荻原浩 『海の見える理髪店』2017/07/30

学校が夏休みになったせいか、日中の電車は妙に混んでいます。
この前、観光に来た外国人男性が、電車に乗ってきた御老人に席を譲っていました。
その譲り方もスマートで、躊躇することなくすっと立って、「どうぞ」というような感じで、譲られた方も笑顔で、「ありがとう」と日本語でおっしゃって座りました。
日本の若者もこういう風にできるといいですね。



直木賞受賞作だというので読んでみました。
短編集だったのは予想外でした。
6つのお話が載っています。
どの話が好きかは分かれるかもしれませんね。
私の好みは最後の「成人式」です。

娘が交通事故で亡くなってから五年。
郵便で成人式用の振袖のカタログが送られてきました。
娘のことを極力考えないようにしているのに、心がえぐられるような瞬間でした。

父親である私は夜中に妻が寝た後、秘かに娘の部屋で、娘の映ったDVDを見ていました。
それを妻に見つかり、話し合った二人は、成人式に娘の代わりに出ることにします。
もちろん、私も妻も成人式の衣装を着てです。
さて、二人は成人式に無事に出られたでしょうか。

アラフィフの男女が、成人式用の振袖を着て袴をはくだけでも笑っちゃうのに、成人式まで行くなんて、勇気あると思います。
それだけ娘を失った悲しみが深いのでしょうね。

荻原さんの作品は他にも何冊か読んでいるのですが、受賞作よりも他の作品の方がおもしろかったですね。



一暴れした後の兄犬。
耳の毛が乱れているのがかわいいです。

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_ 読書と足跡 - 2017/10/09 16時45分40秒

海の見える理髪店
著者 荻原浩

新たな知識を求めてこの本と出逢う。
腕の良い床屋は、髪を見て、その人にあった頭に髪型を持ってくる事ができる。
それが、プロであると言わんばかりに。
そんな床屋にあった事がない。
一度で良いからあって見たいもんだ。
有名人からも指名が入るほどの腕前。
なのに、・・・・・。
何故、海辺に、都会より、シティより離れているのだろうか?
昔話に...