宮部みゆき 『きたきた捕物帖』2020/06/23

宮部みゆきの新シリーズだそうです。
気づくのが遅く、図書館で予約しようと思ったら予約数が多かったので、あきらめて買いました。
新刊予約も冊数が決まっているので、よく選んで予約しなければなりません。
宮部みゆきのような人気作家は気づかないでいると、すぐに予約数は200を超えてしまい、いつ読めるのかわからなくなります。


舞台は江戸の深川。
三歳の時に母親とはぐれ文庫屋の千吉親分に拾われた北一は、住み込みで文庫の振り売りをして暮らしていました。
ところが千吉親分がふぐに中毒って急に死んでしまいます。
文庫屋は万作夫婦が引き継ぐことになりましたが、岡っ引きの跡目を継ぐ者がいません。
千吉の女房の松葉は目が悪く、子分とは関わりがなく暮らしていました。
万作の女房が阿漕な奴ですったもんだがありましたが、話し合いの末、松葉は文庫屋の看板料をもらい、その金で住まいを借りて女中と暮らすことになり、十六になった北一は当面は文庫売りを続け、親分が昵懇だった差配人の勘右衛門、通称・富勘が差配している富勘長屋に住むことになります。
北一はおかみさんの家に毎日顔を出すようにしました。
そうするとお風呂の焚き付けを頼まれ、お駄賃として夕ご飯が食べられることになりました。
実はおかみさん、目が悪いのですが耳が良い上に物事の本質を見抜く力があるのです。
北一が荷物を襷屋敷の青海新兵衛に預けたのを忘れているのを指摘したり、彼が関わることになった事件の解決に役立つ的確なアドバイスをしてくれますし、必要な時は前面に出て戦ってくれます。おかみさん、素敵です。
北一は千吉親分ならどう考えるか、どうするかと考えながら事件に向かっていきます。朴訥ですが誠実で素直な性格なので人に好かれ、助けてもらえるのです。
ひょっとして、千吉親分は今は跡目を継ぐ者はいないが、北一が育ったら・・・と思っていたのかもしれませんね。

題名が何故『きたきた捕物帖』なのか。
「きたさん」は北一は一人なのにと思ったかもしれませんが、第三話の「だんまり用心棒」に湯屋の釜焚きの喜多次が出てきます。
彼は不思議な子で、シリーズが進むうちに彼の隠された出自がわかってくるのではないでしょうか。
北一と喜多次のきたきたコンビ。
これからどんな活躍をしてくれるのか楽しみです。