ジェフリー・ディーヴァー 『ネヴァー・ゲーム』2020/11/05

年に一冊ずつ翻訳されているディーヴァー。
いつものリンカーン・ライム・シリーズではなくて、新シリーズの登場です。


コルター・ショウは行方不明者や逃亡犯、身元や所在が明らかになっていない容疑者にかけられた懸賞金で暮らしています。私立探偵でも保釈保証業者でもありません。
キャンピングカーに乗り、国中を旅して回っています。
どうしてそういう職についているのかはわかりませんが、父親の死が関係しているのかもしれません。
父親は大学教授でしたが、何故だかわかりませんがコルターにサバイバル術を叩き込んだのです。

コルターの懸賞金ビジネスのサポート役のテディとヴェルマからもたらされたのは、シリコンバレーで失踪した19歳の女子学生の調査です。
彼女はソフィーと言い、父親が懸賞金をかけていました。
すぐに父親に電話をし、会いに行き、必要な情報を手にいれます。
戦略はコルターの父から教えられたアドバイスに従います。

「発生しうる事態すべてについて確率を見積もり、もっと確率の高いものから検討して、最適な計画を立案する」

確立を計算するなんて、コンピューター並みね。

ソフィーが行方不明になる直前に立ち寄った「クイック・バイト・カフェ」に行き、店の従業員に話を聞くと、思わぬ手がかりが得られます。
ソフィーは行方不明になる前に父親と口げんかをしていました。
頭にきて思いきり自転車を乗り回したいとしたら、どこへ行く?

次にコルターが探すのは、ソフィーの父親から紹介された、ブロガーでLGBT人権活動家のヘンリー・トンプソン。
彼はスタンフォード大学での講演会後に行方不明になりました。
コルターは彼が誘拐される直前まで行ったと思われる場所を回っていきます。

そんな彼に「クイック・バイト・カフェ」で話しかけてきた赤毛の女がいます。
電話番号を交換しておいたら、電話を寄越しました。
彼女はマディというプロのゲーマーで、コルターをゲームショウに連れて行きます。初めて体験するゲームの世界。
この経験が思わぬことに役に立ち、コルターは2つの事件の共通点に気づきます。

普段からゲームなどしない私は読み進められるかどうか心配でしたが、任天堂とかマリオとか出てきたので、意外と身近な話題だと思い、わからないところは適当に飛ばして読みましたわ、笑。
サッポロビールを飲む場面があり、アメリカにも売っているのかしらと思いました。

ライムは安楽椅子探偵ですが、コルターはとにかく動き回る人なので、両者は対象的です。
リンカーン・ライム・シリーズでは当たり前の大ドンデン返しがないのがちょっと残念です。
アメリカでは二作目が出版され、来年には三作目が出るということです。
父親の謎の死が徐々に解明されていくのかしら?
しばらくはリンカーン・ライムには会えなさそうで残念です。