可能性が高いのだそうです。
なんでそんなところに原発施設を建設したのでしょう?
通産省の役人が知っていて隠ぺい工作をしていたとか。その役人、滋賀原発、柏崎刈羽原発、高速増殖原型炉もんじゅ、浜岡原発に関わり、今は某国立工業大学の教授をやっているそうです。この人は自分の利益だけを考えて、そういうことをしたのでしょうか?良心はないのでしょうか。

今、日本国内にあるすべての原発が止まったとしても、「日本を崩壊させる末期的な大事故ざっと2000回分ほどの危険物を管理していかなければならない」のです。
「高レベル放射線廃棄物は100万年監視しなければならない」と2009年にアメリカ政府が発表したそうです。

ようするにずっと冷やし続けなければならないのに、地震が起きて、今回のように冷却装置が稼働しなくなったら、どうなるのか。第二のフクシマになります。
地震は来るかどうかわからないのだから、そんな仮のことは考えられないと言う人がいるかもしれませんが、危機管理って最悪のことを考えてやるものですよね。そのことも考えずに原発を推進していたなんて・・・。
ホント、3.11までの私たちは幸運だったとしか言えません。

地質学的説明が多い本なので、読むのが面倒という私のような人でも、ザッと読むだけでも参考になります。ただし、読んだ後、眠れなくなるかも。
地震が来てほしくないと切に思います。

大崎梢・威風堂書店・シリーズ1~32011/08/10

日常に潜む謎を解くミステリーを探していました。
ありましたよ。
「威風堂書店事件メモ」という副題の『配達あかずきん』、『晩夏に捧ぐ』、『サイン会はいかが?』の三冊がとってもいいんです。
威風堂という書店に持ち込まれる謎を、いわばホームズの役回りのバイト店員多恵とワトソンがわりの正社員の店員杏子のコンビが解くというシリーズです。

本屋についてとっても詳しいので、大崎さんってどういう人かと思って紹介文を読んでみると、元書店員だったそうです。やはりね。本屋に勤めていないと、こういう風に本屋の仕事を書けませんわ。
今度から書店員の視点で本屋を見てみることにします。
それにしてもお客さんってとんでもないことを聞くのですね。本の題名も作者も知らずに、「かわいそうな話なのよ」、「女の子がたくさん出てきて、みんなとっても貧しいの」なんて言われても、困りますよね。(探していたのは『あゝ野麦峠』だそうです)
私は店員さんには近づかないです。本屋で漂い、本の海に沈んで、自分でおもしろそうな魚を釣った方が面白いものね。
「あ、これ、おもしろそう」とピンときて選んだ本がおもしろかったなら、これほど幸せなことってないですよね。

この本が幸せな一冊でした。お仕事シリーズの一冊にしましょう。


一作目の『配達あかずきん』と三作目『サイン会はいかが?』は短編集です。
どの話も味があり、ホロっとさせられます。こんなに本屋に隠された物語があるなんて、予想していませんでした。

二作目の『晩夏に捧ぐ』は長編です。


元同僚の書店員だった美保に頼まれ、多恵と杏子は長野に行きます。美保の勤める老舗書店に幽霊がでるというのです。

この老舗の本屋がいいんです。

「まるう堂の店内はこれといった派手な演出はなかった。けれど、初めて訪れた杏子もすぐになじんでしまうような和やかさがあった」
「棚が話しかけてきますね」「そう言ってもらうと、本屋冥利に尽きるよ」

「棚が話しかけ」るってどういうのでしょうね。こういう本屋があったら、行ってみたいです。

私の好きな書店ってどちらかといえば小さな店です。大きくなると、本が多すぎて、見るのがめんどくさくなるのです。
小さければどこでもいいわけではありません。おもしろいもので、ここはダメっという書店があるんです。意外と駅ナカの書店がよかったりします。
何が違うんでしょうね。今度行って、どこがよく、どこが気に入らないか考えてみますね。
不思議なことに、いつ行っても、気に入った本がある確率が高い書店があります。私と同じ趣味をしている店員さんがいるということでしょうか。

とにかく人間味があり、ほんわかする本です。
『サイン会はいかが?』に坂木司さんがあとがきを書いています。二人とも日常に潜む謎を書くということで、似ているのかな?

レジナルド・ヒル 『探偵稼業は運しだい』2011/08/11



これってシリーズの五作目だそうです。一作目と二作目は十五年前に翻訳されたのですが、それ以降中断していたそうです。読んでみたところ、結構おもしろいと思いました。

シックススミスはかっこいい探偵かと思うと、なんと小柄で禿げかけた、冴えない四十代の独身おっさんです。こういう彼でもガール・フレンドや頼りになる女友達はいます。意外と人好きのする人で、探偵とはいえ頭脳を使うよりも体を使い、本人も認めているように運のよさで何とかやっていくという人です。

今回の舞台は高級ゴルフクラブ<ロイヤル・フー>。
知り合いの警官から紹介されたからと、郡の古い家柄出身のクリスチャン・ポーフィリがジョーに会いに来ます。<ロイヤル・フー>はポーフィリの一族が創設しました。
彼はゴルフで不正を働いたと非難されていたのです。
一体誰が彼をはめようとしたのか、それを探るのがシックススミスの役割です。

私はゴルフは頚椎症が悪化したため、一回コースを回っただけで終わりになってしまいました。今はやる気にはなれません。
この本の中のゴルフの話題はついていけませんが、ゴルフ自体は謎解きとは関係ないので、ゴルフを知らない人が読んでも大丈夫ですよ。

実際には登場しないのに、ちょっと気になるミラベル伯母さんや、看護婦でガール・フレンドのベリル、怪力のボクサーのジョージ、弁護士のブッチャー(女性です)など、これまたお約束の主人公を取り巻く人たちもおもしろく、軽く読めるユーモア・ミステリーです。
暇つぶしにどうぞ。