朝井まかて 『輪舞曲』2020/07/29



女優の伊沢蘭奢(1889-1928)の半生を描いた作品です。
本名・三浦シゲは島根県津和野の紙問屋に生まれます。
上京して日本女学校で学び、卒業後津和野の薬屋「伊藤博石堂」に嫁ぎますが、夫の事業のため東京に住んでいました。
20歳の時、男の子を産み、子供を姑に託し、再度上京。
夫の事業が失敗したので、津和野に戻ります。
しかし、東京で見た松井須磨子の『人形の家』が忘れられず、26歳の時に女優になるために離婚し、子を残し上京します。

小説は蘭奢の死後、愛人でパトロンだった内藤民治に、一時の火遊びの相手だった福田清人と息子の佐喜雄、東京に住んでいた頃からの愛人・福原駿雄こと徳川夢声が呼び出される所から始まります。
蘭奢が行李二つ分の原稿や下書き、日記めいた書き付けを残したので、遺稿集を出したい、ついては助力を願うということでした。

伊沢蘭奢の生きていた時代はやっと女優が出始めた頃でした。
それまでは男性が女性役を演じていました。
1919年、日本初の近代演劇女優と言われた松井須磨子が抱月の死後、後追い自殺をしています。
蘭奢はその少し前の1918年に「近代劇協会」に所属し、ヴェニスの商人でデビューします。
1928年の『マダムX』が大当たりをし、名実ともに大女優の仲間入りをするかという時に脳出血で、生前言っていた「四十になったら死ぬの」という言葉通りに、満38歳で亡くなってしまいました。

松井須磨子は教科書にも名前が出ていて一般的に知られていますが、蘭奢のことを知っている人は少ないのではないでしょうか。
蘭奢のことを書くということは意味のあることです。
如何せん、ドキュメンタリー風で読んでも面白くないのです。
彼女に関わった男性達の側からみた蘭奢ですので、蘭奢が何を思っていたのかわかりません。
もっと蘭奢の内面に踏み込んだ内容にすればよかったのにと思います。
何故彼女は家庭を捨て、女優になろうと思ったのか、『人形の家』が彼女の心の何を動かしたのか、男達は彼女にとってどういう存在だったのか・・・。
彼女の苦悩や葛藤などが全くうかがい知れないのです。
書きようによってはヒロインがもっと魅力的になったと思うのですが。
瀬戸内寂聴だったら、どう描いたのかしら?とふと思いました。


美味しいお菓子を買いに都心まで行きたくないので、お取り寄せしています。
今回はカフェタナカのクッキーです。


とっても素敵な缶に入った、素朴な手作り感満載のクッキーです。
次回は8月1日に販売するそうですが、何時から販売を開始するか知らせないそうです。予想外のアクセス集中のためだそうです。
このレガル・ド・チヒロ シュクレ缶は9月1日から4250円(税抜)に値上げするそうです。
人気があるクッキーなんですね。知りませんでした。
アールグレイと共に美味しくいただきます♡

コメント

_ ろき ― 2020/07/29 21時12分22秒

知りませんでした。パイオニア女優のひとりなんですね。
「おもしろくない」というのは残念~、せっかくの素材、想像力をふくらませてほしかった。

クッキーが美味しそうでやばっ(笑)。

_ coco ― 2020/07/29 22時30分33秒

私も知らない人だったので、どういう人なのか興味があったので最後まで読みましたが、彼女に全く魅力を感じませんでした。
彼女より夢声の方が魅力的でした。

クッキー美味しいですよ。
体重が1キロ戻ってます。まずい!

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