風野真知雄 『わるじい慈剣帖(四)ばあばです』2020/11/01

もう11月。今年は早く過ぎていきますね。


わるじいこと愛坂桃太郎が活躍するお話が4つ。

第一章・兄弟盆栽
縁日に桃太郎は友人の朝比奈留三郎と盆栽を買いに行くことにします。
縁日に来ていた大家の卯右衛門から黒松の盆栽を一点だけ売っている、可笑しな店を教えられます。
盆栽のわきの紙に双子の兄弟がいて、いなくなってしまったが、誰かご存じないかと書いてあります。
店主にその盆栽の値段を聞くと、兄弟の許に行けるなら十両、そうでなければ三十両と言います。盆栽の目利きによるとせいぜい五両だそうです。
さて、桃太郎はこの謎をどう解くのでしょうか。

第二章・当たらなかった男
卯右衛門のウサギと亀を孫の桃子に見せに連れて行くと、越前堀の亀島橋に大きな亀がいたという噂を聞きます。早速卯右衛門と見に行ってみました。
その帰り道に、卯右衛門から相談されます。
彼の長屋の店子に修次という刀鍔職人がいて、富くじに当たったと言っているのだが、実は当たっていないのだと言うのです。
なんで彼は当たったふりをしているのでしょうか。
修次は桃子の住んでいる長屋と堀を挟んだ反対側の長屋に住んでいるので、桃子に危険が及ぶかもしれないと卯右衛門に言われ、桃太郎は修次を調べることになってしまいます。流石卯右衛門。桃太郎の孫愛を利用しましたね。

第三章・牛の末裔
桃太郎に惚れた娘が現れます。珠子の後輩芸者の蟹丸です。
桃太郎は現役時代に浮き名もいっぱい流し、やり残したと後悔することもないぐらいですから、若い娘に惚れられても全然うれしくなくはないのですが、駿河台の愛坂家の家族の顔が浮かび、蟹丸と・・・と考えるのは止めました。
そんなことを考えながら歩いていると、嫌な感じがして、矢が頭上をかすめました。
未だ衰えぬ自分の反応の良さに気をよくした桃太郎は、すっ飛んできて謝る若い武士に気をつけるようにと言っただけで許しました。
次の日、元同僚の鍋島から紹介されたという山田舟右衛門がやってきます。
愛坂家の系図を作らないかというのです。
調べさせることにしますが、数日後にやってきて、愛坂家の祖先が牛だというのです。人間ではなく牛ですよ、笑。
その後、牛頭天王を祀る神社の神官だったとか言ってきますが、桃太郎にしてみるとなんか損した気分です。
祖先は牛の方がいいなんて、変わっていますね、桃太郎は。
そんなことがあったおかげで、何故か蟹丸と向島の牛御前神社に行くハメになってしまいます。
蟹丸の打ち明け話を聞き、蟹丸自作の弁当を食べ・・・長屋に戻ると、例の山田がいて、屋敷の牛小屋が鬼門に当たる、よからぬことが起きるやもと言うのです。
そんなことは気にしない、もう来なくてよいと帰したのですが、数日後屋敷に行ってみると、下男たちが牛小屋を動かしているではないですか。
山田が来て、牛を鬼門の方角に置くとよくないと言ったようです。
移動した牛小屋とその跡地を眺めていると・・・桃太郎、閃きました。

第四章・闇の傘
エレキテルの持ち主の中山中山から言付けがありました。
仲介している卯右衛門に伝言を頼んだ後、目的もなく歩き始めると卯右衛門も着いて来ます。
たまたま傘屋に会ってしまい、頼んでもいないのに傘づくり名人に紹介されてしまいます。
そこで相撲取りが使うという、ふつうの倍もある傘を頼まれたという話を聞きます。色は真っ黒で柄のところは竹の棒を差し込んで長くできるようにしてもらいたいと言われたというのです。どうも妙な話です。
とりあえず、子供の傘1本と大人の傘2本を頼みます。(桃子と珠子親子の他に、もう1本は誰にやるのかしら?)
桃子をおんぶして江戸橋のほうを眺めに行くと、薬種問屋の<北条屋>の金の鬼瓦の噂をしている人がいました。無駄なものを作りやがってと思って見てみると・・・桃太郎、閃きます。

エレキテルと老中の日野たちのことやらの他に、泥棒を捕まえたり、若い娘に惚れられたり、命の危険にあったりと、色々と忙しい桃太郎ですが、一番彼を驚かせたのが、妻の千賀です。
嫁の富茂を連れて、わざわざ長屋まで押しかけて来たのです。
嫁は隠し子の桃子のことを知らないはずですから、バレたらどうなるのか・・・。

じいじはこれからも忙しいようです。
桃子が大きくなるまで、死んではいられません。


自分で作るスコーンばかりでは飽きるので、ベノアのスコーンを買ってみました。


流石、形がいいですね。
クロテッドクリームが手に入ったので、ジャムと一緒に食べました。

「最高の人生のつくり方」を観る2020/11/02

題名を見ると、間違える人が多そう。
「最高の人生の見つけ方」という映画が邦画と洋画であるんですもの。
こちらは「つくり方」で、ラブコメディです。
間違えないように英語の題名の方を載せておきますね。


見ておわかりのように、またダイアン・キートンが主演です。
彼女のファンというわけではないのですが、何故か選んでしまいました。
彼女って歌も上手いんですよ。
相手役はマイケル・ダグラス。彼もおじいちゃんになりましたね。
(ネタバレあり)

