辻村深月 『ツナグ 想い人の心得』2019/12/05



『ツナグ』で祖母から役割を継いで、7年が経ちました。
歩美は玩具メーカーの会社員をしながら、死者と生者をツナグ役割を果たしています。

顔も知らない父親、事故死した娘、片思いのお嬢さん、そして歴史研究のために歴史上の人物に会いたいという人たちがやってきます。

歩美はある人に想いを寄せています。
彼の恋が成就するといいですね。

あなたはたった一人、亡くなった人に会えるとしたら、誰に会いたいですか?
私はまだ会いたい人がいません。
次の本が出るまでに、会いたい人ができるかしら。

コージーミステリー、三冊2019/12/07



ジャナ・デリオン 『生きるか死ぬかの町長選挙』
CIA秘密工作員で命を狙われているため、シンフルという田舎町に司書で叔母の遺産整理のために来ていると偽って住み始めたフォーチュン。
住んでから二週間しか経っていないのに、色々な騒ぎに巻き込まれ、ずっと住んでいたような感じになっています。

親しくなったおばあさんのアイダ・ベルが町長選挙に出馬することになり、フォーチュンは選挙を手伝うことになります。
しかし、公開討論会の後、対立候補が殺され、アイダ・ベルは犯人扱いされてしまいます。
友の無実を証明するために、フォーチュンはもう一人のおばあさんのカーディと共に探り始めますが…。

おばあちゃんパワー炸裂だったはずですが、今回はアイダ・ベルが活躍できなかったので、パワーダウン。
カーディおばあちゃん、足を引っ張りすぎよ。
フォーチュンもバリバリのスパイだったはずなのに、シンフルに来てから調子が狂っています。
さて、選挙はどうなるのか?

次回はどんな騒動が起こるのか、そしてカーターとどうなるのか。
楽しみです。早く翻訳してね。

M・C・ビートン 『アガサ・レーズンとイケメン牧師』
早期退職をし、ロンドンからコッツウォルズに移り住んだアガサは、隣のイケメン作家と結婚したけれど、彼が修道院に入ってしまい、離婚。
だけど、その修道院から元夫はいなくなってしまう。
離婚したいがために修道院に行ったのかとガッカリするアガサ。

そんな頃、村にイケメン副牧師・トリスタン・デロンがやってきます。
トリスタンを見に教会に行ったアガサは、彼からディナーに誘われます。
しかし、食事をしているうちに彼の裏の顔が見え始めます。
ディナーの次の日、牧師館の書斎でトリスタンが死んでいるのが発見されます。
容疑者とされたのが、牧師のミスター・ブロクスビー。
彼がトリスタンの人気に嫉妬していたというのです。
友人であるミセス・ブロクスビーに頼まれ、アガサはミスター・ブロクスビーの容疑を晴らすため、隣に住み始めた探偵小説家のジョンと一緒に調べ始めます。

相変わらずのアガサ。
彼女は自分の悪いところを認め、治そうとはしないので、いつもの悪いパターンを繰り返すことになっています。
彼女にピッタリの男性ってそんなにいないわね。
次に隣にやってくる男性とはどうなるのかしら。

若竹七海 『不穏な眠り』
私の好きな日本の女探偵、葉村晶の新作。
相変わらず仕事はできるのに、不運で、満身創痍です。

アマゾンを見ると、TVドラマ化決定と書いてあります。
葉村役はシシド・カフカだそうで、彼女ってどうなんだろう?
写真を見ると、悪くなさそう。
髪は長くしてくれるのかしら?
ドラマは続けて見ることができないので、たぶん見ないでしょう。
面白かったらいいですね。

続き物の漫画は『マリアージュ 20』と『響 13』、『小路恋唄 4』、『百姓貴族 3』を読みました。
『響』と『小路恋唄』は最終回で、それぞれが新しい道を歩むという感じで終わっています。
しばらくして、その後を描いてくれると良さそうです。


