「マイ・インターン」を観る2020/12/11



ロバート・デ・ニーロとアン・ハサウェイが主演する映画です。

70歳のベンは電話帳の会社に40年あまり勤め退職し、妻が亡くなってから一人暮らしをしています。
ある日、シニア・インターン募集の張り紙を見て応募することにします。
募集しているのは「About the fit」というファッション通販会社で、社長のジュールズが1年半前に会社をつくり、社員が25人から216人あまりになるという急成長した会社です。
ベンは合格し、ジュールズの専属となりますが、忙しい彼女はベンにかまうどころではありません。会社の中を自転車で移動しているぐらいですもの、笑。
やることのないベンでしたが、誠実で穏やかな性格の彼は働いている若者の悩みにのったり、机の上を片付けたりと、人が見逃すような些細な仕事をしているうちに、周りから受け入れられていきます。

そんな頃、ベンはジュールズの車の運転手が酒を飲んでいるのを見かけます。
運転手に運転をしないように忠告し、自分が代わりに車を運転することにします。
それ以来、ベンは朝から晩までジュールズ専属の運転手として働くことになります。

ジュールズには夫と子どもがいましたが、彼女にはある悩みがありました。
会社のことと夫のことです。
今のようなペースで仕事をしていくと、家族との時間が取れませんし、気持ちが益々遠ざかっていくばかりです。仕事ももはや手一杯の状態です。
ジュールズの代わりになる予定のCEOの面接にサンフランシスコまで行った時に、ジュールズはベンに心を許し、悩みを話します。

果たしてジュールズはどんな決断をするのでしょうか。

とにかくロバート・デ・ニーロが素敵です。ピシッとスーツを着て、若者たちの見本になるような言動をしています。
私の好きな映画の一つ、「恋に落ちて」でロバート・デ・ニーロが演じていたフランクが年を取ったらこうなりそうです。
彼のような老紳士なら、どの世代にも受け入れられるでしょうね。嫌われない老人とはどういう人かを、この映画を観て学びましょう、笑。

アン・ハサウェイも仕事では成功したけど、家庭は大変な女性を上手く演じています。「プラダを着た悪魔」の時の彼女よりこっちの役の方が好きです。
彼女って可愛いですねぇ。

唯一私としてはジュールズとは違い許せないことがありましたが、それ以外は後味のいい、楽しいコメディ映画でした。


新しいパジャマを着た弟犬です。


彼はこういう服が似合います(親のひいき目?)。
弟に買った服が兄も着れそうだったので、着せると・・・。


似合わないわねぇ。
兄も弟も服を着るのには抵抗はないみたいです。兄は脱がそうとすると、嫌だと言って着たままでハウスに入って行きました。
頭を覆う帽子みたいなものは嫌みたいです。

樹原アンミツ 『東京藝大仏さま研究室』&『ブルーピリオド8』2020/12/12

東京藝大というと、二浪三浪当たり前。
特に美術系では普通の生活ができない(しない?)、ちょっと危ない人が多い大学。なんてイメージが、私にはありますが、どうなんでしょうね。
私の周りには武蔵美とか多摩美とかはいますが、藝大には会ったことがないのでわかりません、笑。


藝大では美術品の保存修復を勉強できることは知っていましたが、どのような教育をしているのかは謎でした。
東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻保存修復彫刻研究室っていうのがあるらしいです。(履歴書に書くのが大変そうね・笑)短くして仏さま研究室。
この研究室では主に仏像の構造や修理法を学び、最後の一年では修了制作として仏像模刻をします。
(「模刻」とは、オリジナルの仏像をできるだけ忠実に再現することです。)

この本は仏さま研究室に属する4人の若者たちーまひる・シゲ・アイリ・ソウスケ-が「模刻」をやる傍ら、家族や友達、恋人関係で悩み、才能の限界を知り煩悶し、周りに助けられながら自らの問題点を克服し、最後には自らの行くべき道を選んで行くという成長の物語です。
途中に挟まれている仏像に関する蘊蓄で知識が広がります。

