久坂部羊 『人間の死に方 医者だった父の、多くを望まない最期』2017/09/03



久坂部さんのお父様のことを書いた本です。

久坂部さんのお父様は医者なのに医者嫌い。
人と争わず、先手必勝ではなく、「先手必敗」。
糖尿病になったのに、血糖値は測らず、薬は飲まず、ほったらかしで好きな物を食べて暮し、後に左足の指が壊死して真っ黒になっても、インシュリンの量を適当に増やすというとんでもないことをして、自然治癒させてしまいます。
外科医から麻酔科医になり、定年を楽しみに働き、定年になったら仕事をきっぱり辞めます。
85歳になって前立腺がんになった時は、「しめた!これで長生きせんですむ」と喜んだんですって(85歳ですから、どう考えても長生きですよね)。
晩年、認知症になりましたが、絶妙な認知症で、最期まで自宅で過ごしたそうです。

久坂部さんも書いてますが、お父様がこのように過ごせたのは息子の久坂部さんが医者であることが大きいと思います。
普通の人はこれほどおおらかにしていられません。
まあ、久坂部さんがずっと家にいて、つきっきりでお父様の世話をしていなかったということもありますよね。
圧迫骨折が治っても、リハビリを嫌がり、自分から動こうとしないで、周りの人にすべてやらせようとするなんて、まるっきり昔の男性です。
お父様の側にいたお母様がお父様に腹を立てて、虐待まがいのことをしたこともあると書いてありますが、お母様の気持ちもわかりますわ。
とにかくお父様、うらやましいです。

さて、私たちはこのような最期を迎えられるでしょうか。
これからどんどん老人人口が増え、病院や介護施設に入れる人数も限られ、在宅を余儀なくされますが、在宅医療を支える医師は増えていくのでしょうか?
医療に大きな期待をせず、あるがままにいくしかないようですが・・・。

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