五木寛之 『親鸞 完結篇』2014/12/29



『親鸞』もいよいよ完結です。
こういう天寿を全うした偉人の伝記を読むと、最初はおもしろくてめりこむのですが、終わりの方はそれほどでもなくなるのは何故でしょうね。
たぶん老年期は行動の時期ではなくて、熟考の時期だからかもしれませんね。

この本は聖人親鸞ではなくて、人間親鸞を描いた作品です。

最初の作品『親鸞』は京都を舞台に比叡山で修業を励む、8歳から35歳の若き日の親鸞が描かれています。
次の『親鸞 激動篇』は越後へ追放され、関東を流浪し、師、法然の教えを超えようと苦悩している親鸞でした。

『親鸞 完結篇』は法然の死と自らの追放生活を生き延び、京都へ戻った61歳から90歳までの晩年の生活を描いています。
あくまでも教えに真摯に向き合い、執筆と思索の生活を続ける親鸞ですが、彼の周りは真の教えがわからず、欲のために陰謀を図り、親鸞を巻き込もうとします。
しかし、親鸞は、たとえそれが息子であろうが、周りに惑わされることなく、自分の路を進みます。

教えを自らのものにした上で、それを他のものに伝えるということは、そう簡単なことではないということがわかります。
親鸞はまだ自分がその途上にあるということがわかっており、聞かれれば答えるのですが、人を導くために立ち上がろうとはしません。
真の信心とは・・・。


犬を見ていると、生活のもろもろに煩わされるのが馬鹿らしくなります。


自然体というのでしょうか。


そろそろ柵のない生活をしたいですね。