佐藤青南 『市立ノアの方舟』2016/08/26



野亜市立動物園に新しい園長がやってきました。
今までの腰掛園長にうんざりしていた飼育員たちは、新園長の磯貝に対して反抗的態度を示します。
実は磯貝は反市長派による報復人事で動物園に飛ばされたのです。
最初はめげていた磯貝ですが、娘の描いた絵に励まされ、赤字経営で廃園まで検討されている動物園を立て直そうとがんばります。
彼が最初に始めたのは、職員の意識を変えることです。

人は人生で少なくとも三回動物園に行くそうです。
最初は親に連れられ、二回目は我が子を連れて、三回目は孫を連れて。
でも、近所に動物園のなかった私は親に動物園に連れていってもらっていません。
動物園に行ったのは大人になってから、友人とでした。
まあ、人それぞれですものね。

動物園では自然ではありえない雑種を産みだしてはいけないというのは、飼育員にとってはつらいことだろうなぁとつくづく思いました。

動物園のお仕事を垣間見るにはいい本です。

青南さんってもともと「このミス」出身なのですね。
彼のミステリは読んだことがないけれど、お仕事本はいいですね。
白バイガール』とは違いますが、別の意味で心温まるお話です。