「黄金のアデーレ 名画の帰還」を観る2017/02/20

ヨーロッパではナチスが第二次大戦中に奪った美術品の返還を進めているということを聞いたことがあります。
この映画はクリムトの『黄金のアデーレ』の返還をオーストリア政府に求めた女性のお話です。


1998年、マリア・アルトマンは亡くなった姉ルイーゼがナチス占領下に奪われたクリムトの「黄金のアデーレ」返還をオーストリア政府に求めようとしていたことを知ります。
マリアにとっては故郷ウィーンは忌まわしい過去を思い出すところで、二度と足を踏み入れたくない場所でした。
しかし、ルイーゼの死をきっかけに優しかった伯母アデーレのことを思い出し、過去と向き合い、絵画を取り戻すことを決意します。

彼女が相棒に選んだのが友人の息子で新米弁護士、ランディ・シェーンベルクでした。
最初、彼は金もうけを考えて引き受けたのですが、マリアと行動を共にするうちに自分の先祖(彼の祖父はオーストリアの有名な作曲家)であるオーストリア人が戦中何をしたかを知り、いつしかマリア以上に絵画返還に力を注いでいきます。


この絵はあまりにも有名で、陰にこんな物語があったなんて知りませんでした。
そういえば、オーストリアでクリムトの「接吻」とかは見ましたが、この絵はなかったはずなのに、実際に見た気になっています(笑)。
記憶っていいかげんですね。

オーストリア政府やオーストリア国民はこの絵を返したくなかったようで、その様子が映画に描かれています。
最初の段階でマリアさんに返還していれば、今頃はオーストリアの美術館に飾られていたでしょうね。
(実際はどうだったのかは知りませんが、今「黄金のアデーレ」はアメリカにあります)

この映画の信ぴょう性が疑われるという話がありますが、映画ですからすべてが事実に即して描かれているわけではないでしょう。
何を訴えたいかが明確だったらいいのではないでしょうか。
オーストリア側から見たら、色々と文句があるでしょうけど。

戦争で何が起こったのかを知るのに、いい映画のひとつです。

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