近藤史恵 『キアズマ』2013/05/03

自転車競技のすばらしさを教えてくれるシリーズの最新作です。


柔道をやってきて、日本的な部活に嫌気を指していた岸田正樹は、特に何かをやりたいという目標もなく大学へ入学しました。
一週間たった頃、トモス(排気量50㏄の原動機付き自転車)に乗っていた時にロードバイクとぶつかってしまいます。
関西弁の男にからまれ、逃げ出したところ、トラックに轢かれそうになり、正樹は打撲程度の怪我だったのですが、ロードバイクに乗っていた男が膝蓋骨骨折をしてしまします。
骨折した男は四年の村上といい、昨年自転車部を設立したばかりでした。
自転車部の部員はたった三人。
村上の見舞いに行った時に、「なにか俺にできることがあればなんでも言ってください」などと言ったばかりに、正樹は自転車部に一年間という約束で入部することになってしまいます。
自分の言った言葉を最初は悔やんでいましたが、自転車に乗ってみると、意外と自分に合っていて、それから自転車のことしか考えられなくなります。

いつしか正樹は自転車に魅せられていきます。


私が気に入っている、もうひとつの自転車物語は『セカンドウィンド』といいます。
これは主人公の溝口洋が自転車を通じて小学生から大学生へと成長する過程を描いた話です。
スポ根物がお好きな人は読んでみてください。
9月に四巻が出る予定ですが、出版が伸びないことを祈っています。