蓮見恭子 『シマイチ古道具商―春夏冬人情ものがたり―』2018/07/08



幼い時に母が亡くなり、高校卒業まじかに父も亡くなり、天涯孤独になった透子は、好きだった美術教師に相談しにいき、あれよあれよという間に彼と結婚してしまいます。
しかし、夫になった荘市は保護者のクレームがきっかけに、神経を病んでしまい、家族そろって堺の町屋で古道具屋を営む夫の実家へ身を寄せることになります。

透子は女学生をそのまま大人にしたような人で、その夫は影が薄く、古道具屋の舅、市蔵が頑固だけど一本筋の通った人です。
舅と一緒に住むことで透子もだんだんと地に足がついてきます。

古道具屋の家族とそこへやってくる人々のことを描いた作品です。

堺には行ったことがありませんが、大阪ですから人情とばかり言ってらんないものがありそうです。なにしろ商売人ですからね。
そうそう、著者の蓮見さんは堺市出身なのだそうです。
実在するものを登場させているそうなので、堺に行ったことのある方は読むとおもしろいかもしれませんね。
築300年の商家を改築した「さかい茶寮」は「茶寮 つぼ市製茶本舗 堺本館」がモデルだそうです。
HPを見ると、浅草店もあるようですが、行くことがあれば、本館の町屋の方に行ってみたいです。