不動産エージェントのオーレン・リトルは妻のサラを10年前に癌で亡くし、そろそろ家を売って引退し、バーモント州で釣り三昧の生活をしようと考えていました。
家の庭でうんちをする犬のお尻をカラーボールで撃ち、家の値下げを言われると、すぐさま断っていたので、家も売れません。
彼はリトル・シャングリラというアパートのオーナーでもありますが、子供が騒ぐとうるさいと怒鳴り、一階に住みたがっていた夫婦を二階に追いやり、車の駐車もスペースを沢山使い、妊婦の人の車を遠くに止めなければならなくしたりと、ひねくれ者で利己主義男の嫌われ者です。

ある日、しばらく会っていなかった息子・ルークがやって来ます。
彼はドラッグは止めた。刑務所に9ヶ月間入らなければならないので、その間、娘のサラを預かってほしいと頼んできました。
もちろんオーレンは断ります。ルークが妻の葬式にラリって現れたのが許せなかったのです。
しかし、次の日、ルークが娘を連れてきます。
困ったオーレンは隣に住むシンガーのリアにサラのことを頼み、仕事に行きます。
職場で同僚のクレアから、実はルークは無実なのに刑務所に入ることになってしまったと聞かされます。
証券取引委員会に脅され、上司の株取引を告発するために司法取引に応じたのですが、上司は不起訴になり、ルークは判決がでていたため刑務所に入らなければならなくなったというのです。
オーレンは息子のために弁護士を雇うことにします。

リアは小さな店で歌っていますが、歌の合間に亡くなった夫のことを話し、涙で歌えなくなるということを繰り返していました。
彼女は65歳ですが、ラウンジ・シンガーになりたいという夢がありました。
オーレンはそんなリアに夫の話はするな。俺がエージェントになって今の倍の1200ドル、稼がせてやる、それまでは家賃はいらないと言います。

サラの面倒をみるのが嫌なオーレンはリアの反対をものともせず、母親のリタを探し、サラを連れて会いにいきます。
リタはひどい場所に住んでおり、薬も抜けていないようで、サラを連れ帰ることになります。

リアとオーレンはだんだんと親しくなっていき、とうとうベッドイン。
しかし、終わった後すぐにオーレンが帰ると言ったため、リアを泣かせてしまいます。
世の男性方、よくここのところ、肝に銘じておいてください。
コトが終わった後、すぐに帰っては駄目よ(笑)。

サラとリアのおかげで、だんだんと偏屈さが薄まって、人間らしくなっていくオーレン。
子ども達に怒鳴るのも減り、警察官の妻の出産を手伝う羽目になり、感謝されたりもします。
家もいい人に売れ、ルークも出所でき、いよいよバーモント州へ行くことになりますが、リアとは・・・。

ダイアン・キートンの歌う「The Shadow of Your Smile」が良いです。
マイケルは最初は五月蠅いじじいでウザいと思いましたが、最後の方で意外といい味をだしてきましたが、ダイアンには負けてます。

日本映画では描けない、還暦を過ぎた男女の恋愛映画でした。




今回のカットは長めです。
耳の毛がこんな風に顔まで落ちてきます。
チェリーアイも落ち着いたようですが、吠えるのは止められないみたいです。
吠え始めると、すぐにクレートに入れ落ち着かせるようにしています。

シリーズ物、三作を読む2020/11/03



椹野道流 『モンスターと食卓を 2』
不思議な青年・シリカを恩師から預かった、法医学者の杉石有。
シリカの生い立ちは謎に満ちています。世間知らずな面があるかと思えば、非情な面もあり。狭い場所に閉じ込められていたようでもあり・・・。
その頃、連続殺人事件が起こっており、有は事件に関わることになります。

この本ってミステリーだったのね。BLかと思っていました。表紙を見ると、美味しい食事の出てくる話だと思いますよね。
さて、シリカの過去は、そして連続殺人事件の行方は・・・。

小湊悠貴 『ホテルクラシカル猫番館 横浜山手のパン職人3』
パン職人の紗良にライバル登場か!と思ったら、お嬢様育ちの紗良には同僚としか思えないようです。相手はそんな紗良にイライラしているのにね、笑。
こんなホテルがあったら、泊まりたいと思います。
お茶をしに行っても良さそうです。
どこかにないかしら?知っていたら、是非ご一報を。

望月麻衣 『わが家は祇園の拝み屋さん13 秋の祭りと白狐の依頼』
騒動が終わり、小春と澪人は京都に戻りました。
部屋でくつろいでいると、雨が降り始め、雷まで鳴り始めます。
小春は前世から雷が苦手でした。そこに心配した澪人から電話が来て、話していると、祖母が泥棒が入ったかもしれないと言ってきます。
若宮の助けがあり、無事に泥棒を退治しましたが、女二人だけで暮らすことに澪人は不安を持ち、櫻井家で下宿することになります。
澪人と一緒に暮らすことに期待やら不安やらで落ち着かない小春でした。

そんな頃、小春と朔也、愛衣の所に狐神のコウメと白狐のシロがやってきて、『やんごとなきお方』がシロの住む伏見に来るので喜ばせたい、協力をお願いしたい、というのです。
さて、小春たちは何をすることにしたのでしょうか。

出てきた鯖寿司、食べたいですわ。
鯖寿司って京都市内の色々な お見せで売られているんですね。知りませんでした。よく考えずに京都駅で買って食べていましたわ。
今度京都に行くことがあったら、鯖寿司の食べ歩きもよさそうですねぇ。