そうそう、彼らがどんな仏像を模刻したかというと、東京メロンボーイ(浦上和久)さんのツイートからおかりした画像ですが、こんな感じです。


左から十一面観音(まひる)、運慶作不動明王(アイリ)、大日如来(シゲ)、沙
羯羅(ソウスケ)です。
これらを三次元計測や透過X線撮影、3Dデータを使って、そっくりに再現していくのですが、難しいですよね。

なかなか面白い本でした。こういう本、好きです。
そうそう、作者の樹原アンミツって映画監督の三原光尋とライターの安倍晶子の合作ペンネームだそうですが、安倍さんはお亡くなりになったそうです。
この本のような作品をこれからも読めるかと思っていたのですが・・・。

もう一冊、まんがですが、藝大を扱っているので紹介します。


高校2年生の時に藝大に入ろうと思い立ち、無事に現役合格を果たした矢口八虎(1巻~6巻)。
藝大の授業では同級生の才能に圧倒されるばかり。
課題の「東京の風景」で少しだけ自分の殻を破れたかな?
藝大の文化祭は一年生が主役みたいなもんで、美術学部と音楽学部混合で8チームに分かれ、それぞれが神輿と法被を作るそうです。
結構みんないい加減で、神輿が無事にできあがるのかしら?

藝大生の日常がわかっていいのですが、色々な人たちが出てきて誰が主人公だったっけと思ってしまいました。
八虎が周りに埋もれているわ・・・。
『最後の秘境 東京藝大ー天才たちのカオスな日常ー』と一緒に読めば、藝大のすべてが・・・まだわかりませんけど、笑。

「顔たち、ところどころ」を観る2020/12/13



映画監督のアニエス・ヴァルダと写真家でアーティストのJRが旅にでて、フランスの田舎町を回り、そのところどころで作品を作っていきます。

アニエスは2019年3月に90歳でお亡くなりになっています。
この映画は2017年に作られたので、彼女は87歳。
とってもチャーミングなお方で、JRが33歳ですから、54歳の年の差ですね。
孫がおばあちゃんを優しく見守るという感じのところもありますが、アーティスト同士ですから、譲れるところと譲れないところがあり、意見を交わし合うところもあります。

二人がどんな作品を作ったかというと、旅で出会った人たちに協力してもらい、顔写真を撮り、拡大した写真を壁に貼っていくのです。


取り残された炭鉱労働者の村では炭鉱で働いていた人々の思い出話を聞き、元抗夫住宅の壁に昔の抗夫たちの写真を貼っていきます。
今でも抗夫住宅に住んでいるジェニーヌの家には彼女の写真を貼ります。


化学工場では午前のシフトと午後のシフトで働く人々の写真を撮り、通路の壁に写真を貼っていきます。
廃墟になった住居跡では近隣に住む人々に集まってもらい彼らの写真を撮り、住居跡に貼っていきます。
ある町ではウエイトレスの人にモデルを頼んで、日傘をさした可愛らしい写真を撮り貼りました。町の見所になりますね。


山羊の角を切らずに育てることを信条にしている養牧者のところでは山羊の写真を貼ります。
山羊は喧嘩をするので、普通は怪我をしないように角を切るのだそうです。

地震が来た時のためにわざと落とした浜辺のトーチカには、どの写真を貼るかで意見を戦わせます。


浜辺で貼った写真は嵐が来たため、次の日にはなくなっていました。

時にはJRの100歳のおばあさんに会いにいきます。
JRがサングラスを決して外さないのが、アニエスは気になっています。

ル・アーブルでは港湾で働いている人の3人の妻たちの写真をコンテナに貼り付けました。
タンクローリー(?)にはアニエスのつま先と目・・・。
そうそう、ルーブル美術館。楽しそうでした。(映画を観たらわかります)

