中山七里 『ヒポクラテスの憂鬱』 ― 2018/03/01
『ヒポクラテスの誓い』の続きです。
修正者(コレクター)と名乗る人物がネットに「全ての死に解剖が行われないのは、私にとって好都合である」などという書き込みをしていました。
同じ頃、埼玉県警のホームページにもコレクターの犯行声明とも思える書き込みがあり、その直後にアイドルが転落死します。
死因を疑問視するコレクターの書き込みがあり、捜査一課の刑事・古手川が浦和医大法医学教室に協力を依頼してきます。
光崎藤次郎と新米助教の栂野真琴が司法解剖をしてみると・・・。
その後もコレクターの示唆どおりに病死や自殺の中から犯罪死が発見され、県警と法医学教室はてんてこ舞い。
一体、コレクターとは誰なのか。
何故、彼は関係者しか知りえない情報を知っているのか。
なんとなく犯人がわかってしまいましたが、出てくるキャラがおもしろいので、安心して読める本です。
法医学以外にも真琴と古手川の恋の行方も気になりますが(笑)。
次回作も楽しみです。
中島久枝 『いつかの花』&『なごりの月』 ― 2018/03/02
お土産に江戸の上生菓子をもらい、江戸のお菓子に興味を持った小萩は、遠戚がやっている日本橋の菓子屋で、一年の約束で働き始めます。
二十一屋、通称「牡丹堂」は家族と職人二人で営む小さな見世ですが、お菓子の味は天下一品。
その上、菓子を学びたいと言う小萩の気持ちをくみ、教えてくれる懐の深さもあります。
しかし、一年はすぐに経ち、もっと菓子を学びたい、ここにいたいと言えない小萩でした。
生まれ故郷の村に帰り、旅籠をやっている家の手伝いをしている小萩ですが、菓子職人になりたいという夢は忘れられません。
友達や姉にはそれがわかっていて、小萩に色々と言いますが、小萩はなかなか親に言えないでいました。
姉の結婚式が近づき、お祝いにお菓子を作ることになります。
姉の結婚式の後、小萩はやっと家族に気持ちをうちあけ、牡丹堂に戻れることになりました。
牡丹堂にはかつて見世で働いていた鷹一が現れ、牡丹堂の近くに天下無双という見世を出し、ことごとく牡丹堂の作る新作菓子をマネしてきます。
そんな折、金耕堂という版元が二十一屋と天下無双とで兄弟対決をやらないかという話を持ってきます。
さて、勝負はいかに。
不器用な小萩が、どのように努力して菓子職人なっていくのかが読みどころです。
職人の伊佐とどうなるのかしら?
ほんのりとしたお話です。
昨日の暑さからか、またまた兄がひっくり返って寝ていました。
お腹が熱いと眠れないのしょうか?
兄とは正反対の弟は潜り込むのが好きなので、昨夜もハウスの中のタオルの下に入って寝ていました(笑)。
『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』を見る ― 2018/03/03
久しぶりの映画鑑賞です。
本当はもっと見に行きたいのですが、電車内や映画館の空気が悪いのか、咳がでてくるので行くのがおっくうになってしまいました。
ロンドンでストリートミュージシャンを目指しているジェームズは薬物依存症で、親に見捨てられ、住む家もなく、路上生活をしていました。
更生プログラムを受けていましたが、ついつい友人からもらったヘロインを使ってしまい病院へ運び込まれてしまいます。
病院にやってきたソーシャルワーカーのヴァルからはこれが最後だと宣言されましたが、彼女のおかげで住まいを援助してもらえることになります。
そこに茶トラの猫が迷い込みます。
飼い主を探しますが、誰も名乗り出ず、ジェームズが演奏をしにバスに乗っていこうとすると、ついてきます。
ボブ(猫)はこんな風にジェームズの肩の上にのるのが好き。
演奏している時もずっとそばにいます。
なんと猫のボブは本人がでているそうです。
この映画は実話なんです。
ジャンキーのジェームズを遠巻きにしていた人たちもボブがいると演奏を聞きにやってきます。
ボブのおかげで投げ銭もいっぱいもらい、暮らしにも少し余裕ができました。
しかし、嫌がらせをする人たちも現れます。
犬の飼い主といざこざがあり、ジェームズは路上演奏を禁止されてしまいます。
仕方ないので、「The Big Issue」を売り始めると、ボブかわいさで雑誌を買ってくれたり、チップをくれる人が沢山いましたが、今度は同業者からクレームがつき、一カ月間、雑誌を売れなくなりました。