美味しいものというと、またパンを買ってみました。


こういう風に段ボールに入って届きます。
今日食べた残りは冷凍庫に入れて保存します。
コロナが早く終息し、どのお店でも心置きなく食事ができるようになって欲しいですね。

「ワンダー 君は太陽」を観る2020/11/04

図書館のYAコーナーでこの本(↓)を見かけて気になっていたのですが・・・。


なんか変わった表紙で、手がでませんでした。
適当に映画を選んで見始めてから、この本が原作であることに気づきました。
(ネタバレあり)


オギーはスターウォーズが大好きな男の子。でも他の子とは違うところがありました。遺伝子の疾患(トリーチャーコリンズ症候群)で人とは異なる顔で生まれてきて、27回にも渡る顔の手術を経験しているというところです。
彼の顔を見た人がびっくりするので、外に行くときは大きなヘルメットをかぶります。
今までは学校へは行かず、母のイザベルが教えていました。
しかし、10歳の中等部に上がる年齢になった時、学校に行くことになります。
(ポスターの写真が初めて学校へ行く時のです)
校長のトゥシュマンは事前にオギーを呼び、三人の同級生ー金持ちの家の子・ジュリアンと自分のことばかりしゃべっているシャーロット、そしてちょっと貧乏な家の子・ジャックーに学校を案内させました。
ジュリアンはなんか嫌な奴臭プンプンですねぇ。
彼は理科は絶対に取るなと言いましたが、面白そうだと思うオギー。

学校に初めて登校する日、ママは「相手より大きい人間になってね」と言い、パパはママに聞かれないように(笑)「押されたら押し返せ。人を怖がるな」、「ルール1・授業中に答えを知っていても、手をあげるのは一回だけ。ルール2・孤立してもお前は一人ではない」と言いました。
ママはちょっと怖いけど、パパは息子思いのいい人ですねww。
担任はブラウン先生。彼はウォール街で金融業をやってから教師になった人です。
彼は「どんな人間になりたいか、自分はどんな人間か、いつも問いかけてくれ」とみんなに言います。

同級生はオギーを遠巻きにし、話しかけてきません。話しかけてきたとしても意地悪な質問ばかりです。
自分の顔のせいだと思うオギーは、親にもそのことを言えず、くやしくて荒れまくります。
母は「心は人の未来を示す地図。顔は人の過去を示す地図なの。あなたは醜くないわ」と言いますが、オギーの心には届きません。

オギーには姉のヴィアがいました。
オギーが生まれてから、家族の中心はオギーでした。
「オギーは太陽で、ママとパパと私はその周りの惑星」と思うヴィア。
両親に心配をかけないように考え行動する、手のかからない子でした。
唯一の味方はおばあちゃんでしたが、彼女は亡くなってしまいました。
高校初日、友人のミランダが変わっています。
派手になり、新しい友人と一緒にいて、ヴィアに話しかけてこないのです。
そんなヴィアにジャスティンが話しかけてきます。
彼はヴィアが演劇に興味があると勘違いしたのです。
ヴィアは演劇に挑戦してみることにします。

母のイザベルはオギーが生まれてから手がかかるため、修士号を取って絵本のイラストレーターと美術の教師になるという夢を諦めていましたが、修士号取得のための論文を再び書き始めます。

オギーの学校生活はなかなか変わりません。
でも、隣に座っているジャックに理科のテストの答えを教えてやったのをきっかけに、彼と仲良くなります。初めてできた友達です。
しかし、ハロウィーンの日、仮装したオギーに気づかず、ジャックはジュリアンからオギーとのことをからかわれ、つい校長に頼まれたから一緒にいるんだと言ってしまいます。

悩んでいるヴィアに気づいたイザベルはハロウィーンの日に学校を休ませ、女二人で過ごすことにします。
キャンデーを食べ、リラックスしたので、さて、何があったのと聞き始めた時に、学校からの電話です。
オギーを迎えに行く母を見て、淋しさを覚えるヴィア。
オギーだけではなく、自分のことも見て欲しいのです。
学校から帰ってきて、荒れているオギーを、ヴィアはパレードに誘います。
偉いですね。なんだかんだあっても弟のことを愛しているんですね。
オギーからジャックとのことを聞き、自分とミランダとのことを話し、普通の子なら誰でも体験することだと諭します。

ジャックはオギーのことを親友だと思い始めていました。
しかし、ハローウィンの日、ショックを受けたオギーは彼を許せませんでした。
また一人でランチを食べるようになりますが、サマーがオギーのところにやって来て、ジャックと何かあったのか聞いてきます。
オギーはサマーも誰かから言われて来たんだろうと疑うのですが、サマーはキッパリと否定します。
いつしかオギーの周りに友達が集まるようになります。
ジュリアンたちはそんなオギーを疎ましそうに見ています。

そんなある日、ジャックはオギーのことを「ゾンビ」と言ったジュリアンを許せず、殴ってしまい、停学2日になってしまいます。

ヴィアは思い切って劇『我が町』のオーディションに出て、主役の代役に決まります。ヴィアはそのことを内緒にしていましたが、ボーイフレンドになったジャスティンがばらしてしまいます。
芝居を見に行くと言うイザベルに、ヴィアは今まで私のことを気にもかけていなかったのに、今になって何故口出しするの、見に来ないでと言ってしまいます。
オギーは僕の顔が醜いから、みんなに見せたくないから来て欲しくないのだと思ってしまいます。
芝居当日、ミランダはヴィアに体調が悪いと嘘を言って主役を譲ります。
ミランダの両親は離婚し、サマーキャンプに行かせられ、別人ごっこ遊びをしてヴィアになったので、それが後ろめたくて話しかけられなかったのです。
彼女はヴィアの暖かい家族が羨ましかったのです。
劇を見に来たというのにイザベルは眼鏡を忘れ、ネートの眼鏡を奪って娘の舞台を見ます(笑)。パパ、可哀想。
芝居は大成功に終わります。

