桜木紫乃 『霧 ウラル』2018/11/22



桜木さんの本はほぼ読んでいますが、これは読んでいなかったと思います。
昭和30年代の国境の町・根室を扱った作品です。

北海道の最東端の根室に戦前からある河之辺水産の社長には三人の娘がいました。
長女の智鶴は国政を目指す大旗運輸の御曹司に嫁ぎ、次女の珠生は家を飛び出し、芸者になり、その後、相羽組組長の妻となり、三女の早苗は河之辺水産の跡取りとして実家を継ぐため、金融業の杉原家の次男を養子にすることになっていました。

女たちの生き様がすさまじいです。
夫を政治家にするために妹たちをも利用する長女。
相羽の心のありようがわからず苦悩しつつも鬼になろうとする次女。
自分が家を継がなければならなくなり、不満タラタラの三女。
それに比べて男たちは・・・。

これぞ桜木という作品です。
根室に行ったことはないけれど、たぶん暗い荒れた海の町なんだろうなぁ。
(根室のみなさん、ごめんなさい)

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