知念実希人 『祈りのカルテ』&『崩れる脳を抱きしめて』2018/08/28

知念さんの『仮面病棟』はあまり好きではなかったのですが、『神酒クリニックで乾杯』がまあまあで、『崩れる脳を抱きしめて』が本屋大賞にノミネートされていたので、2作品を読んでみました。
どちらもサクッと読めます。


医科大学附属病院の研修医・諏訪野良太のお話。
諏訪野は初期臨床研修で、内科、外科、小児科、皮膚科など様々な科を回り、未だに専門をどこにしようかと迷っている。
何回も睡眠薬過剰摂取を繰り返す女性や初期胃がんなのに内視鏡手術を拒否する男性、火傷の理由で嘘を言う女性、喘息発作で運ばれてきた女の子、心臓移植をしないと生き続けられない女優など、主治医が気づかない患者の隠された気持ちを的確に掴んでいく諏訪野。
最終的に彼が選んだ科とは。

彼のような医師がいると患者にはありがたいのですが、実際はいないわよねぇ。
ホント、読みやすい本です。
しいていうと新米医師が出てくる話なら、『神様のカルテ』のようなのが私の好みです。



これまた脳外科医を目指す研修医のお話。
広島の大学から神奈川の葉山の病院を紹介され、実習に来た碓氷は最悪の脳腫瘍を患うユカリと言う女性と出会います。
ユカリは脳に爆弾を抱えたまま病室に閉じこもり絵を描き続けていました。
いつしか二人は心を通わせていきますが、実習を終えた碓氷は広島に帰ります。
そこでユカリが亡くなったことを知り、そのことを確かめるために葉山の病院を訪れると、ユカリという患者はいないと言われます。
ユカリは碓氷が作り上げた幻像だったのか・・・?

勝手に仲良くやってくださいという感じの三分の二。
そして、ミステリ色が出てくる最後の部分。
う~ん、どう考えてもミステリというよりも恋愛物でしょう。
嫌いではないけど、読まなくてもよかったなぁ・・・。
まあ、それこそライトノベルと思って読めばいいのでしょうね。

医師の書いた小説の中では一番ライト級ですね(笑)。