村井理子 『兄の終い』2020/05/26



村井さんは宮城県警塩釜警察署から電話が来て、実兄の死を知りました。
第一発見者は同居していた小学生の息子でした。
兄とは随分会っていません。
仲は良くありませんでした。いいえ、仲がどうとかいうのではなく、憎んでいたと言ってもいいかもしれません。
仕事があったので、次の週に自宅のある滋賀県から塩釜市へと向かうことにしました。
一体何をすればいいのか。
警察署で遺体を引き取り、斎場に直行し、そうそう、アパートを引き払わなくてはならない。
当日、叔母が一緒に行ってくれることになり、塩釜市の警察署では兄の元妻・加奈子ちゃんと会うことになりました。
加奈子ちゃんと兄は離婚してから7年になります。
離婚後兄は体を壊し、職を失い…。

心配していたことも加奈子ちゃんがいてくれたおかげで上手くいきました。
息子の良一君も加奈子ちゃんに引き取られどうにかやっていけるようです。
たった五日間でしたが、大家さん、近所の人々、学校の先生などから兄のことを聞き、兄のことをちょっと理解できるようになったようです。

どんな家族にもそれぞれの歴史があり、他の人たちには理解できないことがあります。
村井さんとお兄さんとの間もそうです。
村井さんはその辺のところを淡々と感情に溺れることなく書いています。
最後に救いがあってよかったと思います。
加奈子ちゃんはいい人ですね。良一君もすくすくと育っていくのでしょう。
彼には幸せになって欲しいと思います。

読みながら自分の最期のことを考えてしまいました。
今はモノが多すぎです。少しずつ減らして、死ぬ時はあっさりいきたいものです。
そろそろ断捨離ですか(笑)。