原田マハ 『旅屋おかえり』2018/10/01



題名を見た時に旅館の話かと思って読むのをやめていました。
ところが、全く違いました(笑)。

売れない30過ぎの元アイドル、”おかえり”こと丘えりかの唯一のレギュラー番組である『ちょびっ旅』が打ち切りになってしまいます。
えりかがスポンサーの名前を言い間違えて連呼してしまったため、スポンサーを怒らせてしまったのです。
彼女の所属しているよろずやプロに、所属するタレントは彼女だけ。
これでは社長も事務及び経理担当副社長も暮らしていけません。
最後の手段として、「脱ぐ」?

そんな時にえりかは大事なバッグを電車の中に置き忘れてしまいます。
そのバッグをひろってくれたのが、えりかのファンだった女性で、彼女は自分の娘のためにある依頼をしてきます。
この依頼からえりかたちはタレント業から旅の代行業「旅屋」を思いつきます。

「気がつくと、今日もまた旅をしている。
 旅が好きだ。「移動」が好きなのだ。移動している私は、なんだかとてもなごんでいる。頭も心もからっぽで、心地よい風が吹き抜けていく」

私も”おかえり”のように旅に出たいです。
停滞は心をネガティブにします。
移動していると、この言葉のようになごみます。
実際に旅に出られないので、本を読んで頭の中で移動しているのかもしれません。

心がほんわかする本です。
疲れた時や旅に出たい時に読むのがお勧めです。