トリミング2019/04/01

今月も犬たちは元気にトリミングをしてきました。
長さはいつも通りで、兄、3㎜、弟5㎜。


トリミング前とあまり変わっていない弟。


耳の毛が長くて落武者風の兄。
兄の耳の毛は短い方がかわいいかも。
次回は切ってもらいましょう。


二匹一緒に撮ろうとすると、こうなるまで大変です。
しばらくすると・・・。


写真を撮っていたら、何故か前面に乗り出してきた弟。
兄よりも先に出ようとする、次男体質です。
側にいる兄は表情も変えずにフセを続けていました(笑)。

吉田修一 『続横道世之介』2019/04/02

花見に行ってきました。


曇りでしたが、いつも以上に人がいてびっくり。
平日なのにシートを敷いて集まって飲み食いをしています。
昨年来た時はこんなことなかったのに。
一端桜が綺麗な場所と認識されると、人がこんなにもやって来るのですね。
花見もゆっくりできなくなりつつありますね。


いつもは川沿いにずっと歩くのですが、寒の戻りのせいか膝の調子が今一なので、バス停近くしか行かないで帰ってきました。



2009年に発売された、大学生になって東京に上京してきたばかりの世之介、18歳を描いた『横道世之介』は読んだはずなのですが、全く覚えていませんでしたが、
この本を読んでも全く問題ありませんでした。

世之介、24歳。
大学は出たけれど、一年留年してしまったためバブルの売り手市場に乗り遅れ、就職できず。
池袋のラブホ近くのアパートに住み、バイトとパチンコで稼ぐ毎日。
人生のどん底にいます。

ある日、床屋に行くと、パチンコ屋でよく会う女が何やら怪しい行動をとっていました。
何故か彼女が五分刈りにするのに付き合うことに。
それ以来、たまに会うことになります。

別の日、大学時代からの親友のコモロンのアパートに遊びに行き、覗きをやっていると美人ママ・桜子を発見。
コモロンがその人のアパートに行くと言いだしたので、ついて行くと、子供がビー玉を喉に詰まれせていて、助けてしまう世之介。
桜子とその息子・亮太と仲良くなり、彼女と付き合い、彼女の実家でバイトをし、息子の面倒までみることになります。

そんな時から27年後。
東京はオリンピックで沸いていました。
彼の出会った人々は世之介のことを思い出すこととなります。

世之介は「善良」な人です。
人を陥れて自分に有利な立場に立とうとかいうような邪心がない人です。
自分が何をしたいとかいう野心は全くありません。
自分を大きく見せようとかいうことはしません。
自然体の人です。
できれば桜子さんと、と願いましたが・・・。

「世の中がどんなに理不尽でも、自分がどんなに悔しい思いをしても、やっぱり善良であることを諦めちゃいけない。そう強く思うんです。」

みんながこう思えたら、もっと生きやすい世の中になると思いますが。
 
そういえば世之介は何になったんでしたっけ?


宮崎誉子 『水田マリのわだかまり』2019/04/04

お仕事本かと思って軽く考えて読んだら、重い本でした。


2つの話が入ってます。

『水田マリのわだかまり』
宗教狂いの母が嫌になったのか、父が出て行った。
水田マリはちょうど高校に入学する時で、自暴自棄になり、三日で高校を辞めた。
それから祖父が昔勤めていた洗剤工場のパートをやることにした。
パートの現場は女たちのいじめがはびこるとんでもない所だったが、唯一、フィリピンの女性たちは優しい。

中学校の時、マリの友達が自殺した。
いじめには加担しなかったが、黙ってその様子を見ていたマリと友達のニコは未だにそのことにやましさを感じていた。
そんな頃、工場で一緒に働いている、いじめの首謀者の母親が娘の誕生日に家に来てもらいたいと言い出す。
仲もよくなかったのに、一体何のために?

