ヨハン・テオリン 『冬の灯台が語るとき』2017/07/07

エーランド島四部作の二作目。


夫婦と子ども二人のヨアキム一家が、エーランド島の「ウナギ岬」にある灯台守のために建てられた古い屋敷に越してきました。
自分たちの手で屋敷をリフォームしていき、ゆくゆくは人を泊めたり、レストランにしたりしようと計画していました。
実は妻のカロリンは幼い頃にこの家に住んでいました。

ヨアキムがいない日に不幸が訪れます。

ちょうど同じころ、船長だったイェルロフの兄の孫、ティルダが婦人警官としてエーランド島に赴任してきます。
彼女はイェルロフに会いにきて、彼が話す島の言い伝えを録音していました。

不幸が起こった後、屋敷にまつわる物語を知りたいと思ったヨアキムはイェルロフに会いにやって来ます。

昔と現在が混在しています。
北欧は不思議ワールドですね。
そういえばトロールとか妖精がいましたね。
本当に妖精がいてもおかしくないような感じです。

イェルロフは老体に鞭打って、活躍してくれます。
三部作目はどうなるのか。
イェルロフには長く生きていてもらいたいものです。

ヨハン・テオリン 『赤く微笑む春』2017/07/08

エーランド島四部作の三作目。


エーランド島の石切り場のそばのコテージを相続し、そこに暮らし始めたペール・メルネルは離婚をしており、双子の子どもたちは母親に引き取られていました。
娘が病気で入院したので息子をコテージに連れてきていました。
そんな時に疎遠だった父、ジェリーから電話がきて、別荘に来て欲しいというのです。
嫌々父を迎えにいくと、父は怪我をしており、車まで連れて行こうとしていたところに突然、火事が起こります。
別荘の中には父以外に誰か人がいたようでした。
結局、別荘は何者かに放火され全焼し、二人の男女の焼死体が見つかります。
娘の病気のことで頭がいっぱいなのにもかかわらず、脳卒中で倒れ話がまともにできない父までも面倒をみなければならなくなります。

同じ頃、エーランド島に住み始めたカップルがいました。
新築の豪華な家に住む、作家マックスと妻のヴェンデラです。
ヴェンデラはエーランド島の出身で、エルフとトロールを信じる女性でした。
ヴェンデラは近所の人たちを招いてパーティをしようと計画します。

イェルロフは余生を家で迎えようと決心し、老人介護施設を出て家に戻り、 一人暮らしを始めました。
死別した妻の日記を見つけ、それを読む日々でしたが、その中に「取りかえっ子」が家にやってきたという記述があり、それが誰だったのか興味を持ちます。

ヴェンデラの家のパーティは最初はまあまあの雰囲気だったのですが、ペールの父親のジェリーがとんでもないことを言い始め・・・。

ペールは別荘の放火事件を機に今まで見ないようにしていたジェリーの過去を掘り返そうとします。

相変わらずイェルロフ爺さんはいい味出してます。
それぞれの家族にはそれぞれの物語があり、それがどう現在と結びついて行くのかがおもしろいですね。

一度、エーランド島に行ってみたいと思いました。
それも、冬に。
寒さと人恋しさで泣いちゃうかもしれませんが(笑)。

はまる作品です。
四部作目を早く読みたいです。

久坂部羊 『虚栄』2017/07/09



がんが凶悪化したため国家プロジェクト「G4」が発足します。
4グループ(外科グループ・内科グループ・放射線科グループ・免疫療法科グループ)は他のグループを蹴落として予算をぶんどり、いかに自分のグループが優位に立つかを競っていました。
しかし、総理大臣が急死したためにプロジェクトが中止になってしまいます。
がんは本当に凶悪化したのか。
このプロジェクトは何のために発足したのか。

がん治療のわからなさがわかりました(笑)。
何が適切な治療なのか、まだはっきりとはしていないのです。
がんのことも解明されておらず、医師たちは暗中模索というのが現代医学の現状なのですね。
初期で見つかっても助からない人がいるし、末期といわれても助かる人がいる。
近藤医師は「がんもどき」などと言っていますが。
どのがんが「がんもどき」でどのがんが本当のがんなのか、まだわからないというのが現状なのです。

