柚木麻子 『ナイルパーチの女子会』2015/07/05



直木賞候補作品です。
同性の友達がいない女2人のお話。

丸の内の大手商社に勤めるキャリアウーマンの志村栄利子は、容姿にも仕事にも恵まれているのに、ただ一つ足りないのが同性の友達がいないということ。
30歳になるというのに中学校時代の親友との出来事が彼女のトラウマになっています。
彼女の唯一の楽しみが、主婦ブログ『おひょうのダメ奥さん日記』を読むこと。
書かれていることから推測すると、どうもこのおひょうさんは自分と同じ町に住んでいるようです。
そんなある日、二人はカフェで出会ってしまいます。
おひょうこと丸尾翔子はスーパー店長の夫と二人暮らし。
一見ひょうひょうとしているような翔子には郷里に「自分からはなにもしない」父親がいて、彼が彼女の苛立ちの素でした。
共通の同性の友達がいないことで、2人は急速に親しくなっていくのですが・・・。

同性の友達がいないことがコンプレックスになるんですね。
途中から栄利子がストーカー気味になっていき、翔子が精神的に追い詰められていくので、殺人でも起こるのかしらなどと不安になっていきました。
ミステリーではないからそれはありませんでしたが(笑)。
同性の友人がたくさんいる、派遣の逞しい女性がでてきましたが、ちょっとデフォルメされていますが、彼女のような考えの人っているのでしょうね。
これらの登場人物ほど極端ではないですが、どんな人にも少なからずこういう面があるかなと思えるところがあると思います。

栄利子や翔子を反面教師として読みながら思ったことは、

わからないことは考えない。
人に合わせることも必要だけれど、必要以上に合わせない。
人に嫌われることを厭うな。
一人になることを恐れるな。
人といい時間を持てたら、ありがたいと思おう。でも、それはその時だけかもしれない。
永遠に続くことはない。
人は変化していくもの。人との関係もしかり。

などなど。他にもありますが。

人を求める気持ちの大小ってどうやって決まるのでしょうね。
私はそれが少ない気がします。
一人でも充分楽しいもの。

この本は近藤史恵の『はぶらし』に続く、栄えある怖い女シリーズの一冊に入りました(笑)。



男同士も大変です。
おやつを見せると近づいても兄は怒りません。
おやつがなければ、絶対に喧嘩になります。