篠田節子 『鏡の背面』2018/12/17



薬物やアルコール依存、性暴力、DV被害などによって心的外傷を負った人々の社会復帰を目指す「新アグネス寮」が火災で焼け落ちてしまう。
「先生」こと小野尚子は悲母観音とか聖母とか言われ、人々から敬愛されていたが、赤ん坊とその母親を助けたために逃げ遅れて亡くなってしまいます。
彼女の盛大な「お別れ会」が開かれた後に「小野尚子」として亡くなった遺体は別人のものであることがわかります。
ライターの山崎智佳は前に「小野尚子」を取材したことがあり、その関係から新アグネス寮代表の優紀と共に、死んだ「小野尚子」は誰なのかを突き止めていきます。
そして、わかったことは・・・。

模倣は模倣を究めれば模倣ではなくなるのでしょうか。
善と悪も背中合わせのようなものなのでしょうか。
人は生き直せるものでしょうか。

長さを感じさせない読みごたえのある本でした。