九条奈月 『洋菓子店アルセーヌ 1&2』2019/12/10



頭を使わなくていいライトノベルを読むことにしました。
美味しそうなケーキ屋さんの話なんか良さそう、と思って手を出したら、変な洋菓子屋さんの話でした。

結婚間近だったのに、恋人が浮気をしたことがわかり、傷心のまま入ったケーキ屋で陽咲が食べたホールケーキはとても美味しくて、浮気をされたことを忘れるぐらいでした。
恋人と同じ会社だったので居づらくなり、会社を辞めて始めたのが、その洋菓子店・アルセーヌのバイトです。
イケメンパティシエとガタイのいい焼き菓子担当、そしてバイトで女装趣味(?)の高校生と一緒に働くこととなります。
しかし、この洋菓子店、何かおかしい。
時たま三人で何やらこそこそと話しているのです。
一体何を?
財布を忘れて取りに帰った時に立ち聞きしてしまった衝撃の事実!
彼らには裏の仕事があったのです。

彼らの裏の姿はどうでもいいですが、ケーキがとても美味しそうです。
ケーキの作り方が裏の仕事と関係があるのですが。
この頃、咳き込んで吐いたら嫌だから、食べれなくなった私ですが、こんな美味しいケーキなら吐いても食べたい(かな?)。

友井羊 『スープ屋しずくの謎解き朝ごはん1~4』シリーズ2019/12/12



相変わらず簡単に読める本を探して読んでいます。
読んでいるとこんなお店が欲しくなります。

一応謎解きと書いてあるので、ミステリにしておきますが、あくまでも日常生活上の謎です。

ランチとディナーの営業の他に、宣伝せずにひっそりと朝営業をしているスープ屋しずくのシェフ・麻野はお客が持ってくる謎を解くのが得意でした。
近くの会社でフリーペーパー作成の仕事をしている理恵は、たまたま朝食を出しているのを知ってから常連になりました。
実は彼女、密かに麻野のことが好きなのです。

さて、今朝のスープは何でしょう。

なかなか進まない麻野と理恵の関係ですが、そんなの別にいいですわ。
ミステリを読むというよりは、どんなスープが出るのかを知るために読んでいるみたいなもんです。
ホント、美味しそうなのですもの。
例えば、「春野菜の鰤しゃぶ風スープ」、「ホタテとパセリのミルクスープ」、「たっぷり芽キャベツのミルクシチュー」、「明日葉のポタージュ」・・・。
私はコンソメ系のスープよりポタージュ風のスープの方が好きです。
でも明日葉のポタージュってどんななのか、予想がつきません。
この本を読むと、スープって一見簡単そうですが、色々と種類が多くて極めるのが難しそうと思います。
食欲がない時にスープってよいようなので、研究してみようかしら。

友井羊 『スープ屋しずくの謎解き朝ごはん5 こども食堂と家族のおみそ汁』2019/12/13



サクサクと読めるので、五巻まで読みました。

スープ屋「しずく」のシェフ・麻野は子どもが理不尽な目に遭っていると、それを許さず、子どものために動いてくれます。
今回は子ども食堂と関わりを持ち、食事を作りに行きます。
子ども食堂には様々な子どもがやってきて、それぞれ隠された家庭の秘密がありました。

実は子ども食堂への協力を要請してきた青年の省吾は麻野の母親の知り合いでした。
麻野は自分の少年時代に負った傷と向き合うこととなります。

相変わらず進まない麻野と理恵の関係ですが、ひょっとして麻野も・・・と思える場面もありました。
こういう本では上手く行くと終わりという法則がありそうですから、シリーズが続くためには仕方がないのかもね。

そうそう、4巻で仕事を選ぶ上で参考になる言葉がありました。

「ストレスを感じないという基準で仕事を選ぶ手もあると思いますよ」
「どんな仕事でも困難には必ず遭遇するでしょう。それを乗り越えるときに負担が少なければ、より大きな仕事に取り組めるはずです。それはさらなる成長や達成感の獲得に繋がると思います。それにストレスが減ればプライベートも充実し、仕事にも還元されるはずです。無理に余計な苦労を背負い込む必要はないと思います」

