高樹のぶ子 『明日香さんの霊異記』2020/06/11



霊異記とは正式書名は『日本国現報善悪霊異記』。通称『日本霊異記』、略して『霊異記』。
奈良薬師寺の僧・景戒が撰述し、822年以降まもない頃に成立したと言われている、上中下巻から成る仏教説話集のことです。

奈良の薬師寺で働いている高畑明日香の愛読書が『日本霊異記』。
地名の由来を調べることが大好きです。
母親の実家に祖父が亡くなった後も一人で住んでいます。
自宅のある路地の向かいにある畳屋の繁さんがそれとなく明日香を見守ってくれています。
明日香の家の前にあるクスノキに烏が一匹居着いています。
明日香はその烏に「ケイカイ」と名付けました。

ある日、明日香は境内の絵馬に変な書き込みがあるのを見つけました。
この日から明日香の周りで次々と奇妙な出来事が起こり、やがてその全てが『日本霊異記』に書かれていることと符号することに気づきます。
明日香は『霊異記』を読み解き、霊や仏、そして烏のケイカイの導きによりその難題を解決していきます。

明日香ちゃん、『霊異記』が好きなように、世の中の不思議なことやオカルティックなことに惹かれるようで、そんな彼女だからこそ、彼女の周りで怪奇現象が起こるのでしょうね。
途中から出てくる恋人の岩島は明日香に振り回されて、かわいそうでした。
明日香が岩島を呼び出して飛び回っていくところから、私の読むペースは落ちていきました。
奈良には何度か行っていたので、知っている地名が出てくると、あそこかと興味もわきましたけど、明日香ちゃんのようにはなれませんわぁ。
そうそう、もともとこの本の題名は『少女霊異記』だったそうです。
後半に恋人ができちゃいまし、20歳を超えてますから、一般的には「少女」とは言えませんが、やっていることは「少女」か・・・。

日本史(特に平安時代)や古典、奈良に興味がある人なら私よりももっと興味深く読んでいけると思います。
挑戦してみてください。