お金を稼ぐすべがなくなったジェームズとボブは、どん底の生活をしながらもがんばります。
そして、ボブという心の支え、護るべきものを手に入れたジェームズは、薬を断つ決心をします。
いつしかボブとジェームズのことが評判になり、出版社から本を出さないかという申し出がきます。
ボブを買い取ろうという親子がでてきて、その言い分にびっくりしました。
何でもお金で買えると思っているんですね。
上流(中流?)階級のエゴか。
とにかくボブがすごい。
自然な演技です。
ボブとのことを書いた本がベストセラーになり、印税が入ったジェームズは家を購入し、後のお金は動物の保護やホームレス救済団体に寄付をしたそうです。
ボブみたいに抱いて色々なところに連れて行ってあげたいのですが、犬が入れるところが少ないから、ペットショップ以外は行けないわね。
イギリスみたいにバスに乗れたり、スーパーに入れたらいいのだけど。
「僕もママさんと一緒にいろんな所に行きたいな。ボブよりも僕の方がかわいいでしょ」by 兄。
「兄よりも僕の方がイケメンです」by 弟。
知野みさき 上絵師律の似面絵帖シリーズ ― 2018/03/04
律は辻斬りで母を亡くし、上絵師であった父もその後事故で亡くなってしまいます。
父の跡を継ぎ、着物の絵付けをする上絵師となりますが、女で実績もないため、着物の絵付けの仕事はなく、巾着や風呂敷などの小物の絵付けをして暮らしています。
心を寄せる幼馴染の同心が持ち込んだ似面絵を見て、「私が描く方がまし」とつい言ってしまったため、似面絵を描くことになり、それが副業となり、様々な事件に関わることとなります。
上絵師としての仕事はなかなか上手く行かないのに、その反対に、副業の似面絵の評判はよく、注文が次々と舞い込んできます。
そんな折、父が描いた母を殺した辻斬りの男の似面絵とそっくりな男がいた、父の持っていた根付が質屋にあったという情報が舞い込みます。
仇をとろうとその質屋に単独で乗り込む律。
幼馴染の同心・涼太は律の身を案じていました。
上絵師としてやっと着物を手掛けることとなります。
粋人として知られる雪永が親しい女に贈るというのです。
下描きを見せても色よい返事はもらえません。
着物を贈られる千恵に会いにいき、どういう着物を望んでいるのかを知ろうとしますが・・・。
仕事も恋も、少しずつ進展していきますが、まだまだこれから色々とありそうな感じです。
次で終わりかな?
律の描いた着物を見てみたいと思います。
どんな感じなのでしょうね。
知野みさき 『深川二幸堂 菓子こよみ』 ― 2018/03/05
食いしん坊で甘い物が好きなので、江戸時代の菓子屋の話を続けて読んでみました。
こちらの本は男性菓子職人のお話です。
修行先で飼い殺しのような立場になっていた弟のことを心配した兄・光太郎は、お金を用意し、自分の仕事を辞め、弟と一緒に深川で菓子屋「二幸堂」を始めます。
自分は菓子を作れないので、もっぱら売る方。
光太郎は人当たりのいいイケメンで、彼を目当てに来るお客もいます。
一方、菓子を作る以外のことにはまるっきり不器用な弟・孝太郎ですが、餡を作らせれば右に出る者がいないほどです。
兄と弟、二人のいい関係からかお馴染みさんもできて、なんとか見世はやっていけそうでした。
そんな頃、孝太郎はよく菓子を買いに来てくれる三味線の師匠が昔、吉原で会った人に似ていることに気づきます。
弟思いの兄と恋に奥手の弟。
心が温かくなるお話です。
さて、我が家のおぼっちゃまたちは・・・。
庭で遊ぶと「持って来い」だけでは満足せず、ボールを欲しがる弟。
白い風呂桶にボールが入っているのを知っているので、こうやってボールを探しています。
それにしても足が短いですね(笑)。
気難し屋の兄は弟を苛める以外には、葉っぱを食べるのが好き。
この頃、パパに反抗しています。
パパに嫌なことをされそうになると怒るようになりました。
自分が家族の中で一番だと思っていると犬の訓練士に言われそうですが、たまにかまってやろうと、ちょっかいを出すパパがいけません。
ジッと見る・・・。 ― 2018/03/06
この頃、弟の食べる速さが遅くなりました。
何故だか理由はわかりません。前はガッツイテいたのに。
そのためサッサと食べ終わってしまった兄がおこぼれにあずかろうと、こういう風にジッと食べているのを見ています。
ひょっとして、いつもいじめる兄に対して見せつけるために、弟はゆっくり食べているのではないかしら?
