「LION/25年目のただいま」を観る2020/11/09



実話だということです。
(ネタバレあり)

1986年、5歳のサルーは兄が夜の仕事に行くのに無理矢理着いていきます。一緒に仕事をするつもりだったのですが、何しろ幼いもので、寝てしまいます。仕方なく兄はそこで待っているようにと言い、サルーを置いて仕事に行きました。
しかし、寝ていた電車が走り出し、サルーはカルカッタ(現コルタカ)まで運ばれてしまいます。
自分がいた町のガネストレイはどこと聞いて回っても誰も相手をしてくれません。

夜になり女の子に着いていくと、子ども達が路上に寝ていました。
一緒に寝ていると、大人たちがやってきて、子ども達を捕まえていきます。
サルーは逃げ、河の側で神さまに祈っている人たちのところで一夜を明かします。
次の日、線路を歩いていると、優しそうな女性が話しかけてきます。
彼女はサルーを家に連れて行き、ご飯を食べさせ、水浴びをさせ、清潔な服を着せてくれました。明日来るラーマが彼を助けてくれると言いますが、やってきた男はサルーの全身を調べていきます。
危険を感じたサルーは逃げ出します。

2ヶ月後、ゴミあさりをしてサルーは暮らしていました。
スプーンがあったので持っていると、レストランで食事をしている男の人が目に入ります。彼がスプーンを使う様子を真似していると、彼はサルーに気づき、警察まで連れて行ってくれますが、警察はサルーを孤児院に入れます。
孤児院は監獄のようにひどい所でした。
孤児院にいる子どもの養子縁組をしているミセス・スードはサルーに言います。
カルカッタの新聞に彼のことを載せたが反応はなかった。オーストラリアの家族が彼を欲しいといっていると。

サルーはオーストラリアに住んでいるジョンとスー夫妻の養子となります。
彼の後にマントッシュが養子となりますが、彼は幼い頃に虐待されており、それが影響したのか精神的に不安定で、後に薬をやるようになってしまいます。
ジョンとスーは自分たちの子を持てたけど、不運な子供を助けることに意義があると考え、サルーとマントッシュを養子にしていました。

20年後、サルーはホテル経営を学ぶためにメルボルンの大学へ入学します。
ある日、友人とインド料理を食べている時に、幼い時にインドで見かけた赤いお菓子があるのを見て、自分が迷子であったことを思い出します。
サルーの話を聞いた友人たちがグーグルアースで調べていけば生まれた町がわかるのではないかとアドバイスしてくれました。
それからサルーは、自分の行為は養父母に対する裏切りではないかと後ろめたく思いながらも、生まれた町を探し続けます。
母と兄は今も自分を探しているのではないかと思って、いたたまれない気持ちになっていたのです。
その頃の電車のスピードを調べ、乗っていた時間から距離を出し、その辺りをグーグルアースで調べていきます。

ある日、グーグルアースを見ている時に気づきます。
ここは自分が走っていた場所ではないかと。
生まれた町はガネストレイではなくてガネッシュ・ダライではないかと。

2012年、サルーはインドに行き、思い出の場所を歩き、家のあった所まで行きます。
そこには母も兄もいませんでしたが、たまたま出会った英語を理解する男性に着いていくと・・・。

インドで行方不明になっている子供は映画によると8万人以上もいると言われています。サルーは幸運な子だったのですね。
現在の彼はオーストラリアで家業を手伝う傍ら、コルカタで孤児院を営み、ミセス・スードのサポーターをしているということです。

何故タイトルが「LION」かというと、サルーという名前は覚え間違いで、本当の名前は「シェルゥ」でヒンドゥー語で「ライオン」という意味なのだそうです。
5歳の子ですから、そんなもんですよね。町の名前も間違っていたし。

とにかく広大な景色が素晴らしい映画でした。
2016年公開ということですが、インドに行った20年以上も前と雰囲気があまり変わっていないことに驚きました。
今の私は、インドには太刀打ちできないわ、笑。