理科の研究発表でオギーとジャックはタッグを組み、カメラ・オブスキュアを作り、1位になります。
ジュリアンはそんなオギーが気にくわず、嫌がらせがひどくなっていきます。
それを見ていた友人の一人が担任に知らせたことから、ジュリアンの両親は校長に呼ばれます。
彼らは息子がいじめをしているとは思っていません。学校に寄付をしていることを鼻にかけ、息子を停学にするなら学校を止めさせるとまで言いますが、校長は最後まで頑として折れませんでした。
ジュリアン君、君は大好きな学校から転校することになって初めて自分の行為を反省しました。遅いのよ。

学期の最後は野外学習です。
子ども達はいないので、イザベルとネートはワインで乾杯。
イザベルは書き上げた論文を見せ、ネートはプレゼントを用意していました。
一方、オギーはというと、上級生がオギーのことを「ゾンビ」とからかったため喧嘩をしてしまいます。
劣勢の時に友人3人が駆けつけてくれ、喧嘩に勝って嬉し泣きするオギー。
みんなで見た湖の夕日はさぞ美しかったことでしょう。

終業式にはアッと驚くことが・・・。

「偉大さは強さの中にはない。強さを正しく使うことの中にある。
最も偉大である人とは、自分自身の魅力で多くの人の心を動かす力を持っている」
                        ヘンリー・ビーチャー

このヘンリー・ビーチャーの言葉通りの人がオギーですね。

映画を観て、何で図書館のYAコーナーのお勧め本なのかわかりました。
続編の『もうひとつのワンダー』と『365日のWonder ブラウン先生の格言ノート』が発売されているので、興味を持った方は読んでみてください。
私はアガサ・シリーズが終わったら原文で読んでみる予定です。

ジェフリー・ディーヴァー 『ネヴァー・ゲーム』2020/11/05

年に一冊ずつ翻訳されているディーヴァー。
いつものリンカーン・ライム・シリーズではなくて、新シリーズの登場です。


コルター・ショウは行方不明者や逃亡犯、身元や所在が明らかになっていない容疑者にかけられた懸賞金で暮らしています。私立探偵でも保釈保証業者でもありません。
キャンピングカーに乗り、国中を旅して回っています。
どうしてそういう職についているのかはわかりませんが、父親の死が関係しているのかもしれません。
父親は大学教授でしたが、何故だかわかりませんがコルターにサバイバル術を叩き込んだのです。

コルターの懸賞金ビジネスのサポート役のテディとヴェルマからもたらされたのは、シリコンバレーで失踪した19歳の女子学生の調査です。
彼女はソフィーと言い、父親が懸賞金をかけていました。
すぐに父親に電話をし、会いに行き、必要な情報を手にいれます。
戦略はコルターの父から教えられたアドバイスに従います。

「発生しうる事態すべてについて確率を見積もり、もっと確率の高いものから検討して、最適な計画を立案する」

確立を計算するなんて、コンピューター並みね。

ソフィーが行方不明になる直前に立ち寄った「クイック・バイト・カフェ」に行き、店の従業員に話を聞くと、思わぬ手がかりが得られます。
ソフィーは行方不明になる前に父親と口げんかをしていました。
頭にきて思いきり自転車を乗り回したいとしたら、どこへ行く?

次にコルターが探すのは、ソフィーの父親から紹介された、ブロガーでLGBT人権活動家のヘンリー・トンプソン。
彼はスタンフォード大学での講演会後に行方不明になりました。
コルターは彼が誘拐される直前まで行ったと思われる場所を回っていきます。

そんな彼に「クイック・バイト・カフェ」で話しかけてきた赤毛の女がいます。
電話番号を交換しておいたら、電話を寄越しました。
彼女はマディというプロのゲーマーで、コルターをゲームショウに連れて行きます。初めて体験するゲームの世界。
この経験が思わぬことに役に立ち、コルターは2つの事件の共通点に気づきます。

普段からゲームなどしない私は読み進められるかどうか心配でしたが、任天堂とかマリオとか出てきたので、意外と身近な話題だと思い、わからないところは適当に飛ばして読みましたわ、笑。
サッポロビールを飲む場面があり、アメリカにも売っているのかしらと思いました。

ライムは安楽椅子探偵ですが、コルターはとにかく動き回る人なので、両者は対象的です。
リンカーン・ライム・シリーズでは当たり前の大ドンデン返しがないのがちょっと残念です。
アメリカでは二作目が出版され、来年には三作目が出るということです。
父親の謎の死が徐々に解明されていくのかしら?
しばらくはリンカーン・ライムには会えなさそうで残念です。

「僕のワンダフル・ジャーニー」を観る2020/11/07



犬が何回も生まれ変わるというお話です。
日本語のタイトルは犬とワンをかけているのね。
見終ってから、この映画は「僕のワンダフル・ライフ」の続編だというのがわかりました。
前作ではお父さんのイーサン・モンゴメリーが主役で、彼の若い頃が描かれているようです。
(ネタバレあり)