そういえば、医師に何が原因ですかと聞いたところ、「わかりません」と言われたことがあります。
その時は医師なのに、なんでわからないのと思いましたが、まだまだ人の体のことはわからないことだらけなのですね。
いくら医学が進んだからといって、すべてがわかっているわけでもない、わからないことの方が多いということを肝に銘じておかなくてはダメですね。

自分ががんに罹った時にどうすればいいのか決められずに悩むと思います。
結局は主治医の意見に従うしかないのでしょうね。
いい医師に出会えるかどうか、運を天に任せるしかないのでしょうねぇ(溜息)。

読んでいるうちにマスコミの報道や医学界に対して不信感が芽生えてきます。
医師になった優秀な人ほど虚栄心があるのは仕方ないのでしょうが、医師としての原点に立戻ってもらいたいですね。

私のような凡人には真実を見る目を持つかが問われていますね。
少なくとも「わからない」と言った医師は正直だった。
そういう医師を大事にしようと思います。
(原発性アルドステロン症を見つけてくれた医師ですが)

和田はつ子 『うに勝負―料理人季蔵捕物控』2017/07/10



いつも季節の素材がでてくるので、食べたくなります。
梅雨の日には茗荷がいいらしいです。
茗荷ご飯や茗荷鮨なんて美味しそうです。
茗荷には汗を出やすくする薬効があって、暑気中りにはいいそうです。
そういえば茗荷を食べると忘れっぽくなるという落語がありましたが、本当かしら?

季蔵と三吉が仕込みをやっている時に、戯作者の華多屋徳次郎と名乗る男がやってきて、生ウニ料理を流行らせてくれと言いだします。
それから数日後、同心の田端と岡っ引きの松次が店にやってきて、大伝馬町の生糸長者の華多屋徳右衛門が大川の上から忽然と消えたと季蔵に話します。
戯作者と生糸長者は同一人物で、後に大川で骸となって見つかります。

季蔵は華多屋の供養のために死の真相を調べると共に越前雲丹と生ウニを使った料理を考えようとします。

季蔵が考えたウニ料理は、生ウニ丼、ウニ茶漬け、生ウニとタコの和え物、生ウニの冷や奴、三つ葉と蒲鉾の塩ウニ和え・・・。
お酒が進みそうですね。

昨夜、めずらしく兄犬が外で寝ていました。
ジッと見ていると、クルっとひっくり返りました。


すっぽりとベッドに入っています。

今日のランチ。
太るので、そろそろ外食はやめようと思っていますが、ついつい人が並んでいなかったので、「ペパカフェ・フォレスト」に入ってしまいました。


ランチは4種類あります。
3種類は食べたので、最後のオムレツご飯を頼みました。
まずいわけではないのですが、他の3種類の方がお勧めです。

ヨハン・テオリン 『夏に凍える舟』2017/07/12



エーランド島四部作の最後の作品。

一年で一番島が美しい季節になりました。
都会から多くの旅行客が島を訪れます。
島でリゾートを経営するクロス一族の末っ子、ヨーナスは久しぶりに過ごすエーランド島の休暇を楽しみにしていました。
しかし、ある夜、ひとりでボートに乗り海に漕ぎ出した時に幽霊船に遭遇してしまいます。
命からがら陸に戻ったヨーナスは元船長のイェルロフのボートハウスに助けを求めます。
彼から幽霊船の話を聞いたイェルロフは嫌な予感がしました。

一方、復讐を誓う男が島に帰ってきました。
彼は幼い時にエーランド島で暮らしていたのですが、1930年代に義父と共に新しい国へと旅立ったのです。
新しい国=アメリカだと思っていたのに、たどり着いたのはソ連でした。
ちょうどソ連は恐怖政治の真っただ中。
多くの軍事指導者や共産党員、一般市民が矯正労働収容所へ送られ、殺されていました。
彼は故郷のエーランド島に帰りたいがためにさまざまな辛苦を乗り越えたのです。

最後を飾るには、あまりにも悲惨な人生です。
だからといって復讐を肯定できるわけはありませんが。

人間たちの心とは対照的に自然はあくまでも美しく、移ろい続けていきます。
イェルロフの決意も自然にくつろがされてしまいます。
無理せず、生き続けられるうちは生き続けていくのが、人間にとって正しい生き方なのかもしれませんね。