『笑う門には老い来たる』
45歳の笑子の中二の娘は急に携帯を解約し、ケーマー(懸賞マニア)になった。
そんな娘の行動をおかしく感じながらも、何も言えずにいた。

実家は電車で二時間かかるところにあり、久しぶりに帰省することになる。
夫は風邪をひいてしまい、娘と二人で帰省したが、父はパーキンソン症候群で認知症状も出てきている。
母も老いている。
これからどうなるのか・・・。

今の日本の問題が書かれた作品です。
今の時代に学生ではない自分はよかったなぁとつくづく思います。
たぶん私、いじめには加担しないけど、いじめの対象になるわ。
いじめはやる方もやられる方も、そして傍観していた人にも心の傷を残すものです。
どうしてこんなにギスギスしちゃったのかしらねぇ、日本も・・・。

介護の問題はこれから益々増えていくでしょう。
両親共に亡くなっているので、親のことは考えなくてもいいのですが、私が介護される立場になった場合、どうなるのか。
夫とは介護が必要になったらすぐに施設に入ろうと話していますが、入れる施設があるかしら?
笑子さんと同じようにこの先どうなるかわからないけど、なんとかなるだろうと思わなければ生きていけませんわね。

どちらの話も最後にささやかな希望があったので、読後感はそれほど悪くないのですが、この本を若い人に読ませると働きたくなくなるでしょうね。
働くことに喜びもあるんだと言いたいけど、通勤電車の人々を見てるとそうも言えないか・・・。

マリたちの会話についていければ、読んでも大丈夫でしょう。
作家さんが若い人かと思ったら、40代で意外でした。

神戸遙真 『ニセモノ夫婦の紅茶店 あなたを迎える幸せの一杯』2019/04/05



なんとも言えない題名ですが、紅茶店というのに惹かれ、軽い物を読みたくて買ってみました。

21歳のあやめは働いているヘアサロンのオーナーで同棲相手の浮気現場に遭遇し、衝動的に家を飛び出し、適当に電車に乗り、千葉の館山まで来てしまいました。
そこで紅茶専門の喫茶店を開店させようとしている秀二と出会い、ひょんなことから喫茶店の手伝いをすることになります。
ご近所さんからは夫婦と勘違いされ、色々と面倒なので偽装夫婦ということにしました。
そんな彼らの喫茶店にやってくるお客さんは・・・。

社交的で何でも首を突っ込もうとするあやめと毒舌で愛想も素っ気もないけど、実は優しい秀二。
意外といいパートナーになりそうです。
しかし、紅茶を美味しくいれられるというのはいいのですが、喫茶店をやるというのに、サンドイッチしか作れないというのはダメでしょう(笑)。

まあ、予想通りの感じでした。
読んでいると館山に行きたくなりました。

神戸遙真 『休日に奏でるプレクトラム』2019/04/06



通りかかった公園の桜。
今日で満開。
早く膝を治して、来年は気の済むまで花見をしようっと。



今気づいたのですが、『ニセモノ夫婦の紅茶店』を書いた人の本ですね。
二冊とも大分前に読んだので、どちらを先に読んだのか忘れてしまいました。
たぶん何かでこの本を知り読んだ後で『ニセモノ夫婦の紅茶店』の方を読んだようです。

会社員の未奈は休日の予定もなく、仕事にも自信を持てず、公私ともにパッとしない生活をしていました。
ある日、未奈が大学時代にマンドリンをやっていたことを知った上司の堂ノ上に、無理矢理音楽サークルに加入させられてしまいます。
実は未奈はマンドリンサークルで嫌なことがあり、最後の演奏会にも出られず、それ以来マンドリンに手を触れていなかったのです。
会社では良き上司だった堂ノ上は一端楽器を持つとドSの鬼畜になり、ハッパをかけられ、いつしか未奈は音楽会へ向けてサークルメンバーと一致団結していくのでした。

私が通っていた大学にマンドリンのサークルがあり、一緒のアパートにいた福島出身の人が入っていたのを思い出しました。
自分では楽器を弾かないのですが、他の人とのアンサンブルっていいなぁと思います。
もう一度学生に戻れるなら、何か楽器をやりたいですわ。
ただし弦楽器はダメです。
だって指が痛くなるんですもの(軟弱者です)。

山邑圭 『刑事に向かない女』2019/04/07



「刑事に向かない女」とは反語で向くってことでしょうか?