まず最初はベイリーという雄の犬で、飼い主はイーサンとハンナです。
イーサン夫婦は息子のヘイリーが事故で亡くなった後、息子の妻・グロリアと孫のCJ(クラリティ・ジョーンズ)と一緒に農場に住んでいました。
ベイリーはCJと遊ぶのが大好きですが、グロリアは犬が大嫌い。
グロリアにはCJに対する愛情がないように思え、イーサンとハンナ夫妻はそんなグロリアに不満を持っていました。
グロリアが電話でCJがいるので仕事ができないと言っているのを聞き、イーサンは仕事をしたいなら私たちがCJをあずかると言ったのですが、彼らの好意を悪く取り、グロリアは私から保険金ばかりではなく娘までも奪うのか、と逆上し、CJを連れて出て行ってしまいます。保険金はCJの将来のために取ってあるのに。
その後、ベイリーは病に倒れ、安楽死させられます。
イーサンはベイリーに「CJのためにまた戻って来て、守ってくれ。あの子を幸せにしてくれ」と頼みます。

ベイリーはCJのために生まれ変わります。
次は雌のモリーとなり、11歳になったCJを見つけます。
CJは友人のトレントが犬を見に来たのに同行していたのです。
飛びついてきたモリーを気に入ったCJはトレントに協力してもらい、モリーを引き取ることにします。
グロリアには反対されるのがわかっていたので、そっと自分の部屋にモリーを連れて行きます。
グロリアは相変わらずCJのことは構わず、酒浸りで、夜にはCJを置いて男と出かけていました。
次の日の朝、モリーが見つかってしまいますが、CJは11歳の子を置いて毎日夜遊びをしていることを先生に言うと脅し、モリーを飼うことをグロリアに認めさせます。11歳になると知恵もありますね。
それから月日が経ち、高校生になったCJは18歳になったら父の死亡保険金を受け取り、この家を出てNYに行きミュージシャンになろうと決めていました。
(なんでミュージシャンになりたいのか、わかりませんわ)
ある夜、買い物に行った時にシェーンに会います。彼に騙されて行ったパーティで警察に捕まり、社会奉仕をやらされ、シェーンとは別れましたが、彼はしつこくやってきます。
CJが一人でいると、またやってきて、CJを襲おうとしました。
グロリアにそのことを言うと、鼻で笑うだけ。母のそんな姿に怒ったCJは、「世界一ひどい母親ね、出て行くから保険金をちょうだい」と言ってしまいます。
ところが「世界一ひどい母親は私の母親よ。お金はつかっちゃったわ」と告げられます。(グロリアの母もろくでもない女だったのね)
頭にきたCJが車に乗っていたら、シェーンに見つかり、わざと車をぶつけられ、車はひっくり返って炎上してしまいます。
CJは助かりますが、モリーは死んでしまいます。

2回目の生まれ変わりで、ベイリーはブルドッグのビッグ・ドッグになり、スーパーを経営しているジーと暮らしています。
やっとNYへ向かうCJと出会えますが、CJは気づかず、この犬生ではCJとは二度と会えないことを悟ります。

3回目の生まれ変わりは保護犬のマックスです。
保護犬譲渡会の時、マックスはCJの腕輪の音を聞きつけ、檻から抜け出しCJを探します。CJはマックスが処分されてしまうということを聞き、連れ帰ることにします。
CJは高給取りの恋人と素敵なアパートメントで暮らしていました。
ミュージシャンになるという夢は相変わらず持っていますが、人前で歌うことができず、今は犬の散歩のバイトをしています。
(あんなに嫌ったお母さんと同じ暮らしよね。男の程度はまだいいようだけど)
他の犬と一緒に散歩をしている時に、マックスはCJの友達、トレントの臭いを嗅ぎつけます。
トレントはNYに来たばかりでした。
トレントのことが好きなマックスはCJの恋人のバリーを追い出すために色々とやっちゃいます。靴を噛んだり、おしっこをしたり、うんちをしたり・・・。
そのおかげでCJはバリーと別れることになりますが、稼ぎの少ないCJではアパートは借りられず、友人を頼りにあちこち2~3日おきに寝場所を変えることになってしまいます。
散歩のバイトをしている時に、またマックスはトレントの臭いを嗅ぎつけます。
急いでトレントの所に行きますが、彼は婚約者と一緒にいました。
親切なトレントはCJを自分のアパートにしばらく滞在させてくれることになります。(トレントの良さに気づかないCJって、ホントお馬鹿さんね)
ある日、マックスはトレントが癌に罹っていることに気づきます。マックスの前犬のモリーは社会奉仕で癌を嗅ぎ分ける訓練をしていたのです。
トレントの彼女はトレントの看病はできないと言ったので、CJはトレントの看病をすることにします。
トレントが癌を克服した頃に、グロリアがNYにやって来るという連絡がきます。
母親に会うのが怖いというCJにトレントは今度は僕が君を支えるからと、母親と会うように勧めます。(トレント君、良い奴です)
グロリアは酒を断っており、悪い母親だったとCJに謝り、父親のヘイリーの手紙を渡します。
父親の手紙を読んだCJはやっと人前で歌う勇気がでました。
トレントはCJをイーサンとハンナの農場に連れて行きます。
イーサンはマックスがベイリーだと見抜きます。
そしてCJはトレントに対する自分の気持ちにやっと気づきます・・・。