この旅の目的を聞かれるとアニエスはこう言っています。

「目的は想像力かしら。JRと私は自由な発想から物事を想像し、問いかける。
想像力とは人と関わるものだから、皆と写真を撮るの。そうすればあなたと交流し奇抜な発想を実現できる。その楽しさを分かち合いたいの」

観ている私までどんな作品ができるのかワクワクしてしまいます。

最後にアニエスが会いに行ったのは誰?ゴダール?
お亡くなりになっていると思っていましたが、生きているのね(失礼)。
彼はまだまだ現役なのですね。
残念な結果になりましたが、その後のJRの優しさが身に染みました。

アニエスさんの映画は一つも観ていないと思っていたのですが、調べてみると『歌う女・歌わない女』を観ていました。(結構最近までフランスでは中絶は犯罪だったのです)
映画の印象からすると、彼女は年を取って丸くなったのかしら?素敵な年の取り方をしていますね。二色の髪が似合っています、笑。

とっても私好みの映画でした。

新堂冬樹 『動物警察24時』2020/12/14

ミステリ作家で名前は知っていたので、動物警察というのに惹かれて読んでみました。


東京都に実験的に設置された「Tokyo Animal Police」通称TAPは、動物保護を目的として警察や動物愛護相談センターと協力しながら活動をしています。
元動物看護師でTAPで働く北川璃々は後輩で元トリマーの中島涼太と警察官の天野広大と共に動物に関する事件を解決していきます。

事件とは。
①「目黒公園愛犬連続ペンキ弾事件」・・・目黒区の公園で何者かが小型犬に水鉄砲でピンクのペンキを浴びせていました。
②「ミニチュアシュナウザーの虐待疑惑!?」・・・ある人気タレントは自らのイメージのために飼犬のミニチュアシュナウザーにダイエットを!
③「マルプー誘拐事件の謎」・・・TAPに恨みを持つ者がマルプー(マルチーズとプードルのミックス犬)の誘拐事件を企て、TAPに500万円要求してきます。
④「可愛がってくれる飼い主を待つ犬達」・・・妻に先立たれた老人が犬を飼うことにはまり、近所で産まれた犬や捨て犬を引き取るようになり、噂を聞きつけた人が家の周りに捨て犬をし、多頭飼育崩壊の危機に陥ります。
⑤「TAP存続の危機」・・・あるペットショップでは売れなくなった犬を虐待していますが、オーナーの父親が東京都福祉保健局の幹部なので、部長から関わるなとの圧力が・・・。

様々な動物たちの危機に、虐げられていた動物たちの心と身体の傷を癒やすのが自分たちの使命と、璃々たちは日々邁進していきます。

扱っている内容は重いものですが、何しろ書き方が軽く、璃々が熱血すぎて、やり過ぎ感満載。なんだかなぁ・・・。途中で読むのを止めようかと思いました。
新堂さんの本ってみんなこんな感じなのですか?
読みやすいので、今の動物問題の一端を知りたい方や軽い動物物を読みたい方にはいいかも。


昨夜、休日出勤していた夫がケーキを買ってきました。


久しぶりのケーキでした。
都心に行って美味しいケーキを買いたいけど、まだしばらく我慢します。

「Modern Love ~今日もNYの街角で~ エピソード1~3」を観る2020/12/15



映画館やレンタルビデオ屋にまだ行きたくないので、最近はアマゾン・プライムで映画を観ています。
「Modern Love」は出てくる人たちが豪華で、すぐ見終る30分というところがいいです。
ニューヨークタイムズのコラムに送られてきたお話を基に作られたドラマだそうです。

エピソード1:「私の特別なドアマン」
ドアマンのグズミンがいい味出してます。東欧かロシアの兵士かKGBかという感じの初老の強面男性(↓)ですが、アパートメントに住んでいる、おバカ女(マギー)の面倒を父親のような気持ちでみています。