椎名真帆は、警察行政職員の採用試験を受けるつもりが、ネット申し込みで間違って警察官の採用試験の方をポチってしまい、結局、警官の採用試験に受かってしまいます。(こんなことってあるのかしら?)
町田南署の交通課に配属されたのですが、持っている女だったからか、その時の働きを認められ、荻窪東署の刑事となってしまいます。

空き家で女性の刺殺体が見つかり、先輩の古沢と共に捜査を開始しますが、真帆は途中で捜査を外されてしまいます。
理不尽な扱いに納得のいかない彼女は休暇を取り、一人で捜査を続けます。

実は真帆は幼い頃の記憶がありません。
父親は元警官で、21年前、父親に補導された恨みから母親は殺害され、姉に真帆を預けた後、父親は行方知らずでした。
一見関係のなさそうな事件は真帆の過去と繋がっていたのです。

真帆はもともと警官になるつもりはなく、OL気分の上、朝に弱い。
叔母は変な占いに凝っていて、『良く当たる占いおばちゃん』で有名。
日々の鍛錬のせいで半日歩き続けても疲れ知らずになったはいいのですが、初対面の人と話すのが苦手なところは変わらず。
相棒の古沢の古いやり方に反発を覚えつつ、余計なことを言わないようにしています。
一般的な女刑事と言うよりも普通のOLに近い人ですが、どうも持ってる刑事のようなので、これからの成長が楽しみです。
シリーズ化するのかな?


上野歩 『就職先はネジ屋です』2019/04/09



神社に行ってみると、能舞台の上で結婚式をしていました。
結婚式は他の場所でやっているとばかり思っていましたが、こういう風に能舞台の上でもできるのですね。
式に出席している親族は親と兄弟しかいないようです。
神前結婚式に出席したことがないのでわからないのですが、一般的なのでしょうか?



お仕事本として読んでもらいたい本です。
題名そのままのネジ屋のお話です。

三輪勇(ユウ)はことごとく採用試験に落ちまくり、頼みの綱の第一志望の商社は最終面接で落とされてしまいます。
最後の手段として選んだのは、母親が社長のミツワネジ。
コネ入社ではなく、親に内緒でエントリーし、ちゃんと試験を受けました。
入社後、営業部に2名が配属されましたが、ユウだけが長谷川螺子兄弟社というネジ会社に三ヶ月の現場研修に行かされ、実際にネジを作ることとなります。

現場研修後、「新しいネジを提案するネジ屋」になるべく営業として取引先の会社を回りますが、行く会社はネジを扱う商社のみ。
ユウは直接メーカーにネジを提案する営業もしたいと思い始め、飛び込みでメーカーを回り始めますが、全く相手にされません。
しかし、ある日、荒川の河川敷で消波ブロックを作る現場を見ていると、「もっと簡単に締まるボルトがあれば・・・」という言葉が聞こえてきます。
そこでユウはそういうボルトを作れないかと考えます。

前例のないことを始めようとするユウに対し協力者が現れますが、昔からいる従業員の中には面白く思わない人もいました。
そういう声を物ともせず、ユウは仲間と一緒に自由な発想で次々と新しいネジを作っていきます。

どんな物を見ても必ず使われているネジ。
そのネジのことを全く自覚せずにいた私ですが、眼鏡のつるから橋までを考えてみると、ネジって様々な所で使われていて、色々な大きさや形があります。
日本はこういう「ものづくり」を大事にしていかなくてはならないと思いますが、今はどこも人手不足で大変なんでしょうねぇ。

ユウの奮闘する姿に勇気づけられます。
就活中の大学生や若い社会人におすすめの本です。

桜木紫乃 『光まで5分』2019/04/10



北海道の東の町で生まれ沖縄にやってきたツキヨは、いつしか那覇の路地裏の「竜宮城」で身体を売っていました。
奥歯の痛みに耐えられなくなった日、客としてやってきた男にもぐりの歯医者を教えてもらい行ってみると、そこには元歯医者の万次郎と呼ばれる男と同居人のヒロキがいて、ヒロキは万次郎にモナ・リザのタトゥーを入れてもらっていました。
万次郎とヒロキと仲良くなったツキヨは「竜宮城」を出て二人と暮らすことにします。
しかし、そこにツキヨに歯医者を教えてくれた男、南原がやってきて・・・。

