「わたしはダニエル・ブレイク」を観る2020/10/22



家族を思うとき」を観た後に機会があれば観たいと思っていた映画です。
イギリスの福祉は実際はどうなのでしょうね。
(ネタバレあり)

ニューカッスルで40年大工をしていたダニエル・ブレイクは心臓発作を起こし、足場から落ちそうになり、医師から仕事をしないように言われます。
就労不能扱いで雇用・生活支援手当を申請しましたが、就労可能だから支給金はでないことになり、異存があるなら不服申し立てをするようにと言われます。
医師が働くなと言っているのにですよ。
申請をしようとすると、パソコンを使うように言われ、パソコンで申請しようとすると、打つのが遅かったため時間切れになったり、フリーズして動かなくなったり、機械から申請を拒否されたり、散々な目にあいます。
ジョブ・センターの職員は誰も手助けしてくれません。
一人だけ助けてくれようとした職員がいたのですが、彼女は上司からやり過ぎだと止められてしまいます。

そんな時に子供二人を連れたシングル・マザーのケイティ・モーガンと出会います。
彼女はロンドンからニューカッスルに引越して来たばかりで、道に迷って面接に遅れてきたのに、時間厳守が規則だからと給付金はもらえなくなり、追い帰されそうになっていました。
ダニエルはそれを見て職員に文句を言いますが、あなたは関係ないと言われ、追い出されてしまいます。
それからダニエルはケイティと仲良くなっていきます。

ダニエルは隣にすむ密輸をやっているチャイナという若者の助けを借り、無事に求職者手当を申請し、不服申し立てをします。
審議が始まるまでしばらくは求職活動をしなければなりません。
履歴書の書き方講座を受講し、直接現場に行き、仕事がないかと聞いて回ります。
彼を雇いたいという人がいましたが、彼が断ると何のために履歴書を渡したのかと聞いてきました。給付金をもらいたいためだというと、実直な奴だと思ったのに、そんな奴だと思わなかったと怒られてしまいます。
普通の人には彼の方の事情はわかりませんものねぇ。
この際だからこの人に全て話して、やれることをやるということで雇ってもらってもよかったかもと思ったりもしますけど。
真面目に求職活動をやっているのにジョブ・センターの職員に履歴書を渡したという証拠がないと言われ、手書きの履歴書を見せると、まともに求職活動をしていないとみなされ、手当の支給を止められてしまいます。

ケイティは掃除請負のカードを作り、各戸に配っていきますが、仕事はありません。
自分は食べずに子供たちに食べ物を与えていたため空腹を我慢できず、フードバンクで思わず缶詰を開けて食べてしまい、そんな自分を恥じるケイティを優しく慰めるダニエルでした。
フードバンクに生理用品がなかったため、ケイティはスーパーで万引きをしてしまいます。
オーナーは許してくれたのですが、警備員のイヴァンは金に困っているなら電話してくれと電話番号を渡してきます。

給付金がでなくなったのでダニエルは家具を売り払うことにします。
一方ケイティは娘のディジーが学校でいじめられていることを知り、とうとうイヴァンに電話をしてしまい、子供をダニエルに預け、彼に会いにいきます。
ケイティの行動を不審に思ったダニエルは、彼女が落とした紙を見て、職場に押しかけます。
しかし職場に来たダニエルにケイティは止めるならもう会わないと言います。

ケイティたちとは会えず、求職者手当は止められ、不服申し立ても却下され、もはや限界状態になったダニエルはジョブ・センターの壁にスプレーで書いていきます。
「わたしはダニエル・ブレイクだ。飢える前に申し立て日を決めろ。電話のクソなBGMを変えろ」
警察に捕らえられますが、初犯なので口頭注意で終わりました。
この後ダニエルは力尽き、家に引きこもってしまいます。
そこに心配したディジーがやってきて言います。
私を助けてくれたので、あなたを今度は私が助けると。

やっとダニエルはケイティの介入で弁護士の助けを得て、不服申し立てが出来るようになりますが・・・。

ダニエルの状況は笑い事ではありません。
40年間真面目に働き、納税してきたというのに、病気になって働けなくなっても福祉制度はちゃんと機能してくれないのです。
「ゆりかごから墓場まで」と言っていたイギリスの福祉制度はこんな風になってしまったのですね。

日本の状況も同じです。
延々と続く電話の保留音、役所のたらい回し、何でもオンライン化・・・。
知りたい情報はネット上にあるというので、ネットを見たら、どこに書いてあるのか探すのが大変。
ネット難民が増えていく・・・。

私なんかは今はまだ理解力がありますが、もっと年を取るとわからないことばかりになるんじゃないかと心配になります。
ちゃんと年金の手続きができるかしら?
役所では聞いてもわかるように教えてくれず、これだから老人は困ったもんだとバカにされるようになるのかなぁ。

最後のダニエルの言葉。
"I'm a citizen.   Nothing more, nothing less."
これがすべてです。



今週のパン。
角食が欲しかったので、頼みました。
ホームベーカリーより美味しいですわ。

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