毎回クソにもならない男をアパートメントに引き込み、失恋ばかりしているマギーに彼は「あの男はあなたにふさわしくありません」「彼は頭が空っぽ(一発屋など色々)です」と言うのです。
妊娠がわかって泣いているマギーに「あなたはもう一人ではありません」と励まします。彼は妊婦なのに自転車に乗っているマギーを叱ります。もらった超音波写真に喜び、出産の時に病院に現れます。産まれた子どもも可愛がります。マギーにロサンゼルスでのいい仕事が舞い込んだ時は、引き受けるようにと背中を押します。
こんなドアマンがいたらいいですね。

エピソード2:「恋のキューピットは世話好き記者」
デートサイトのCEOのジョシュア役が「LION/25年目のただいま」に出ていたデブ・パテルです。

取材で現れた女性記者ジュリーが最後にジョシュアに質問します。「本気で恋愛したことがある?」。ジョシュアは今でも忘れられない2年前のエマとの出会いと別れを話します。
そうすると、ジュリーは気持ちは伝えた方がいいとアドバイスし、自分のことを話し始めます。
彼女はシェイクスピアの研究で留学中の大学4年生で彼は戦場カメラマン。
二人の出会いはカリブのバー。週末パリの彼女の家に来るはずだったのに、すっぽかされましたが、彼女は彼のことが忘れられないでいました。
それから時が経ち、彼女はある町の本屋で行われる自分の本の朗読とサイン会に行きます。そこに彼がやって来て、彼女の住所が書いてあった本が盗まれ行けなかった、ずっとあの時の続きをしたいと思っていたと言います。
しかし、二人は夜通し話しをするばかりで、それ以上進もうとはしません。
翌朝、彼は彼女にあの時盗まれた本『アンナ・カレーニナ』を渡し、去って行きます。家に帰った彼と彼女はある決断をしていました・・・。

ジュリーの話を聞いたジョシュアはエマと再会することにします。

エピソード3:「ありのままのわたしを受け入れて」
アン・ハサウェイが登場し、急に歌ったりするので、エ?と思いましたが見ているうちに、納得。
彼女はある病気で悩む弁護士を演じています。調子がいい時はバリバリ働き、デートもするのに、落ち込むとベッドから起きられず、仕事に行けず、デートもドタキャン。とうとう欠勤が多いため、仕事を失ってしまいます。
実は彼女、自分の病気のことを周りに隠していました。しかし、やっとできた気のあう同僚と別れるのが辛くて、彼女に自分の病気のことを告白します。

どのエピソードも面白かったです。
8話あるのですが、人気No.1はエピソード2、No.2はエピソード1、No.3はエピソード3だそうなので、3話まで見れば十分・・・かな?


今週のおやつはロイズのクリスマス・コレクション。


意外と地味な詰め方ですが、食べるとまろやかな甘さのチョコが美味しいです。
ここのポテトチップスチョコレート、食べたいわぁ。配送料が高いので、頼むのも躊躇してしまいます・・・。

「ソーイング・ビー シーズン1&2」を見る2020/12/16



「ソーイング・ビー(The Great British Sewing Bee)」はイギリスの裁縫コンテスト番組です。NHKのEテレで放送しているみたいです。
審査員は真ん中にいるイケメンネクタイ男子、デザイナーのパトリック・グラントと前列向かって右から二番目の女性、裁縫教師のメイ・マーティンです。彼らはとっても辛口の批評家です。
司会進行はパトリックの右にいる女性、クローディア・ウィンクルマン。結構食わせ物です。

