中脇初枝 『世界の果てのこどもたち』2018/10/30

犬たちは混合ワクチン接種後、体調も崩さず元気でした。
よかった、よかった。


中脇さんは児童書も書いていらっしゃる方なのですね。
『きみはいい子』で虐待される子どもたちを描いていたので、この本は「世界」がつくからどこか日本以外の国の子どもたちの話かと思っていたら、戦時中の満州で出会った3人の子どもたちの話でした。

戦時中、高知から満州に開拓民として渡った珠子。
横浜の恵まれた家庭で育ち、たまたま父親と一緒に満州にやってきた茉莉。
朝鮮南部で生まれで、満州で日本人のもとで働けば食べるのに苦労しないと、両親と共に満州に渡った美子。
この三人が戦争により、たまたま満州で出会い、稀有な一時を過ごします。
やがて、終戦が訪れます。
珠子は誘拐され、親切な中国人夫婦に買われ、日本に戻った茉莉は孤児に、日本に渡った美子は在日となります。
それぞれに過酷な人生を歩むことになりますが・・・。

茉莉がこういうことを言っています。

「わたしね、死にたくないの。わたしが死んだら、わたしの記憶もみんな消えちゃうでしょ。そうしたらきっとなにもかも、なかったことになる。そうしたらきっと、愚かな人間は、同じことをくりかえす」
「わかっているのよ。わたしも同じ、愚かな人間だから」

忘れることも必要ですが、忘れてはいけないことがあります。
愚かな私たちは何度でも思い出すことが必要なのでしょうね。

今の平和な日本で、ハローウィーンということで浮かれ、暴れる若者たちを見て、彼らは幸せなのかしら?
とふと思いました。