北海道を描いていた桜木さんが花村萬月の一声で、沖縄に手を出したようです(笑)。
沖縄は見かけは明るそうでいて、陰は暗そうですものね。
救いようのない話ですが、どんな人でも「光」を求めて足掻いています。
流れていく先に「光」があることを祈りたくなるような物語でした。


中山七里 『もういちどベートーヴェン』2019/04/11



ピアニストの岬洋介シリーズの最新作。

岬洋介は司法試験にトップの成績で受かり、司法修習生として検察庁の実務研修を受けることになります。
ピアニストになるのを諦め、検事になることにした天生高春も同期で同じ研修を受けており、岬と同じグループになります。
岬は外見のみならず才能も秀でているため、教官たちに気に入られており、天生はそんな岬に嫉妬心を抱きつつ、彼の面倒を見ることとなります。
そんなある時、天生は岬の弱点がクラシック音楽であることに気づき、岬を欺きクラシックコンサートへと連れて行くことにします。
そこで岬の運指を見た天生は、岬が自分などには到底及ばないハイレベルなピアノを弾いていたことを知り、愕然となるのでした。

研修生である彼らは実務研修で絵本作家の夫を殺害したとして逮捕された絵本画家の妻の事件に関わることになります。
妻は殺しを認めていませんでした。
妻の言葉を信じた岬は独自の捜査を始めます。
天生は岬と一緒の行動を取りますが、しばらくしてから岬が研修以外の時にいなくなることに気づき、後をつけていきます。
岬が訪れていた場所は・・・。

今回のお話は謎解きはたいしたことがなく、岬がピアニストになることを決めたきっかけに重きが置かれていたようです。
岬のような人が側にいたら、凡人は嫌になってしまいますね。
どんなに努力しても彼にかなわないのですから。
それなのに彼はそんな凡人の心を知らない。
天才ってそんなものですかね。

また別のところで岬に会いたいですね。
今度はもっと音楽が聴きたいです。
ドビュッシー、ラフマニノフ、ショパン、ベートーヴェンときたら次は誰でしょう。
私が知っているのはモーツアルトしかいないけど、モーツアルトかな?

エリー・アレグザンダー 『ビール職人の醸造と推理』2019/04/13



ビール職人というから、身体が大きく太っているビア樽体型の男性を思い浮かべてしまいましたが、主人公は女性です。
酒の杜氏に女性がいるのですから、ビール職人にいても不思議はないですものね。

アメリカのシアトル近郊にあるレブンワースはドイツのバイエルン地方のような町並みとビールを売りにしている小さな町です。

わたしことスローンは町で一番のブルワリー<デア・ケラー>を夫のマックとその両親とで切り盛りしていました。
孤児で様々な里親の家で暮らしてきたスローンはやっと手に入れた家族と共に幸せに暮らしていたのですが、ある日、マックが若い従業員と浮気をしている場に遭遇してしまいます。
怒った彼女は家から夫を追い出し、新しくオープンするブルワリー<ニトロ>で働くことにします。
そこで出すビールはなかなか良く、スローンが考えた料理が好評で、なんとか開店初日を乗り切ることができました。
しかし、翌日、店で死体が見つかります。

他のコージーミステリのように、主人公が事件解決に乗り出すということはありません。
息子のいるビール職人で、新しいブルワリーでどんなビールと料理を出そうかとか夫に浮気され、夫とのことをどうしようかと考えている普通の女性です。
ですから本ではビールの醸造のことが詳しく書かれていて、知らないビールのことがわかって面白いです。
店で出す料理にもビールを使っており、カップケーキなどはどんな味かと思うくらいです。
こういう本にはレシピがついているのが多いのですが、残念ながらついていませんが。

ミステリとしてはそれほど楽しめませんが、ビール好きの人には興味の持てる話でしょう。
次はスローンの母親探しが始まるようですが、どんなビールと料理が出てくるのかしら。
お酒の飲めない私ですが、食いしん坊なのでビールに合う料理の方を楽しみに次を待ちますわ。