2日間に渡って課題を3つ(課題1・型紙を使って洋服を作る、課題2・用意された衣類をリメイク、課題3・モデルにあった洋服を作る)仕上げます。

シーズン1では型紙でAラインスカート、紳士用パンツ、子供用サマードレス、紳士用シャツを作りました。
リメイクでは既製服の襟ぐりのデザインを変える、パッチポケットをつける、ドレスにする、バッグにミシンを使わず飾りをつける、などをしました。
課題3では、モデルに合ったワンピースやブラウス、ジャケット、イブニングドレスを作りました。
出場者は男性2名と20代から80代までの様々な年代の女性6名の計8人ですが、ファイナルまで行くと3人になります。
男性2名は女性と比べると経験が足りない感じでした。
髭のマークは整備工で昔の洋服を作ってコスプレするのが趣味。スチュアートはジムのインストラクターでゲイ。まず女性用の服なんて作りませんよね。
私は回を重ねるごとに上手くなっていったスチュアートが一番のお気に入りでしたが、セミファイナルで敗退になってしまいました。
優勝するには経験が物を言いますね。優勝した人の作った青いドレス、着てみたいです。

シーズン2は出場者が10名と多く、各回1名ずつ敗退していきます。
回数が多いので、綿とかナイロン、絹など生地を指定したり、型紙も1930年代のものを使わせたりとシーズン1よりも多彩です。
ウエディングドレスを子供用のドレスにリメイクしたり、ネクタイ、プロムドレス、コート、美しいドレスを作らせたりもしています。

3名が男性で、一番若いサイモンはブラッドフォード産業博物館で働いているそうですが、一番裁縫がお粗末でした。イケメン枠で出場したのかしら?
警察官のディビッドは脚を怪我していて大変そうでしたが、スチュアートのように回が進むうちに上手くなっていくのがわかりました。
一番お年寄りのクリフは元僧侶という人で、プレッシャーに負けたのか、一回目で体調が悪くなって途中退場。周りを見て、自分は着いていけないと思ったのかもしれませんね。
女性では学習支援補助員をしているリンダがパトリックのことが気に入っているようで、いつも楽しそうに参加しているのが印象的でした。
ナイジェリア人(かな?)のチネロはフリーハンドで洋服を作り、レースを効果的に使った素敵なドレスを作っていました。最後のドレスはパトリックの言うように裾のギャザーがなければいいのに・・・。
ネクタイをどう作ったらいいかわからなくて泣いてしまったチネロに、いつもは厳格なパトリックが教えてやったのはいいのかな?
優勝した人のドレスは色使いが赤と黒で今一だと思ったのですが、縫い方がよかったということですかね?

シーズン1は見ていて面白かったのですが、シーズン2は人が多く、回数も多いので、途中で飽きてしまいました。でもみんなで助け合っている姿がよかったです。
私は学校でしか裁縫をしたことがないので、日本でこういうコンテストをやったらどうなるのか、全く予想できません。彼らのやっていることは裁縫をやっている人には難しいことなのかしら?簡単なことなのかしら?

シーズン3以降がアマゾン・プライムでは見られないのが残念です。
審査員のイケメン・パトリックが口髭を生やしているのを見たかったのに、笑。

大崎梢 『夏のくじら』2020/12/17

南国土佐・高知「よさこい祭り」って知っていますか?
私はテレビのニュースなんかで映っているのをチラッと見ただけでしたが、大規模な祭りなのですね。
YOSAKOIソーラン祭りみたいなものかと思っていたら、すみません、よさこい祭りをルーツに作られたのがソーラン祭りなのですね。


よさこい祭りと青春を描いた小説です。

篤史は東京から高知大学に入学するため、父親の郷里の高知にやってきました。
どうしてわざわざ高知の大学にと誰もが不思議に思います。
実は初恋の人を探すためだったのです。

夏休みになると父母が共働きだったため、篤史はほぼ毎年祖父母の家に預けられていました。
四年前の夏、従兄弟の多郎に誘われ、「よさこい祭り」に参加しました。はっきりと返事をしていなかったのに、いつのまにか参加ということになっていたのです。
七月になって高知に行き、全体練習に初めて参加して振り付けのむずかしさに戸惑い、自分の体力に不安を覚えていました。
そういう時に篤史に話しかけてくれた女(ひと)がいたのです。

