伊吹有喜 『四十九日のレシピ』2018/07/22



熱田は妻の乙美を突然亡くし、生きる気力を失い、家の中はゴミだらけ、食べる気もおきず、口にいれたのは牛乳だけという生活を送っていました。
そういう熱田の元に、昔流行ったガングロギャルメイクをした金髪頭の女の子の井本がやってきます。
彼女は乙美の教え子で、乙美から彼女が死んだ後、四十九日まで家事などをやってほしい、そして四十九日には大宴会をやるようにと頼まれたというのです。
熱田は知らなかったのですが、乙美は「リボンハウス」という施設で少女たちに絵手紙や料理、所作などを教えていたのです。
そういう時に、娘の百合子が出戻ってきます。
乙美は百合子にとっては継母で、最期まで素直に接することができず、そのことを悔いていました。
結婚して、現在は義母の介護をしていましたが、夫が不倫をしていたことがわかり、実家に戻ってきたのです。
井本の存在に戸惑う二人でしたが…。

『風待ちの人』でもそうでしたが、読後感がとてもいい本です。
とんでもない人もいますが、出てくる人たちは概して生きるのが不器用なだけで、優しくて。
幸せってなんだろうと考えさせられます。
死んでしまっちゃお仕舞だけど、生きてるうちは精一杯好きなことをして、好きな人には優しく接しなくてはね。

テレビドラマや映画になっているようですが、俳優さんたちを見るとイメージとはちょっと違うような気がします?
井本はガングロギャルメイクなはずなのに、すっぴん風かゴスロリで、熱田が四朗、バカ夫が…。
まあ、見なければいいことなので、いいのですが(笑)。

この作家さんが他にどんな本を書いたか興味があるので、他も読んでみますわ。