しかし、ささ身のゆでたのをやった昨日は食べるのが早かったわ。
ただ単に餌が気に入らないだけだったりして・・・(笑)。
市井豊 『聴き屋の芸術学部祭』&『人魚と金魚鉢』 ― 2018/03/08
おもしろい題名なので、読んでみました。
「聴き屋」って何でしょう。
その名の通り、人の話を聴く人のことです。
無料なので、仕事ではないというのがポイントです。
ある大学の芸術学部生で文芸サークル第三部<ザ・フール>のメンバーである柏木君は、人の話を聴くことが得意でした。
というか、何故か彼に色々な人が愚痴ったり、話かけてきたりするんです。
そのため人よせパンダとして、芸術学部祭で「聴き屋」を命じられてしまいます。
彼のおかげで<ザ・フール>の文芸誌は売り上げがよく、打ち上げ代もおつりがでるほどでした。
が、芸術学部祭の最中に殺人が・・・。
柏木君は自分の得意技を使い、犯人をつきとめようとします。
こちらの本の方がお勧めです。
誰も死なないですし、大学生という身分の柏木君たちの(おバカな)様子がよく描かれていると思うからです。(かくれんぼなんてするかよ)
大学生は何者でもないからいいんです。
過去に戻れるとしたら、大学時代なら戻ってもいいかな。
今の精神状態のままで体だけ大学生になれるんならいいんですが(笑)。
まだ若い作家さんなので、これからの活躍が期待されます。
聴き屋はまだまだ続きが書けそうです。
第158回芥川賞受賞作品を読む ― 2018/03/09
今回の受賞作は2つともにおもしろく読めました。
74歳の桃子さんは一人暮らし。
夫は死に、子どもとはめったに会わない。
娘がひょっこり現れたと思ったら、お金の無心。
息子とは電話でたまに話すぐらい。
友達もこれといっていない。
一人で思うことは、昔のこと。
結婚式の前に故郷を飛び出し、東京へ。
夫の周造と出会い結婚し、子どもが二人できた。
夫が死に、一人になった。
老いて、身体も思うように動かず、桃子さんは何を思うか。
インドのチェンナイで百年に一度という洪水が起こった。
借金のため、チェンナイの日本語学校で働くことになった私は、生徒たちと悪戦苦闘の毎日。
どこまでが幻想か、どこまでが現実か、混沌とした叙述に、最初はとまどいましたが、若い頃に行ったインドを思い出し、こんなことありそうとか、うん、うん、そうねとか思いながら楽しく読み進んでいけました。
今まで芥川賞を取った小説の中では異質かもしれませんね。
「ママさん、遊びましょ」と二匹が現れます。
でも、今日は雨。残念でした。
外での用事がすんだら、家の中で遊びましょうね。
地面からムクムクとクリスマスローズが出てきました。
ブチありと白、そしてもう一種類あったはずですが、見当たりません。
森見登美彦 『夜行』 ― 2018/03/10
何故、ボールの横から舌が出ているの?
『夜は短し歩けよ乙女』や『有頂天家族』を読んでいたので、それ系の話かと思ったら、ちょっと志向が違っていました。
絵からしてパラレルワールドに関するファンタジー系かな?
英会話スクールの仲良しグループが鞍馬火祭りに集まりました。
10年前の火祭りの日に、仲間だった長谷川さんが神隠しにあったように行方不明になっていました。
その日、私は長谷川さんに似ている女性を見かけ、付いていくと、彼女はある画廊に入っていきました。
私も画廊に入ってみると、女性はいなく、そこには岸田道生の描いた『夜行』という銅版画が展示されていました。
仲間と会って親交を深めているうちに、彼らも『夜行』を見ていたことがわかります。
一人一人、『夜行』にまつわる話をしていくと・・・。
「春風の花を散らすとみる夢は さめても胸の騒ぐなりけり」西行
私たちのいる世界が本当の世界なのかどうか、ひょっとすると・・・と疑いたくなります。
また、桜の季節が来ます。
どこに行こうかしら。
ハンバーガーが好き♬ ― 2018/03/11
いつも弟にボールを取られるので、ボール遊びをしなくなった兄。
300円ショップに犬の遊び道具があったので買ってきて、兄がどうするか見てみました。
すると・・・。
すぐにハウスに持っていきました。
ハウスの中をのぞいてみると、外に出て咥えて駆け回ります。
右目で睨んできます。
最初は咥えられなかったのに、どこを咥えるといいか学びました。
取るなよと言っています。
やっぱり犬はいくつになっても遊びたいんですね。
ネズミ取りの弟がいないと安心して咥えられるようです。
かわいそうなので、今度からは弟がいないところで遊んであげますわ(笑)。
遊びを終わりにしようとすると、嫌だと逃げ回ります。
おやつでつろうとしてもダメです。
家の犬たちは おやつ<おもちゃ という感じです。
夫が手を出すと、仕方なく離しました。
「僕はいいです。ボールさえあれば。フン。」by 弟。
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