映画によりますと、犬の究極の目的は人を永遠に愛することだそうです。
我が家の犬たちを見ていると、人を愛するというよりも、人と一緒に遊ぶことではないかと思います。


お兄ちゃんも弟も、いつも遊んでくれと五月蠅いです。


犬は人間に一番近い動物だということだけは言えますね。

今週のおやつ。慶希処AMATERRACEの和栗の慶希。


栗が美味しそうです。

ネレ・ノイハウス 『森の中に埋めた』2020/11/08

刑事オリヴァー&ピア・シリーズの八作目。


オリヴァー・フォン・ボーデンシュタインは、この頃、頻繁に7歳の娘・ゾフィアの世話を押しつけられている。
元妻のコージマは自分の母親が遺言を変更し、オリヴァーに屋敷を相続させることにしてから、何かというとオリヴァーにゾフィアを押しつけてくるのだ。
ゾフィアは躾がされていないらしく、おしゃべりで気のそまないことがあればすぐ癇癪を起こし、オリヴァーを困らせる。
付き合っているカロリーネとは微妙な感じで、その理由のひとつがゾフィアの存在か…。
二ヶ月半後に長期休暇を取ることにしている。
後任の捜査十一課課長にピア・ザンダーを推薦しているが、まだ警察本部の判断が下っていない。

電話が来たのは夜中の3時頃。
ゾフィアがいたため、仕方なく娘を連れて事件現場へと向かう。
ビルタールヘーエの森のキャンプ場で火災が起きたというのだ。
爆発音がした後にキャンピングトレーラーが炎上したようで、調べてみると放火の痕跡があり、男の遺体が発見される。
ピアとオリヴァーは捜査を始める。

キャンピングトレーラーの持ち主を調べると、ローゼマリー・ヘロルトのものだった。
彼女はオリヴァーが基礎学校の時の級友の母親であり、ボーデンシュタイン家の家政婦をしていたので、彼は彼女のことをよく知っていた。
ホスピスに入っている彼女に会いに行くと、その日は眠っていたため会えず、次の日に彼女は何者かに殺害されてしまう。
そして、様子のおかしかった元主任司祭がオリヴァーに会いに来た後に、首を吊って亡くなっているのが見つかる。
次々と起こる知り合いたちの殺害に、オリヴァーは幼い頃の事件が関係しているのではないかと思い始める。

1972年8月、オリヴァーが11歳の時、親友のアルトゥールとオリヴァーの飼っていたマクシという狐が行方不明になる。
アルトゥールはソ連からやってきたので、村の子どもたちから目の敵にされていた。そのためオリヴァーは毎晩彼を家まで送り届けていた。
しかし、オリヴァーの家に新しいカラーテレビが来た日、大好きな番組を観たかったオリヴァーはアルトゥールをひとりで帰宅させる。
アルトゥールはその日、行方不明になる。
それ以来、オリヴァーはアルトゥールが行方不明になった責任が自分にあると思い、苦しんでいたのだ。

すべてを明らかにすべき時が来た。
オリヴァーは真実に辿り着けるのか・・・。

どの国でも村の人間関係は複雑に絡み合っていますね。
何かあっても外には隠そうとする。
そのため真実はいつまで経っても闇の中。
過去と直面するのは辛いけれど、今回の事件があったからこそオリヴァーは未来に向かっていけるでしょう。

次はピアが主役の番です。
片腕であるオリヴァーがいなくなり、ピアはどう活躍してくれるのか?
新人君が頼りになりそうです。

「LION/25年目のただいま」を観る2020/11/09



実話だということです。
(ネタバレあり)

1986年、5歳のサルーは兄が夜の仕事に行くのに無理矢理着いていきます。一緒に仕事をするつもりだったのですが、何しろ幼いもので、寝てしまいます。仕方なく兄はそこで待っているようにと言い、サルーを置いて仕事に行きました。
しかし、寝ていた電車が走り出し、サルーはカルカッタ(現コルタカ)まで運ばれてしまいます。
自分がいた町のガネストレイはどこと聞いて回っても誰も相手をしてくれません。

夜になり女の子に着いていくと、子ども達が路上に寝ていました。
一緒に寝ていると、大人たちがやってきて、子ども達を捕まえていきます。
サルーは逃げ、河の側で神さまに祈っている人たちのところで一夜を明かします。
次の日、線路を歩いていると、優しそうな女性が話しかけてきます。
彼女はサルーを家に連れて行き、ご飯を食べさせ、水浴びをさせ、清潔な服を着せてくれました。明日来るラーマが彼を助けてくれると言いますが、やってきた男はサルーの全身を調べていきます。
危険を感じたサルーは逃げ出します。

2ヶ月後、ゴミあさりをしてサルーは暮らしていました。
スプーンがあったので持っていると、レストランで食事をしている男の人が目に入ります。彼がスプーンを使う様子を真似していると、彼はサルーに気づき、警察まで連れて行ってくれますが、警察はサルーを孤児院に入れます。
孤児院は監獄のようにひどい所でした。
孤児院にいる子どもの養子縁組をしているミセス・スードはサルーに言います。
カルカッタの新聞に彼のことを載せたが反応はなかった。オーストラリアの家族が彼を欲しいといっていると。

サルーはオーストラリアに住んでいるジョンとスー夫妻の養子となります。
彼の後にマントッシュが養子となりますが、彼は幼い頃に虐待されており、それが影響したのか精神的に不安定で、後に薬をやるようになってしまいます。
ジョンとスーは自分たちの子を持てたけど、不運な子供を助けることに意義があると考え、サルーとマントッシュを養子にしていました。