気になっていたお店がありました。
2回ほど行ったのですが、いつも満員でした。
暑い日は人が少なくなるので、どうかと思って行ってみると、入れました。
「Boulangerie  Bistro EPEE」というパン屋とビストロが一緒になっているお店です。


生ハムとアボカドのサラダ。


濃厚なセロリのスープ。


豚肉の煮込み料理。(名前を忘れた)
これにコーヒーとデザートがついています。
ブイヤベースもあったのですが、暑いので肉料理にしたのですが、他の人はブイヤベースを頼んでいました。
ちょっと失敗したかと思ったのですが、これも美味しかったのでいいですわ。

パンも美味しそうだったので、買って帰り、相棒の帰りが遅いので、パンを夕食にすることにしました。
後、2キロ、痩せろと言われているのに、痩せられないですわ・・・(恥)。

風野真知雄 『隠密味見方同心 八 ふふふの麩』2017/07/13



殺された兄の跡を継ぎ、味見方同心になった魚之進は、兄の死の真相を探り続けています。
兄が残した言葉、「この世のものとは思えないほどおいしいもの」を探し続け、やっと見つかりました。
それはケイクでした。
もう一つの言葉、「美味の傍には悪がいる」、の悪とはだれのことか。
もうそこまで来ています。

江戸時代の人がケーキを食べたら、どうなんでしょう。
それこそ「この世のものとはおもえないほどおいしいもの」なのでしょうね。
現代人にとっても、美味しいですもの。

魚之進も兄がそれほど切れ者じゃなければ、自分に自信がもてたのにね。
兄嫁とうまくいくといいのだけれど・・・。


暑くなると犬たちも体調を壊すようです。
めずらしく弟犬が吐いていました。
この頃、餌をすぐに食べなくなったのです。
暑いから遊べないことも食欲不振に関係しているのでしょうね。


兄は相変わらず、大胆な寝方を見せてくれています。

ジュリー・ハイジー 『誕生日ケーキには最強のふたり 大統領の料理人5』2017/07/14

大統領の料理人シリーズの五作目。


大統領の総料理人、オリーがまたまた活躍してくれました。

犬猿の仲のオリーと式次室長のピーターが、大統領夫人が催す国務長官の誕生日パーティーの会場選びをまかされる。
自分たちの職務外の仕事なので、文句タラタラのピーターでしたが、仕方なくオリーと候補会場に向かう。
ところが最有力候補会場で、二人は秘書官と補佐官の死体を見つけてしまう。
それ以来、何故か命を狙われる二人。
犬猿の仲の二人に変化があるのか?

大統領家の専属シェフでいけすかないヴァ―ジルに、どちらが上の立場なのかとキッパリ言うオリーが素敵です。
女だからと言ってなめられてはいけません。
ちゃんと言う時はいわないとね。

ギャブとの仲も進展あり。
元恋人のトムよりもオリーのことを認めてくれるようです。

「何も失うものがないときこそ、すべてを手に入れるチャンス、かもね」


<今日の美味しいもの>


コーヒー専門店のサンドイッチ。
カレー味で、結構ボリュームがあります。

矢崎存美 『海の家のぶたぶた』2017/07/15



夏だからぶたぶた、なんてことはないのですが、かわいいぶたぶたさんとまた会えました。
この本を見つけた夫は苦笑い。
いいじゃないの。

海水浴場にひと夏限定のレトロな海の家、「うみねこ」ができました。
ここの売りはおいしい食べ物。
特にかき氷のシロップはただのシロップじゃあありません。
ちゃんとマンゴーは果肉を削ってあるし、宇治抹茶も本物の抹茶を使っています。
そして、店長が我らがぶたぶたさんです。
カフェ「うみねこ」をこの秋からオープンするので、街の人の勧めもあり、宣伝も兼ねて海の家をやっているそうです。