「よさこい祭り」は一生に一度の挑戦、ひと夏の脱線、若気の至り・・・だったのに、多郎がまた誘ってきました。
しばらく途切れていた町内会チームの、それもスタッフとして加わらないかというのです。
前と同じようにはっきりと返事をしなかったので、強引にスタッフの打ち合わせに誘われます。行ってみると、チームの専用サイトを作るように依頼され、面倒なので断ろうと思ったところに、四年前の写真を持っているかもしれないという人が現れ、写真を見せてくれることになります。
その人の家で写真を食い入るように見ていたため、不審に思われ、篤史の企みはバレてしまい、スタッフをやっている方が人捜しには有利だという言葉に乗せられ、それからの篤史の日常は「よさこい祭り」一色にってしまいました。

さて、無事に彼女に会えたのでしょうか?

読んでいて、初恋の人はどうでもよくなりました。
よさこい祭りってこんなにも熱い祭りだったのですね。
学校の文化祭の何倍も手がかかるけど、やり遂げた時には何十倍もの感動が押し寄せてくるのでしょうね。
よさこいの魅力にはまりました。

今年は開催できなかったけど、来年、できるといいですね。
四国は香川県以外に行ったことがないので、いつ行けるのかわかりませんが、よさこい祭りと阿波踊り、両方見られる時に行きたいです。

お勧めの本です。

M.W.クレイヴン 『ストーンサークルの殺人』2020/12/18



ワシントン・ポーは元カンブリア州警察、現在はNCA(国家犯罪対策庁)のSCAS(重大犯罪分析課)の警官ですが、仕事上のミスの処分が決まるまで停職中です。
カンブリア州に戻り、のんびりと家の修理をしていた時、元部下のステファニー・フリンがやってきます。
ポーが処分を受けた後、彼女は彼の後を引き継ぎ、警部になっていました。
停職処分を解くので、近頃話題のイモレーション・マンの捜査にあたって欲しいと言うのです。
カンブリア州ではストーンサークルの中央で杭にくくりつけられ、燃焼促進剤をかけられたのち、火をつけられた死体が三体見つかっていました。(「イモレーションとは「生け贄として火あぶりにする」という意味)
三番目の被害者の体にポーの名前と「5」と思える字が刻みつけられていたというのです。
全く身に覚えはありませんでしたが、ポーは捜査に加わることにします。

久しぶりのSCASのオフィスはポーのいた時と大分変わっていました。
人事課のバレットから停職を解く条件などの説明を受けている時に、あらたな犠牲者がでたという電話がありました。
ポーはフリンの下につき、分析官のティリー・ブラッドショーという、一般常識に欠け、人付き合いが苦手な、しかし16歳でオックスフォード大学で学位を受けたことからわかるように頭脳明晰でデータマイニングに高い能力を持つ女の子(と言った方がいいわね)と一緒に、再びカンブリア州に行くことになります。

犠牲者たちの共通点は年代以外に見当たらず、捜査は行き詰まりますが・・・。

頭が良すぎたため、普通の女の子の生活が送れなかったティリーが痛々しいですが、そんな彼女をいじめる相手はポーが許しません。ちょっとやり過ぎという感じもしますが、そんなポーにティリーがまいってしまいます。二人は似たところがあるのでしょうね。
だからといって恋愛関係になるかと思ったらならず、友だちになりました、笑。

全くおぞましい事件です。犠牲者たちがいつまで経っても浮かばれないのはどうにかしなければなりませんね。
三作目まで出ているそうなので、今回うやむやになった事件の関係者たちとポーが対決するとか、またティリーと事件の捜査をするところを読みたいです。
ポーの父親も気になります。
イギリスのストーンサークルにいつかは行きたいと思っていますが、行ったらこの本のことを思い出しそうです(笑)。

