桐野夏生 『バラカ』2016/08/21



(ちょっとネタバレ)

震災で原発4基がすべて爆発。
警戒区域で犬たちに守られるようにしているのを発見された少女がいました。
彼女は自分のことを「バラカ」と言いました。
犬の保護ボランティアに来ていた老人、豊田が彼女を引き取ります。
彼女は原発推進派や反対派から運動のシンボルとして狙われ、豊田と共に日本国内を転々として暮らすことになりました。

出版社で働く沙羅は結婚はしないが子供は欲しいと思い始め、テレビ局に勤める友人、優子の勧めでドバイに幼児を買いにいきます。
そこで出会ったのが、日系ブラジル人の子。
その子を気に入った沙羅は、自分の子として日本に連れ帰ります。
ところが子どもは沙羅になつかず、頼みの綱だった母親は急死。
偶然、葬儀屋をしていた川島と再会し、沙羅は彼と結婚をし、仕事まで辞めてしまいます。
しかし、川島は転勤で東北へ。
妊娠し、子どもを憎むようになった沙羅は、子どもを優子にあずけ、東北へと引越します。
ところが、その時、地震が起こり、津波が押し寄せてきました。
たまたま東京に来ていた川島は優子から子どもを奪い、東北へ・・・。

豊田と幸せに暮らしていたバカラたちのところに三人の男女がやってきます。
豊田は彼らを信用していなかったのですが、バカラの過去を知っている女性が昏睡状態に陥っていると聞き、その女性のところへ行ってみることになります。
このことがバカラに災いをもたらすことになります。

運命に翻弄されているバラカがどうやって生き残っていくのか、ハラハラしながら読んでいきました。

小説ではありますが、色々な社会問題が描かれており、そのことを考えると、これからの日本に対して暗澹たる気持ちになります。
オリンピックで浮かれている場合じゃない。
やり残していることはないのか。
過去から何も学んではいないのではないのか。

世の中はオリンピック報道一色で、フクシマのその後はどうなのかは全く報道されていません。
現在はどうなっているのでしょう?
真実を知りたいと思います。

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