長岡弘樹 『幕間のモノローグ』2021/03/18



『教場』の風間公親にあたるのが今回の主人公の南雲草介です。
南雲は『二十一世紀アクターズスクール』の俳優・タレント科の講師で、現役のプロ俳優。
彼が教えた8人の生徒たちがドラマや映画の撮影中に起こした事件やトラブルを見抜き、さりげなく解決への道を指し示していきます。

第一章「沈黙のスピーチ」:オーディションに落ちまくり、もう役者の道を諦めようとした学生に南雲が与えたレッスンとは。
第二章「殺陣の向こう側」:殺陣の切られ役が顔出しのチャンスなのに、カメラに背を向けて倒れた理由は。
第三章「汚れ役の歌」:スーパーで万引き係のバイトをしている元女優に南雲が与えたオーディションとは。
第四章「黒い代役」:ひき逃げをしてしまった技術者役の俳優が本番で何回もとちってしまうわけは。
第五章「白紙の応援団」:俳優のマネージャーが見知らぬ男性を助けるためにわざわざ自動車事故に遭ったのは何故か。
第六章「湿った密室」:特撮ものの主役を奪われた俳優が何故イントレ(移動式の足場)から飛び降りて自殺したのか。
第七章「歪んだ凶弾」:女優の付き人がマスコミに犯行声明を出し続けた理由。
第八章「ヘッドボイスの行方」:俳優志望の男が事故で足を痛め、脚本家になり、イメージに合わない俳優をおろそうとするが、南雲は『二十一世紀アクターズスクール』に来てくれと言う。その真意は?

南雲さんって不思議な人ですね。
人をジッと観察することやホームズのように謎解きが趣味なんでしょうか。
彼自身に関する秘密も明かされていますが、シリーズになるんでしょうね。
読みやすい作品ではありますが、『教場』ほどのインパクトはありませんでした。
俳優の養成所でどんなレッスンをやっているのかが垣間見られて、そこが興味深かったです。