この海の家に色々な人たちがやってきます。

海水浴にはしばらく行っていません。
水着になるにはあまりにもタプタプの体ですので・・・。
夏休みが終わったら犬連れで行こうかしら。

いつもと変わらぬぶたぶたさんでした。



いつもう〇ちを吹っ飛ばすヨーキー。
彼は部屋で自由にさせられません。
汚してもいいように派手な敷物をしいています。


兄は教えていないのに、トイレは完璧。
ただしナメナメ攻撃は気持ち悪いので止めてね。

今日も暑いので、家で遊びましょうか。
庭で駆け回りましょうか。

槇村さとる 『BELIEVE』1~52017/07/16

槇村さとるさんの漫画はバレエを扱った『Do Da Dancin'!』が一番好きです。今回のは芸能界のお話です。


敏腕マネージャで有名な山口依子は、自分が発掘して育てた俳優の東洋が事務所を移籍してしまい落ち込んでいた頃、不思議な魅力を持ったルカと出会います。
彼女は使えるとピンときた依子は、一度きりという条件である番組に出させます。
その時に彼女のスター性を感じた依子はルカを説き伏せ、CMやグラビアに、そして女優へと売り込みを始めます。
しかし、ルカには知られるとスキャンダルになる過去がありました。

芸能界ってよくわかりませんが、売れない人は使い捨てというのが普通なのでしょうかね。
売れると、これほど儲かる仕事もないのでしょうね。
芸能界に入った人を何人か知っていますが、そのうち一人は有名になり、もう一人は少女グループに入っていて、二番手ぐらいかな(?)、一人はCDを出したけど、今はどうしてるのって感じかな。
売れる人と売れない人の違いはなんなのでしょうね。
それこそ美人やイケメンはいっぱいいるし、美人やイケメンじゃなくても売れる人はいるし。
よくわからないというのが実態でしょうか。

この漫画に関していうと、最後があっけなくて、残念。
テレビを見ていると、もっとたたかれ、大変なことになっているような気がします。

そういえば、この頃のマスコミ報道を見ていると、うんざりしますね。
はっきり言って不倫であろうが何であろうが、どうでもいいんですがね。
有名人って大変ですね。



「僕は有名じゃないので大丈夫です」by 弟犬。
「何が大丈夫なの?ウ〇チふっとばす、おバカ犬で有名よ」by ママ。

岡井崇 『ノーフォールト』2017/07/17

現役の産婦人科医の書いた本です。
医師で本を書く人は結構いますが、自分の臨床の現場のことを描くことは勇気のいることだと思います。


大学病院に勤める産科医、柊奈智は当直の深夜、容態が急変した妊婦に緊急帝王切開を行い、胎児を救いました。
しかし、母親の方の出血がひどく、病棟医長の君島の助けを借り、無事に止血をしました。
その後、原因不明の出血が続き緊急手術をするのですが、奈智たちの必死の努力もむなしく、母親は死亡してしまいます。
この母親のことは奈智の心に重くのしかかります。

奈智は卒後5年目、患者の信頼も厚い産科医でしたが、シングルマザーで子供を自分の母親にあずけながら働いており、毎日の過重労働で疲れ切っていました。

医師としての仕事を何とか継続していた奈智でしたが、遺族に名指しの訴訟を起こされます。
遺族に信頼されていたと思っていたのに、そうじゃなかったのか・・・。
思い悩む奈智。
そんな彼女に追い打ちをかけるような心無い弁護士からの罵声に、ついに奈智は追い詰めら、精神的に不安定になってしまいます。

奈智たちに過失があったのか。
裁判で争われることになりますが・・・。

この本は2007年に書かれています。
産婦人科医になる医師が減少しているとの報道があって、あれから何年も経っていますが、現状はどうなのでしょうか。
近所でお産をしたいという妊婦たちの望みはかなっているのでしょうか。
実は私の祖母は助産婦でした。
何千人もの赤ちゃんを取り上げていました。
今は亡くなりましたが、話を聞いておけばよかったと今更ながら思います。

この本を読んで、現代医学は万能ではないということを再認識しました。
昔よりもお産で亡くなる人が減ってはいるけれど、常にリスクがあるということを肝に銘じておかなくてはならないと思います。
どの医師も全力を尽くして患者を救おうとしている(と思いたい)ことは理解しておりますが。

最後の手紙はちょっといらなかったかな。
誰だ、これはと思ってしまいました(笑)。


真面目な本の後は笑っていただきましょう。
スヌーピー小屋でひっくり返る兄犬です。


何故か頭が出ています(笑)。