桜木紫乃 『俺と師匠とブルーボーイとストリッパー』2021/03/16

桜もいよいよ咲き、今週末には五分咲きぐらいになるでしょうか?
昨年と同じように早起きをして、見に行きたいと思います。
昨年は一年経っても、こんな感じとは思っていませんでしたけどね。


俺こと名倉章介は、20歳。キャバレー「パラダイス」で16歳から下働きをしています。ついこの間、照明係が店のナンバーワンと駆け落ちしたので、照明係に格上げされました。寮に一人で住んでいます。
父の章二は博打打ちで、散々好き勝手をやって妻子を泣かせたまま、亡くなりました。通夜にも葬式にも行きませんでした。何故か母が寮に骨壺を置いていきました。

師走も迫った頃、店に新しいタレントがやって来ます。
師匠とブルーボーイとストリッパーの三人です。

師匠こと「世界的有名マジシャン」の小男、チャーリー片西はマジックを間違えるのが得意ですが、アナウンスは絶品。今年、長年連れ添った愛妻を亡くしています。
ブルーボーイこと「シャンソン界の大御所」のソコ・シャネルは女装の男性で、見上げるような背の高さ。見かけに騙されてはいけません。ものすごく歌が上手いんです。
ストリッパーこと「今世紀最大級の踊り子」のフラワーひとみは口の悪い中年女性ですが、踊るとフランス人形に変り、見事なステージを行います。

この三人が寮に入ると言い出します。
部屋は三部屋あるはずでしたが、なんだかんだで、使えるのは一部屋のみ。
仕方ないので章介の部屋を師匠と章介で使い、もう一部屋をシャネルとひとみで使うことになりますが、いつのまにか章介の部屋がみんなのたまり場になります。

何の共通点もない四人が、ひょんなことで共同生活を始めます。
家庭の味を知らない章介にとって彼らとの生活は、初めて味わう暖かい心安らぐものでした。
でもそれはいつか終わるもの。
この出会いを胸に、マネージャーの木崎に背中を押され、一歩踏み出す章介に幸あれと願わずにはいられません。

釧路の昭和50年代を生きる少年の成長を描いた心温まる物語です。
ラストに蛇足かなと思うところもありましたが、ウルル…ときます。

この本は第13回新井賞を受賞したそうですが、新井賞って何でしょう?
調べてみると、「書店員・新井見枝香さんが個人的に推したいと選定した本」だそうです。
芥川賞と直木賞が発表される日に発表されるそうですが、この本、まだ発売されていなかったはずです。
カリスマ書店員になると、ゲラが送られてくるそうなので、それで読んだのでしょうね。役得ですね。羨ましい。


ホワイトデーで夫がゴディバのチョコを買ってきました。


チョコレートなら私はトリュフが大好きです。
夫はトリュフって何って感じかな?
ありがたく半分食べさせていただきました。

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