エリー・アレグザンダー 『ビール職人の醸造と推理』2019/04/13



ビール職人というから、身体が大きく太っているビア樽体型の男性を思い浮かべてしまいましたが、主人公は女性です。
酒の杜氏に女性がいるのですから、ビール職人にいても不思議はないですものね。

アメリカのシアトル近郊にあるレブンワースはドイツのバイエルン地方のような町並みとビールを売りにしている小さな町です。

わたしことスローンは町で一番のブルワリー<デア・ケラー>を夫のマックとその両親とで切り盛りしていました。
孤児で様々な里親の家で暮らしてきたスローンはやっと手に入れた家族と共に幸せに暮らしていたのですが、ある日、マックが若い従業員と浮気をしている場に遭遇してしまいます。
怒った彼女は家から夫を追い出し、新しくオープンするブルワリー<ニトロ>で働くことにします。
そこで出すビールはなかなか良く、スローンが考えた料理が好評で、なんとか開店初日を乗り切ることができました。
しかし、翌日、店で死体が見つかります。

他のコージーミステリのように、主人公が事件解決に乗り出すということはありません。
息子のいるビール職人で、新しいブルワリーでどんなビールと料理を出そうかとか夫に浮気され、夫とのことをどうしようかと考えている普通の女性です。
ですから本ではビールの醸造のことが詳しく書かれていて、知らないビールのことがわかって面白いです。
店で出す料理にもビールを使っており、カップケーキなどはどんな味かと思うくらいです。
こういう本にはレシピがついているのが多いのですが、残念ながらついていませんが。

ミステリとしてはそれほど楽しめませんが、ビール好きの人には興味の持てる話でしょう。
次はスローンの母親探しが始まるようですが、どんなビールと料理が出てくるのかしら。
お酒の飲めない私ですが、食いしん坊なのでビールに合う料理の方を楽しみに次を待ちますわ。