ストレスをあまり感じない仕事を選ぶということは大事だと、この頃つくづく思います。
私なんか、いつも仕事にストレスを感じてしまい、疲れ切っています。
ストレスが最小の仕事って何か、よ~く考えてみますわ。

中山七里 『人面瘡探偵』2019/12/14



「人面瘡」とは「妖怪または奇病といわれているもので、体にできた傷などが顔などを持ち、意志を持ってしゃべったり物を食べたりする妖怪」だそうです。

相続鑑定士・三津木六兵の右肩には人面瘡が寄生しています。
三津木は人面瘡を”ジンさん”と呼んでいますが、このジンさん、口が悪く、寄生している六兵のことを見下し、いつも文句ばかり言っています。
ある日、信州の山林王である本城家の当主が亡くなり、六兵が遺産鑑定に派遣されることとなります。
鑑定していくと、二束三文だと思われた山林に価値があることがわかります。
しかし、長男が蔵で、次男が水車小屋で・・・と相続人が次々と不審な死を迎えていきます。
六兵はジンさんの指示を受けながら、事件を追っていきますが・・・。

「現代の横溝正史的ミステリー」と言われているようですが、その通りです。
中山さんも意識して書いたようです。
ジンさんはぴょん吉なんですって。
次作は『人面島』。
このシリーズ面白そうです。

大山淳子 『通夜女』2019/12/15



大学の時、就職活動に失敗し、それから家に引きこもるようになってしまった小夜子は、ふとしたことから知らない人の通夜を渡り歩くことにとりつかれてしまいます。
通夜会場にいつもいる老婆がいました。
彼女は自分を「通夜女(つやめ)」であると名乗りました。
小夜子は彼女に弟子入りし、様々な通夜を訪れるのでしたが・・・。

題名からホラーか何かかと思ったら、全く違い、通夜通いをするうちに、女性が再生していくお話でした。
実際に通夜女はいないのでしょうが、実際にいたら嫌ですね。

人生っていうのは理不尽なもので、その理不尽さに負けてはいけません。
就職が上手くいかないのなんて、若くで亡くなることに比べると、たいしたことないですものね。
何でもいいから一歩踏み出してみると、何かが変わるかもしれませんね。
不思議なお話でしたが、読後感は悪くはありませんでした。

読んだ本と漫画2019/12/22



中山七里 『翼がなくても』
七里さんの本なので、買ってみました。
嬉しいことに犬養刑事と悪徳弁護士の御子柴が出てきました。

陸上200m走でオリンピック出場を狙う市ノ瀬紗良は交通事故で左足を切断。
加害者は幼馴染みの相楽泰輔でした。
相楽たち親子はお見舞いにも来ず、悪徳弁護士の御子柴を雇いますが、康輔は自室で何者かに殺さます。
犬養刑事は動機のある紗良を疑いますが、彼女には犯行が不可能でした。
紗良はパラリンピックの200m走に再起をかけており、そのために義足を作っていましたが、そのお金の出所が不明だったのです。

高橋由太 『作ってあげたい小江戸ごはん たぬき食堂はじめました!』
美味しそうなごはんが出てくるのかと思ったら、出てきましたが、同時にあやかし(?)まで出てきました。
考えてみると高橋さんですからねぇ。

大地は父親が病気になったので、彼の経営している定食屋「たぬき食堂」を継ぐこととなりました。
そこに押しかけてきたのが、たまきという不思議な女性です。
彼女は食いしん坊で古風なしゃべり方をするのです。
あっという間にたまきはたぬき食堂の看板娘となります。
たまきにはっぱをかけられ、大地はご近所さんの悩みを解くために、特別料理を考えることとなります。

櫛田節子 『介護のうしろから「がん」が来た!』
認知症の母の介護を20年間続け、やっと施設へ入居させたのに、今度は自分が乳がんになって入院・手術をすることになります。
無理をすると身体に来るのね。
乳がんの治療について参考になりそうなことも書かれているので、一読の価値ありです。

