西條奈加 『世直し小町りんりん』2017/09/08



ボールがあると口にくわえて絶対に話さない弟犬。
兄は何をしているかというと、ママの背後に隠れています。
弟のボールに執着する姿が怖いです。



表紙の絵となんか変な題名で、読まなきゃよかったになるかと思ったら、意外とよかったです。

武士の娘なのに、母が芸者だったため、長唄の師匠になり一人暮らしをしているお蝶は、三味線も歌もうまいきっぷのいい美人で高砂弁天と言われています。
彼女の腹違いの兄の南町奉行所当番方与力、榊安之には方向音痴だけれど薙刀の達人の観音様のような美人妻、沙十がいました。
安之は妹のことが心配で、何とかして組屋敷で一緒に暮らせないかと思っていました。
沙十が一計を案じ、お蝶は兄夫婦と暮すことになります。
この義理の美人姉妹が持ち込まれる頼まれごとを一緒に解決していきますが、なんとこれらの些事の陰に大きな陰謀が・・・。

とっても魅力的な二人です。
沙十はものすごい方向音痴なところがありますが、思慮深く、頭が切れ、薙刀で悪党どもをバッサバッサ切り捨てていく意外性がいいです。
お蝶は情に厚く、癇癪持ちですが、素直で気がよく、策士の姉にいいように扱われているようですがね。
兄といい兄嫁といい、見かけに騙されてはいけません。

シリーズ化してもらいたい作品です。