伊吹有喜 『BAR追分』2018/08/01

暑い、暑いと言っているうちに八月になってしまいました。
このまま9月に突入してしまうのでしょうか?
秋が短く、すぐに冬になってしまうのかしら?


この頃、伊吹さんの本を続けて読んでいます。
「BAR」は「バー」と読んだり、「バール」と読んだりしますが、この本の題名では「バール」です。

新宿三丁目の交差点近くにある「ねこみち横丁」の奥に、「BAR追分」はあります。
昼は「バール追分」で珈琲や定食を、夜は「バー追分」でカクテルやおつまみなどを提供しています。

宇藤の勤めるHPとウェブ作成会社がねこみち横丁振興会のHPの仕事を請け負いましたが、担当の女性が退職し、会社も三週間後に解散という事態になってしまいました。
宇藤が振興会に行き、謝った上で他のHP作成業者を紹介することになりました。
しかし、また最初から新しい業者と打ち合わせするのは面倒で嫌だから、宇藤に作るようにと言い出し、押し切られ、仕方なくHPを作らされます。
結果は残念ながらしょぼい出来。
それなのに、振興会の人たちは満足し、その上、次の仕事のあてがない宇藤に振興会の専従職員にならないかとまで言うのです。

成り行きでねこみち横丁振興会の専従職員になってしまった宇藤は、実はシナリオライター志望でした。
今でも書いていたのですが、なかなか芽が出ず、ちょっと投げやりになっていました。
振興会で働きながら、シナリオコンクールの作品は書けるのか・・・。

「バール追分」担当の癒し系女子・桃子の作る料理は本当に美味しそうです。
たまになんということのない食べ物の話がでてきますが、今回はカレーのトッピングの話をする場面なんか、いいです。

新しい発想としては、デパートが自分のクローゼット、「秘密の衣裳部屋」と思うというのは、楽しいですね。

宇藤とねこみち横丁の面々、そして、そこにやって来る人々が織りなす物語です。