岩井圭也 『プリズン・ドクター』2020/04/18



是永史郎は奨学金免除のために千歳刑務所で医務課に所属する矯正医官として働いています。
離婚してから母親に育てられ、その母親は認知症で、彼が食事の世話などをしなければならないため、定時で帰宅できる矯正医官はありがたかったのです。
しかし、患者に詐病を見抜けば怒鳴られ、見抜けなければなめられる毎日で、いつも「ここは、俺のいるべき場所ではない」という思いにとらわれています。
本当は神経内科の専門医になりたかったのです。

ある日、長年連絡を取っていなかった実の父親が受刑者として千歳刑務所に入所してきます。
彼はたちの悪い男で、史郎とのことを吹聴し、受刑者との人間関係で優位に立とうとします。

そんな日々の中、CTで発見されなかった病の解明、仮釈放受刑者の拒否問題、受刑者の突然死や変死などが起こり、史郎は友人たちや恋人の助けを借りながら、問題を解決していきます。

史郎は己の立場に腐って手抜きするわけではなく、患者としてどの受刑者にも平等に接していきます。
このことが受刑者たちにもいい影響を与えているのではないでしょうか。
患者の一人、滝川が手紙に書いています。
「受刑者たちに巣くう罪を治療すること」
これが矯正医官の在り方で、史郎がこれから目指していくべきことなのでしょう。
医師として真摯に患者と向き合う姿勢がすがすがしいです。
(コロナが蔓延するなか、飲み会をしちゃう医師なんか最低です)

色々と詰め込み過ぎたきらいもありますが、面白く読めました。
続編が出るとうれしいです。

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