20年後、サルーはホテル経営を学ぶためにメルボルンの大学へ入学します。
ある日、友人とインド料理を食べている時に、幼い時にインドで見かけた赤いお菓子があるのを見て、自分が迷子であったことを思い出します。
サルーの話を聞いた友人たちがグーグルアースで調べていけば生まれた町がわかるのではないかとアドバイスしてくれました。
それからサルーは、自分の行為は養父母に対する裏切りではないかと後ろめたく思いながらも、生まれた町を探し続けます。
母と兄は今も自分を探しているのではないかと思って、いたたまれない気持ちになっていたのです。
その頃の電車のスピードを調べ、乗っていた時間から距離を出し、その辺りをグーグルアースで調べていきます。

ある日、グーグルアースを見ている時に気づきます。
ここは自分が走っていた場所ではないかと。
生まれた町はガネストレイではなくてガネッシュ・ダライではないかと。

2012年、サルーはインドに行き、思い出の場所を歩き、家のあった所まで行きます。
そこには母も兄もいませんでしたが、たまたま出会った英語を理解する男性に着いていくと・・・。

インドで行方不明になっている子供は映画によると8万人以上もいると言われています。サルーは幸運な子だったのですね。
現在の彼はオーストラリアで家業を手伝う傍ら、コルカタで孤児院を営み、ミセス・スードのサポーターをしているということです。

何故タイトルが「LION」かというと、サルーという名前は覚え間違いで、本当の名前は「シェルゥ」でヒンドゥー語で「ライオン」という意味なのだそうです。
5歳の子ですから、そんなもんですよね。町の名前も間違っていたし。

とにかく広大な景色が素晴らしい映画でした。
2016年公開ということですが、インドに行った20年以上も前と雰囲気があまり変わっていないことに驚きました。
今の私は、インドには太刀打ちできないわ、笑。

坂木司 『アンと愛情』2020/11/10



『和菓子のアン』から始まり、『アンと青春』と続き、今回は三作目です。
デパ地下の和菓子店『みつ屋』でアルバイトしている主人公の梅本杏子(通称アンちゃん)は20歳になりました。
そう、成人式がありますね。
何歳になっても自分に自信がないのは変わらず、成人式用の着物もなかなか選べません。
好きな色と似合う色は違います。例えば黒って地味って感じですが、そこに柄が入ると派手に変わるのです。和服は洋服を選ぶのと同じではないようです。
コロナ禍の成人式はどうなるのでしょうね。
オンライン成人式って感じになるのかな?
それとも密にならないように、分けて開催するのかしら?
普通とは違う成人式でガッカリする人もいるでしょう。
でも、違う成人式も20~30年後にはいい思い出として、自慢できるかもしれませんよ。

このシリーズのお決まりの謎を紹介しましょう。
①宇宙モチーフで一年に一回(12月~1月)作られ、ドラマチックで華麗な物語を孕んでいる、お菓子に棒が刺さっている和菓子って何?
②なんでデパートってみんな一階が化粧品売り場なんでしょう。
③須賀神社の懸想文(ラブレター)売りは何故顔を隠していたのでしょう。
④お煎餅とおかきはどう違うの?
など他にも色々な謎があります。知らなかったことばかりです(恥)。

私はアンちゃんの自己評価の低さがあまり好きではありません。
まだ20歳なので、仕方ないのかもしれませんが。
彼女と同い年のテキパキとした仕事のできる女性がバレンタインフェアのお手伝いにやって来ます。
案の定、アンちゃんは自分と彼女を比べてしまい、自分の不出来さに落ち込んでしまいます。
でも同僚たちは違う評価をしています。
和菓子屋の場合、催事場か、デパ地下か、駅中か、町中か・・・どこにお店があるかによって必要な人材が変わるんですもの。
早く自分の良さがわかって、彼女ならではの力を発揮してもらいたいですね。

アンちゃんが気づいたことが若い人に参考になるかもしれません。

(考えが浅いのは、裏を返せば深く考える前に動ける自由さがあるってことじゃない?)
(弱点は、強みなのかもしれない)

高校と大学の違いって何でしょう。

「もしかしたら高校の勉強って、ざっくりと全体を教えてくれていたんじゃないだろうか。それで気になる勉強が見つかった人は、大学で細かく分野を選んで研究するように、とか」
「・・・資料の探し方、ネットと使い方、そういうのまで含めてが、きっと勉強なんだ。高校までとは違う、与えられた教科書をぼんやり眺めるのとは違う、自分で決める、勉強」
「大学はきっと、こういう「ぱかん」をたくさん見つけに行くところなんだ。なら、楽しいに決まっている。だって「わかる」って、すごく楽しいもん」

こういう風に思わずに大学に行ってしまいましたが、興味のもてることが見つかれば、勉強するのって面白いんですけど・・・。

尊敬していた人との別れを経験し、アンちゃんも色々と思うことがあり、自分の道をしっかりと歩んでいけるようになってきたようです。
これからの彼女は『みつ屋』の正社員になってもいいし、大学に行ってもいいし、まだ若いので、何でもチャレンジできますよね。

アンちゃんが友達と旅行するところとして金沢が出てきたのですが、行くことがあったら、『柿一』に行ってみたいと思って調べてみたら、そんな名前のお店はありませんでした。雅風堂のことかしら?
鈴木大拙館の庭と建物が素敵らしいらしいので、行って水鏡の庭で人生とはなんとやとか考えてみたいです(嘘)。
コロナが終息したら、まず最初に岐阜に双子ちゃんに会いに行き、その次に金沢で食べ歩きしたいものです。

