リース・ボウエン 『巡査さんと村おこしの行方』&『巡査さん、合唱コンテストに出る』2021/01/08

ウエールズ、スランフェア村の巡査さんのシリーズの二作目と三作目です。


八十に手が届こうという年齢のアーバスノット大佐は、妻が亡くなった次の年から毎夏スランフェアにやってきて、好きなだけ新鮮な空気を吸い、丘を散策し、野草や鳥を眺め、大好きな考古学に没頭しています。
ある日、エヴァンたちがパブで飲んでいると、大佐が駆け込んできて、アーサー王の城を見つけたと言うのです。
村のみんなはこの発見に大はしゃぎ。
これでスランフェアが地図に載るとか、本を書いて観光客に売ろうとか、村の名前を変えて世界一長い名前にしようとか、勝手なことを言い合っています。
とりあえず村の集会を開いて、話し合うことになりました。
しかし次の日、郵便屋のエヴァンズが橋の下でアーバスノット大佐の遺体を見つけます。
やってきたワトキンス巡査部長は相変わらずヒューズ警部補の機嫌を損ねないようにしているのか、殺人だと認めません。
エヴァンは前回のことを持ち出して、ワトキンスに頼み、病理学者に詳しく調べてもらうようにします。
エヴァンの直感は何者かが大佐の口を封じようとしたのだと言っていますが、その証拠が見つかりません。

村に新しい住民がやってきました。アニー・ピジョンと娘のジェニーです。
ジェニーが車に轢かれそうになったのを助けたエヴァンは、何かと彼女に頼られて困ってしまいます。
プロンウェンとの関係がまずくなりそう・・・。

もう一人の新しい住民は、父親から農場を相続して20年ぶりに村に戻ってきたテッド・モーガンです。彼は村人のタフ・モーガンの息子で、ロンドンで成功したビジネスマンだということです。
彼は村の集会で爆弾発言をします。古いスレート鉱山を購入し、そこに<呪われた鉱山>というテーマ・パークを建て、そのテーマ・パークと古い農場に建てるホテルをモノレールでつなぐと言うのです。
観光客誘致反対の肉屋のエヴァンズは怒り狂い、テッドに飛びかかる始末でした。
集会の次の日の朝、テッド・モーガンは遺体となって見つかります。
ワトキンスは自殺で処理しようとしますが・・・。

何の関係もなさそうな2つの殺人事件ですが、巡査のエヴァンは遠慮しつつも独自に捜査していきます。



エヴァンはハーレフで開かれるアイステズヴォッド(文学と芸術の祭典)に出ることになります。聖歌隊のバリトンがひとり必要だからと、急遽頼まれたのです。
練習に行ってみると、とんでもない出来で、指揮者のモスティン・フィリップスが気の毒になるぐらいでした。
ところが村出身のオペラ歌手のアイヴァー・スウェリンが村に滞在することになり、聖歌隊で歌ってくれることになります。
アイヴァーはパウエル=ジョーンズ牧師の家を借りますが、そのとばっちりでエヴァンは大変な目に遭います。
というのも、パウエル=ジョーンズ牧師がエヴァンの下宿に滞在することになり、エヴァンの部屋をしばらく使うことになったのです。そのおかげでエヴァンはまずい食事とひどい部屋、牧師のお説教で悩まされることになるのです。

アイヴァーはアイヴァーでとんでもない奴でした。聖歌隊の練習に遅れてきた上にモスティンをからかい怒らせ、滞在している家からは四六時中大音量の歌声と言い争いの声が聞こえてくるのですから。
アイステズヴォッドのリハーサルの日にはアイヴァーは現れませんでした。
怒ったモンティに頼まれ、一緒にアイヴァーの滞在先に行ってみると、なんとアイヴァーは死んでいたのです・・・。

警官だった父親が目の前で殺され、都会に嫌気がさし、田舎の村にやってきたエヴァン。村を徒歩で回り、村人たちと世間話をしていれば5時には帰れる仕事だったはずなのに、次々と殺人事件があり、のんびりする暇もありません。
それにしても村はすごいです。すべての人の動向が筒抜けなんですもの。
エヴァンは人柄もいいんでしょうね。村人から好かれており、村人は何でも話してくれますから。そういえばアガサ・レーズンには誰も何にも話してくれませんでしたね。ウエールズの田舎とイングランドのコッツウォルズのような都会から来た人が住む田舎との違いですかね。

1作目よりも2作目、3作目と読むにしたがい面白くなってきました。
5作目まですぐに読んでしまいそうです。


<今日のわんこ>


弟は遊ぶのが大好きなので、持って来いをやるとこんなにいい笑顔を見せます。
兄は遊ばず、すぐにソファーの上に上がります。何をしたいのだか?