「コーヒーをめぐる冒険」を観る2021/03/08

2012年制作のモノクロ・ドイツ映画で原題は「OH BOY」です。
簡単に言えば「俺はコーヒーが飲みたいんだ!」と言う映画です、笑。
(ネタバレあり)


ニコは起きた早々、彼女と喧嘩別れをしてしまいます。
その後、借りたばかりのアパートに荷物を運び込み、シャワーを浴び、ゆっくりするのかと思ったら、手紙を見て慌てて飛び出して行きます。
行った先は運転免許適正診断室。(こんな所、ドイツにあるのね)
情緒が不安定だという理由で、運転免許証は返却されませんでした。
なんてこったとコーヒーショップでコーヒーを飲もうとすると、お金が足りません。「今日だけまけてくれ」と頼んだら、「ホームレスが殺到しちゃうじゃない」と断られます。

キャッシュコーナーでお金を引き出そうとすると、機械にカードが飲み込まれてしまいます。ホームレスのカップからさっき入れたばかりのお金を取り戻そうとすると、女の子に見咎められてしまい、失敗。
父に電話をしますが、留守電なので、折り返し電話をくれとお願いします。

いじけて寝ていると、上階に住んでいるカールが妻の手作りのミートボールを持って来ます。彼は部屋の中に入りたそうだったので中に入れると、段ボールの中身を見て回り、その中にあった元恋人の写真を見つけ、色々と聞いてきます。
そのうち自分の家族の話を始め、ひとしきり泣いてから帰っていきました。
ミートボールをトイレに捨てるニコ。(トイレがつまんないのかしら?)

役者で友人のマッツェから電話がきます。
一緒に散歩に行くと、クソの臭いがすると文句ばかり。
レストランでコーヒーを頼むと、マシンが壊れていると言われ、飲めず。
女の子が話しかけて来ます。なんと彼女は13年ぶりに会う同級生のユリカでした。彼女は肥満児の通う学校に通っていて、ニコのことが好きだったらしいのですが、ニコは彼女のことをいじめ、彼女は自殺未遂までしていたらしいのです。
今夜劇場でパフォーマンスをするから見に来てと誘われます。

マッツェの友人から電話が来たので、撮影現場に会いに行きます。
ナチの将校の衣装で現れる友人。二人は俳優学校で出会ったようです。
そこにあるコーヒーを飲もうとすると、ポットの中は空っぽ。
撮影を見ていると、父から電話が来ます。

父に会いに、ゴルフ場に行くニコ。
どうも父はニコが内緒にしていたことを知ったようです。
実はニコは二年前に大学の法学部を辞めていたのです。
銀行口座は凍結、援助は打ち切り、と宣言され、最後に何枚かの紙幣を寄越し、「これで仕事を探せ」と追い帰えされます。

切符を買おうとすると、機械が壊れていて買えず。
仕方なく切符を買わずに乗っていると、無賃乗車だと思われ、罰金40ユーロを払えと言われ、逃げるニコ。

家に帰ると、マッツェにマルセルの家に連れて行かれます。
何やらやばい商売をしているマルセル。麻薬を売っているのか?
おばあさんがいるので、挨拶し、勧められた椅子に座り音楽を聴いていると、いつのまにか寝てしまうニコ。
(老人に優しい、いい奴か?)

ユリカの劇場に送れていく二人。
入場を断られるが、無理矢理入りこむ。何やら前衛的な舞踏で、笑い出すマッツェ。上演後、演出家や出演者から抗議を受けます。(当たり前よね)
ニコが劇場の外でタバコを吸っていると、ユリカが現れます。
ニコはユリカの勇気をたたえます。
ニコはユリカに言います。
「周りが変に思えて違和感がある。問題なのは他人じゃなくて自分なんだ」
3人の不良がやってきて、ユリカに絡みます。ユリカは彼らを挑発し、ニコは止めようとして殴られてしまいます。
ニコの怪我の治療をするユリカ。
ユリカは昔ニコに言われたことでどれほど傷ついたかを言います。
(ひどいんですよ。「デブリカ」とか「ゾウ女」とか言ってんです)
彼女はその時無視したけど、今はしない。でも心は昔のままの小さくて太っている、惨めな女の子のままだと言います。
いつしかいい感じになる二人。
トイレで行為に及ぼうとしますが、ユリカが変なことを叫び始めたので、ニコは違和感を感じたと言って途中で止めます。

バーでコーヒーを頼みますが、マシンを洗ってしまったと言われ、飲めず。
仕方なくウオッカとビールを頼みます。(変な注文ですね)
そこで老人に絡まれます。彼はヒットラーの頃の話を始めます。
ある夜、窓ガラスに石が投げつけられ、火事が起こった。通りはガラスの破片ばかりで自転車に乗れなくて泣いた…。(水晶の夜のことか?)
彼はバーを出てすぐに通りで倒れてしまいます。
ニコは救急車に乗り、病院まで着いていきます。(ニコっていい奴ね)
病院でコーヒーを飲もうとしますが、マシンが故障していました。
病院のソファで寝ていると起こされ、老人が亡くなったことと彼の名前がフリードリヒだったことを教えられます。

朝の光の中でやっとコーヒーにありつくニコ。
おめでとう。

ニコはモラトリアム期間なのね。
自分が何者か、何者になりたいのかがわからず、悶々と時を費やしているばかり。普通は大学に通いながら考えるのに、ニコは何故か大学を辞めちゃう。
それでいて仕事をするのも嫌だから、親に黙っていて、仕送りはちゃっかりもらっっちゃう。
老人たちへの接し方を見ると、育ちがよさそうですね。身近におじいさんやおばあさんがいたのでしょうね。
なかなか濃い一日でしたが、彼の中の何かが変ったかしら?
ニコ君がこれからどうするのか、ちょっと心配です、笑。

パリと同様にベルリンもモノクロが似合いますね。