そういえば、2021年度のベストミステリが発表になっていましたね。私が読んでいるのは少ないです。
「週刊文春ミステリーベスト10」では海外編『その裁きは死』(1位)、『ザリガニの鳴くところ』(2位)、『ネヴァーゲーム』(6位)、『ストーンサークルの死』(8位)、国内編『暴虎の牙』(9位)の5冊しか読んでいません。
「このミステリーがすごい!ランキング」では国内編『不穏な眠り』(9位)、『巴里マカロンの謎』(19位)、海外編『その裁きは死』(1位)、『ザリガニの鳴くところ』(3位)、『弁護士ダニエル・ローリンズ』(11位)の5冊。
『2021本格ミステリ・ベスト10』では海外編『その裁きは死』(1位)、『ストーンサークルの死』(3位)、『ザリガニの鳴くところ』(9位)の三冊で、日本編は一冊も読んでいません。
単行本は図書館で借りるようにしているのですが、特に日本のミステリは予約する人が多いのでなかなか読めません。海外の方が文庫で発売され、電子書籍化される率が高いので、年末にかけて読んでみます。

フィン・ベル 『死んだレモン』2020/12/19

「本格ミステリ・ベスト10」と「このミステリーがすごい!ランキング」で8位になっている本です。
大分前に読もうと思ってkindleに入れておいたので、読んでみたら面白いのですぐに読み終わりました。


南アフリカで産まれ、アフリカを転々とし、ニュージーランドに移住してきたフィン・ベルは、南の果ての崖に宙づりになっていました。

うわべでは仕事も上手くいき、裕福で、友人も、尽くしてくれる妻もいたのに、フィンの毎日は充実とはほど遠く、酒浸りの生活を送っていました。
そんな生活は続くはずもなく、酒を飲んで運転し、駐車中のトラックに追突し、車椅子生活を余儀なくされ、妻とは離婚。
そして宙づりになる五ヶ月前に、フィンはリヴァトンという小さな港町に近い、南の果ての人里離れた海沿いのコテージを手にいれていました。

コテージに住み始め、町に行き銃を買い、店を出たところに電話が来ます。
新しいセラピストのベティ・クロウからで、すぐにカウンセリングに来るように、そしてついでに美容室から糖蜜の瓶を引き取ってきてくれと申しつけられたのです。
ベティはここにフィンが死にに来たということを見抜いていました。
カウンセリングの最後にフィンに自分が人生の落伍者(dead lemons)なのか見極めろと言い、宿題を2つ与えます。
カウンセリング後に美容室で髪をカットしてもらいながら、美容師のパトリシアと話していると、いとこのタイにマーダーボールに連れて行ってもらうといいと勧められます。
マーダーボール(車椅子で行うラグビー)に出会ってから、フィンの生活はそれまでの生活と劇的に変わっていきます。

コテージは給油機が不具合で、電源が三日間で二度も落ちています。
電力会社に連絡するとトゥイという男が来て、隣に住むゾイル家と相談するように言われます。ゾイル家とコテージは一本の電線を共有しているのです。
ゾイル家は大きな農場と未開拓地の持ち主で、怒らせると手荒なことをする、手のつけられない一家らしいのです。
ゾイル家に行ってみると、大柄で筋肉質な兄弟三人が出てきて、何故だかわかりませんが、フィンに敵意を持っているようです。フィンは彼らに不気味な異様さを感じ、どことはいえませんが違和感を持ちました。