大橋洋平 『緩和ケア医が、がんになって』
緩和ケア医が患ったのは、萩原健一と同じ希少がん(GIST)でした。
胃の大部分を取ったため、スプーン一杯しか食べられず、消化液が逆流し、横になって眠られず・・・。
自分が病気になって初めて知る患者の思いです。
病気にならなくても、とてもいい医師だったのではと思える人です。

≪読んだまんが≫
じゃんぽ~る西『モンプチ 嫁はフランス人 1~3』
       『私はカレン、日本に恋したフランス人』
もてない漫画家がフランス人ジャーナリストと出会い、結婚し、子どもまで持つこととなった経緯、日本とフランスの違い、育児の様子などを描いたまんがです。
カレンさん、フランス人としても変わっている方なのではないかと思いました。
面倒だけどお互いにいいところを言い合うのっていいですね。

Cuvie『絢爛たるグランドセーヌ 14』
いよいよユース・アメリカ・グランプリ・ニューヨーク・シティのファイナル表彰式です。
奏たちの運命はいかに。
少女たちがバレエに頑張る姿がいいですね。

麻生みこと 『アレンとドラン 1~3』
サブカルチャー好きの林田(あだ名がリンダ)は田舎から大学入学のため上京。
自分が他の人とは違うということを意識してはいるのですが、変なおじさんに襲われそうになって隣の部屋の人(エドガー)に助けられたことから人生が変わっていきます。
エドガーとリンダの恋の行方は?
私はゼミの教授の方がタイプです(笑)。

砥上裕將 『線は、僕を描く』2019/12/24

年末に思ってもみなかった、いい本に出合いました。


両親を交通事故で失い、叔父の家に引き取られた青山霜介は、失意の中、引きこもりのような生活をしていました。
困った叔父たちにお金の心配はないからと、付属の大学への進学を進められ、一人暮らしを始めます。
大学でそんな霜介にも友人ができ、その友人から頼まれたバイト先で彼の運命を変える人物と出会います。
水墨画の巨匠、篠田湖山に気に入られ、内弟子にされてしまったのです。
特に嫌ではなかったので、流されるまま水墨画をやり始めた霜介でしたが、やがて水墨画の世界に魅了されていき、それと共に自分を取り戻していきます。

水墨画はたまに見るぐらいでよく知らないのですが、この本を読むと、なんとも魅力的な世界です。
油絵とは違い、やり直しがきかないということが自分と真摯に向き合うことになるのでしょうか。

「水墨画とは何か、ということを究極的に突き詰めれば、それはとまるところ『線の芸術』です」
「いきているその瞬間を描くことこそが、水墨画の本質なのだ」
「人は描くことで生命に触れることができるのだ」

孤独な魂が癒やされ、外の世界に開いていく様子が綿密に描かれた作品です。
砥上さんは水墨画家でもあるそうです。

今年一押しの本です。

原田ひ香 『ランチ酒 おかわり日和』2019/12/27



『ランチ酒』の続きです。

夜の見守りを仕事にしている祥子は仕事の後のランチを楽しみにしています。
ランチというよりもランチと一緒に飲むお酒を楽しみにしていると言った方がいいかも。
今日も仕事の後にどのお店に入ろうかと考えています。

今回はちょっと雰囲気が変わっています。
一人娘を元夫のところに残して来たのですが、元夫が再婚し、しばらく娘とは会わないで欲しいと言われ、そのことに悶々としている祥子。
書類を届ける時だけ会う人だったけど、逮捕され、自分は危ないことをしていたと気づき、逮捕された人に会いたいと思う祥子。
孤独に生きていた祥子ですが、色々な人と出会い、少しずつ変わっていっているようです。
仕事だけの関係にしとけばいいのに、危ういところにいる人をほっておけず、一肌も二肌も脱ぎます。

昔住んでいた町が出てきて懐かしくなりました。
実際にあるお店を書いているのですね。

次はどんな食(酒)や人と出会い、祥子はどんな人生を歩むことになるのか。
是非第三弾もお願いしたいですね。
飲めない私には行けないお店がほとんでですが、想像しただけでもお腹いっぱいになります(笑)。
あんなに食べて祥子さんは太らないのね。
うらやましいわぁ。