谷村志穂 『移植医たち』2017/11/12



1985年、アメリカに三人の医師が最先端の医療を学ぶために旅立ちました。
彼らはピッツパーク大学のセイゲルの講演を聞き、彼の熱意に打たれ、彼の元で臓器移植を学びたいと思ったのでした。
日本では札幌で心臓移植が行われて以来、臓器移植はタブーとなっていました。
セイゲルは意欲的に臓器移植を行っていました。
医師たちは動物実験でデータを集め、手技を向上させ、移植後に起こる拒絶反応を抑えるための免疫抑制剤の開発をしていました。
久南大の佐竹山はセイゲルの手足となって奮闘し、全臓器移植を成し遂げ、セイゲルの後継者とまで言われるぐらいになるのですが、移植医療構築のために日本へ戻るという選択をします。
しかし、日本では移植はなかなか受け入れられません。

日本はまだまだ移植医療は後進国ですよね。
脳死という概念がまだ受け入れられないのです。
本の中にも出てきましたが、脳死ではまだ心臓が動いているので、人は生きているように見えるのです。
ドナーがなかなかでなくて、移植はできない状態ではないでしょうか。

死んだ人の臓器をもらい生き続けることはどうなんだろうとも思います。
医師たちが患者を助けようとする気持ちには感動しますが、移植は神の領域に踏み込んでしまうような気もします。

医療小説としてもおもしろいと思うのでお勧めします。
動物実験反対の人は読まない方がいいかも(笑)。