木皿泉 『さざなみのよる』2018/10/09



久しぶりに大田黒公園に行ってきました。
紅葉はまだまだ。
来週は灯籠を灯すようです。
この頃認知度が上がったのか、人が多く、特にサラリーマン風の人が増えているような感じです。


前のような静かな感じがよかったんだけど・・・。



小国ナスミは43歳で癌で亡くなった。
彼女の死後、彼女を知っていた人たち、つまり姉、妹、夫、同居している父の叔母、中学校時代に一緒に家出をしようとした同級生、同僚、ナスミを誘拐しようとした男性などの間に、ナスミの残した言葉や思い出がささなみのように広がっていく様を描いた作品。

印象的だった言葉があります。
上司と不倫していた同僚が知らない間に堕胎されていたと聞き、ナスミがその上司に飲み会の席で殴りかかります。
その時、同僚はナスミに感謝しつつも、他の人の目があるので、何事もなかったかのように振る舞い、その後、その上司に仕事を紹介してもらい暮らしている。
そのことを悔いている彼女は病床のナスミに会いに来た。
彼女にナスミはこう言う。

「お金にかえられないものを失ったんなら、お金にかえられないもので返すしかない」

読みながら、自分が死ぬ時に、今まで経験した嫌なことを思い出してしまったらどうしようと思いました。
今でもたまに思い出しては嫌な気分になることがありますもの。
いいことばかり思いだせるように、今から訓練しておきましょうかね(笑)。