「幸せなひとりぼっち」を観る2020/11/11

本屋大賞・2020年ノンフィクション本大賞は佐々涼子さんの『エンド・オブ・ライフ』に決まりました。
在宅医療についての本ですので、興味のある方は是非読んでみてください。



スエーデン映画。
原題が「オーヴェという男」で、ベストセラーの本を映画化したようです。
ポスターは英語版の方が好きです。
主人公のオーヴェの雰囲気出てますもの。
(ネタバレあり)

オーヴェは59歳。最愛の妻を亡くし、43年間働いてきた会社を首になり、生きていても仕方ないと思い自殺しようと思います。
首を吊ろうとした時に、前の道に車が入って来るのが見え、見に行くと、前の家に引越してきた家族でした。
上手く駐車できないようなので、運転を代わってあげます。

次の日の朝、駐車禁止の張り紙を貼ってから、いつものようにパトロールに行くオーヴェ。ガレージの戸締まりを点検し、ゴミの分別をチェックし、違反した車のナンバーを控え、外に出ていた自転車をしまい、砂場のおもちゃを片付け・・・。
ルールを守らないことが許せないのですね。
こんなおじいさん、いいえ59歳なのでおじさん(?)かしら、周りにいたら私なんか絶対に話しかけないわ。それでもみんな話しかけるのは何故でしょう?
奥さんが亡くなって間もないので、気にしてくれているのかもしれませんね。

再度、首を吊ろうと、ロープを首にかけたところ・・・今度はチャイムが。
前の家の子供がお礼にペルシャ料理を持って来てくれ、ついでにはしごを貸してくれと言います。
気分を変えて、再度トライすると、今度はロープが切れてしまいます。
その後どうしたかというと、わざわざ店までロープの耐久性の文句を言いに行きます。切れても仕方ないような細いロープですけど。もっと太いのを買いましょうね、笑。

今度はどうするのかと思ったら、昔の親友で今は半身不随になっているルネの家に行って貸していたホースを返してもらいます。
この二人、何やら因縁がありそうです。
ルネの奥さんはオーヴェと仲直りをしようとして、ランチに誘うのですが、オーヴェは頑として受け付けません。
ホースを使うと言えば、そうです、車の排気ガスを使うのです。
意識を無くし、昔のことを思い返していると、ガレージを叩く音に起こされます。前の家の夫がはしごから落ちたというのです。
妊娠しているイラン人の妻・パルヴァネは車の運転ができないので、オーヴェが彼女と子どもたちを病院まで連れて行くことになってしまいます。
パルヴァネが医師と話す間、オーヴェはこどもたちの面倒をみますが、警備員に危険人物と見なされ、病院から追い出されてしまいます。
オーヴェってくそ真面目な要領の悪い人ね。

次の日、駅でオーヴェはプラットホームから飛び降りようとしますが、彼より先に側にいた男が倒れて線路に落ちてしまいます。
その人を助けに線路に降り、ちょうど電車が来たのでそのまま線路にいようかと思ったのですが、子供が彼を見ているのに気付き、思いとどまります。
子供に見せたらトラウマになっちゃうもの。

そんなわけで、何回も自殺未遂を繰り返し、いい加減にしろよと思ったところに、パルヴァネが現れ、運転を教えて欲しいと頼んできます。
本当は嬉しいのに最初は断りますが、他の奴が教えているのが気にくわなくて、結局は運転を教えることにします。
なかなか一筋縄ではいかないですね(笑)。
パルヴァネと彼女のこどもたちと接するうちに、段々とオーヴェは変わっていきます。
彼はもともと心優しい人なのですが、それを表現できない不器用な人なのです。
たぶん奥さんはそれを知っていたのでしょうね。それでなければ彼のような人と長年一緒に暮らせないでしょう。私だったらサッサと逃げ出しますわ。

自殺を諦めたかと思ったら、今度は銃を持ち出します。
でも、またチャイムが。
今度は妻の教え子が友達のミルサドを泊めてくれないかと言ってきたのです。
ソーニャ先生なら泊めてくれると言われ、仕方なく泊めてあげます。
妻は彼にとって絶対的な存在なのですね。

次の日の朝、ルネが家族の意思に反して介護施設に連れて行かれると聞きます。
オーヴェはルネのために介護施設の不正を暴き、他の住民達と共に職員を追い帰します。
これでルネとオーヴェは仲直りできました。

自殺はできなくても、今度は身体が危険信号を出しました。
オーヴェは道で倒れてしまったのです。
医師は命に別状はない、心臓が大きすぎるだけと言い、それを聞いたパルヴァネは「本当に死ぬのがヘタクソね」と大笑い。
しかし笑っているうちに産気づいてしまいます。

パルヴァネも無事に出産をし、オーヴェも落ち着いたかという時、朝の8時なのに、オーヴェの家の前は雪かきがされていません。
パルヴァネは大急ぎでオーヴェの家に行きますが・・・。

人生って思い通りにはいかないものですね。
オーヴェの性格がこうなってしまったのも、どうしようもないなという感じです。
唯一の心のよりどころが妻のソーニャだったのね。
お墓で愚痴ったり、寝たり・・・死んでも奥さん大変そうです(笑)。
福祉国家であるスエーデンは一見よさそうなのですが、是正すべきところもあるのも仕方ないかなと思いました。

とにかくオーヴェ役の人、役にピッタリです。
頑固で偏屈、不器用、意固地、意地っ張り・・・でも寂しがり屋な感じが出ていました。