コテージに親猫と4匹の子猫がやってきます。
前の家の持ち主のエミリー・コッターが飼っていたのではないかと思ったフィンは、彼女に会いに高齢者向けコミュニティーに行きます。
エミリーは猫は飼ったことがない、ゾイル家はほしいものをすべて手に入れる、私は決して忘れないと言うばかりでした。
気になったフィンは図書館の新聞でエミリーの家族のことを調べます。
エミリーの娘・アリスは行方不明になり、彼女の恥骨がゾイル家の農場近くで発見され、農場はくまなく捜索されましたが何も見つからなかったということでした。
また別の日に図書館で新聞を読んでいると、同じ記者が記事を書いていることに気づき、会いに行くことにします。記者はプルーイット・ベイリーと言い、何故そんなにその事件のことを知りたいのか、事実はすべて報じてきたと言うばかりでした。
プルーイットのことばがひっかかったフィンはエミリーの夫・ジェイムズにも何かあったのではないかと考え、ふたたび図書館で記事探しを始めます。
そしてわかったことは、アリスが行方不明になった翌年にジェイムズも行方不明になっていたということです。
図書館から出る途中でトゥイと出会い、彼からリヴァトンの歴史を知りたいならブラック・アルビーに会って話を聞くように勧められます。

マーダーボールに熱中しながらも、アリスとジェイムズの行方とゾイル家の三兄弟のことが気になるフィンは三兄弟のことを調べ始めますが・・・。

冒頭から宙づりですから、掴みがいいですね。
ニュージーランドの豊かな自然とおおらかな住民たちが印象的です。
とても暮らしやすそうな島ですね。
そんなところでこんな残忍な殺人事件が起こるなんてって思っちゃいました。
読み出すと止まらなくなる本なので、時間がある時にお読みください。


我が家の犬たちは元気です。


ヨーキーの弟は6歳なのに、未だに持って来い遊びが大好きです。


プライドポテトを咥えて離しません。
一方兄は3歳から持って来い遊びはしません。
犬種の違いかしら?

「キャロル」を観る2020/12/20

クリスマスの場面がありますが、家族ではみてはいけない映画ですね、笑。
ケイト・ブランシェットって雰囲気のある美人で、ルーニー・マーラはとってもキュートです。


1950年代のNY。
テレーズはデパートのおもちゃ売り場で働いています。
クリスマス間近のある日、娘へのプレゼントを買いにきたキャロルの姿に気づき、目が釘付けになります。
彼女が忘れていった手袋を届けたことをきっかけに二人は昼食を共にすることになり、その時、キャロルは夫と娘の養育権問題で揉めていることをもらします。

キャロルと親しくなり、何度も会うことになったテレーズはキャロルの夫・ハージとも会うことになります。
彼が望んでいるのは、”お飾りの妻”で、離婚には反対でした。
彼は妻と彼女の友だちのアビーとの仲だけではなく、テレーズとの仲も疑っているようでした。
そのため道徳的条項の考慮を申し立て、面会差し止め請求をし、キャロルが娘のリンディに審問まで会えなくし、裁判では共同親権から単独親権へ変更を求めていました。
娘に会えないことにショックを受けたキャロルはテレーズを西への旅に誘います。
その旅で二人は結ばれるのですが・・・。

美しい夫に尽くす模範的妻の役を強いられ、内にある情熱を押し込めて生きていかなければならないキャロルがとても苦しそうでした。
テレーズも男に頼るのではなく、写真で認められるようになりたいと思っているのに、男たちは彼女に貞淑な妻になることを求めます。
1950年代ってまだ女性が自分らしく生きられなかった時代なのですね。

とても美しい映画でした。最後にホッとしました。
この映画に原作があります。ミステリ作家のパトリシア・ハイスミスの「The
Price of Salt」で、1952年に別名義で発表されています。


ポップアップトースターが壊れたので、ボーナスも出たし、思い切って大分前から評判だったバルミューダのオーブントースターを買いました。


お値段の割に軽くてちゃちな感じがします。耐久性はあるのかしら?ちょっと心配です。
上に置いてある5ccの水用カップが小さくて、使うたびにどこにあるのか探しています、笑。

夫が一番最初は普通のトーストを焼いてみればいいのに、チーズや卵やらをパンの上にのせたので、トースターが汚れていました、怒。
そういう時はアルミホイルを下に敷いて、汚れたらきれいにしろよと言いたいですわ。