原田マハ 『モダン』2018/05/08



MoMA (The Museum of Modern Art,New York)に関する短編集。
MoMAに働く様々な人たちが主人公です。

第一話が一番心に残っています。
第一話は東日本大震災の時に、MoMAはアンドリュー・ワイエスの「クリスティーナの世界」をふくしま近代美術館に貸出していたのですが、その絵を返してもらうために派遣された日系アメリカ人の話です。
(あくまでも物語ですが)


「クリスティーナの世界」とはこんな絵です。
絵のモデルのクリスティーナさんはワイエスの別荘の近くに住んでいる人で、病気のためだんだんと歩けなくなり、この絵が描かれた55歳の頃には半身不随になっていたそうです。
ワイエスは外の用事をすませ自分の家に向けて這って進んでいる彼女の姿を見かけ、絵にしたのです。
実は私はクリスティーナさんのことを知りませんでした。
ワイエスの展覧会でこの絵を見たのですが、這って家に帰ろうとしている姿だとは思いもしませんでした。
絵は背景を知ると、見方が変わりますね。

あれから7年。
何事もなかったかのように暮らしていますが、まだ終わってはいません。
クリスティーナの姿にフクシマをダブらせ、それでもまだ希望はあると訴えているようです。

MoMAにいつか行ってみたいです。