奥田英朗 『コロナと潜水服』2021/02/05

私の頭の中で、著者が奥田さんから伊坂さんになっていて、読み出したら違和感が…。表紙を見直して、この本は伊坂さんではないと頭にインプット。
大丈夫か、私…。
まあ、久しぶりに読む奥田さんですからねぇ(笑)。


5編の短編集です。信じるか信じないかはあなた次第です。日常生活には説明できない不思議がたまにはあります(よね?)。

「海の家」
妻の浮気が許せなくて、葉山に古い民家を借りた小説家。民家を住めるように手を入れていくことに楽しみを見いだしていました。しかし彼はそこにいる見えない存在を感じ始めます。

「ファイトクラブ」
早期退職を勧告され、抵抗していたら工場の倉庫の一角のプレハブ小屋に回された人たち。運動具が使われないで置いてあったので、ボクシングまがいのことを始めたら、そこに現れた一人の男。彼は自分のことは語らず、彼らにボクシングで闘うことを教えていきます。

「占い師」
野球選手と付き合っているのが自慢のフリーアナウンサー、麻衣子。彼が活躍すると、他の女に取られ捨てられるのではないかと心配し、スランプに陥ると、結婚相手としてふさわしくないのではないかと思う始末。事務所の女社長から紹介された占い師のところに行ってみたのですが…。

「コロナと潜水服」
うちの5歳になる息子には不思議な力があるんです。
35歳の会社員・渡辺康彦はコロナに感染したと思い、息子や妻に移さないように自主隔離を始めます。息子と外に行く時には妻が買って来た潜水服を着ていきます。そんな康彦はいつしか評判になり…。

「パンダに乗って」
パンダって動物のパンダではありません。車好きならわかりますよね。「フィアット・パンダ」のことです。「イタリアのコンパクトカーで1980年にデビューし、名匠ジウジアーロによるシンプルで愛らしい外観で世界的にヒットした人気モデル」だそうです。
その初代フィアット・パンダをたまたま新潟の中古車店のホームページで見つけ、買った小林直樹は、わざわざ車を取りに新潟まで行きます。
なかなか爽快な走りをする車で、ナビの通りに走らせていくと…。

どの話も最後がスッキリ、心が暖まる感じです。
1980年代(だと思う)の音楽が出てくるので、聴いてみようかと思いました。
そうそう聞きながら読むのがお勧めかも。
本の奥付の前のページにリストが載っていますので、参考にしてください。