北川恵海 『ちょっと今から仕事やめてくる』2018/11/12



就職戦線でことごとく負け戦だった青山が、やっと内定をもらったのが中堅の印刷会社でした。
ここでもいいかと思い、軽い気持ちで働き始めたら、そこはパワハラと長時間労働がまかり通るブラック企業でした。
毎日、這うように会社に行き頑張っていたのですが、ある日、無意識にホームから飛び込もうとしていました。
その時、声が聞こました。
「久しぶりやな!俺や、ヤマモト!」
ヤマモトは自分は小学校時代の同級生だと名乗りました。

それから青山はヤマモトと親しくなり、一緒に飲んだり出かけたりするようになります。
ヤマモトは青山に会社を辞めることを勧めますが、一旦会社に入ったら辞めてはいけないと頑なに思っている青山は会社に通い続けます。
そんなある日、ふと疑問が沸き起こります。
一体ヤマモトは誰なのか?
本当に同級生のヤマモトなのか?

前に読んだ『西の魔女が死んだ』の大人版という感じです。
仕事に悩んでいる大人が読むと、少しはスカッとするかもしれません。

仕事を辞める時に、みんなの前で青山が言う言葉がいいですね。

「でも、そんな僕でもひとつだけ変えられるものがあります。それが、自分の人生なんです。そして、自分の人生を変えることは、もしかしたら、周りの大切な誰かの人生を変えることにつながるのかもしれない」

その時、その時の自分の居場所を探すことは結構難しいものです。
自分の気持ちに素直になり、ここは違うと思ったら違う場所に行くのもいいでしょう。
でも、どこにもぴったりする居場所がない場合があります。
自分でそこを居心地のいい居場所にするということも必要なのです。

仕事を辞めた青山君が次に見つけた仕事とは何か。
ちょっとベタでしたが(笑)。