Ann Cleeves 『WILD FIRE』2021/03/26

シェットランド・シリーズの最終巻を読みました。
日本語の題名がどんな感じか気になります。『火の〇〇』なんでしょうが、何でしょうね。


背景がシェットランド島みたいなものを載せておきました。
こんな感じのところで、事件が起こりすぎですね、笑。

昨年の夏の終わりにシェットランドにやってきたDaniel & Helena Fleming夫妻の家の牛舎で、首を吊った女性の死体が見つかります。
その死体は24歳のEmma Shearerのもので、彼女は住み込みでRobert &  Belle  Moncriff夫妻の4人の子供の世話をしていました。
状況から考えて他殺でした。
インヴァネス署のペレスの上司に当たるウィロー・リーヴズに来てもらわなければなりませんが、ペレスは連絡するのを躊躇していました。実は二人は恋人同士で、そのことは秘密にしています。
ペレスはまだ元婚約者の死を克服してはおらず、自分は幸せになってはいけないという思いがあって、ウィローとの関係をどうしたらいいのか、決められずにいたのです。

シェットランドにやって来たウィローはペレスに衝撃の告白をします。
ペレスは混乱し、考えるために、ウィローから距離を置いてしまいます。
捜査のために協力をしていかなければならないのに、二人の間はギクシャクしてしまいます。

エマはオークニー出身。父親は妻を殴って逮捕され、刑務所に入り、そこで亡くなりました。母親は父親が刑務所に入ってから病気に罹り、しばらくして亡くなり、エマは2人の弟たちの面倒をみていました。
現在、弟たちは大学に通っていたり、シェフになったりしていますが、育った環境のためかそれぞれ精神的に何らかの問題があるようです。
エマは7年前にオークニーの医師からMoncliff家を紹介され、シェットランドに来ました。Moncliff家には十代の2人の子どもと8歳の2人の子どもがいます。父親のロバートは医師で、母親のベルはフリーでPRの仕事をしています。二人は子供をエマに任せっきりで、放任していました。
エマは廃棄物発電所に勤めているMagnie Riddleと付き合っていたようですが、母親が付き合いに反対していました。
特に親しい女友だちはいないようです。
ペレスたちはなかなかエマの実像が描けず、苦労します。

実はエマの死体が見つかった牛舎では、Fleming一家が引越してきてすぐに、元家主だったDennis Gearが首を吊って自殺していました。それを見つけたのが建築家の夫のダニエルで、それ以来彼は非社交的で精神的に脆くなっていました。後から彼はエマにご執心していたことがわかります。
妻のヘレナはロンドンから来た成功したデザイナーで、シェットランドウールを使い衣類を作っています。ベルがPRの件で手伝うようになっていました。
子供は2人いて、11歳のクリストファーは自閉症。火に執着しており、学校の紙くずに火を点けたので、周りから危ない変な子と見られています。
下の子の7歳のエリーは落ちつきのない女の子です。
家を改築したからか、ヘレナの成功へのやっかみからか、クリストファーへのさげすみからか、町の人々はFleming一家を受け入れていませんでした。

事件の前日にヘレナはペレスを訪ねていました。
彼女はフランとロンドンのパーティで会ったことがあり、フランの絵が好きで、それでシェットランドにやって来たとのことでした。
そんなことから警察署ではなく、個人的にペレスのところに来たのです。
彼女曰く、一ヶ月前に彼らの家にグラフ用紙に書かれた絞首台の絵が置いてあった、先週は息子の鞄の中に首吊り縄のある絞首台の絵が入っていた、そして昨日はシェットランドタイムズの中に首を吊っている男の絵が入っていたというのです。
一体誰がこの絵を描いたのか、そしてエマの事件と何か関係があるのか、調べ始めるペレスです。

ペレスはウィローを避け、単独行動をするようになります。
ウィローはそんなペレスの様子を見て、私は強い女なので独りでもやっていけるわなんて思ったり…。
サンディは何かおかしいなぁとは思いますが、それ以上には考えがおよびません。そんなことより、自分が幸せだからね、笑。

なかなか解決への糸口は見つかりません。
そうこうするうちにまた殺人が起こります。
そして、ある証言からウィローが犯人を正しく推測しますが、事件は悲しい結末へ…。

このシリーズは人々の話から犯人を探るというものです。
伏線は書かれていますが、私は気づかずに読み飛ばしています(恥)。
狭い島の人間関係って、本当に面倒ですね。
どこでもそうでしょうが、観光に行けば村人たちは親切ですが、住んでみると誰でもFleming家のようになる可能性がありますよね。

それにしてもウィローは勝手な人だと思います。
ペレスが優柔不断だということもありますが、二人で話し合って、そうなったというのならわかりますが、本能のおもむくまま行動しちゃって、ペレスにそれを受け入れろはないでしょう。
ペレスはウィローみたいに衝動的な人ではなくて、熟考型なので、時間をかけ話し合って決めて欲しかったと思います。
最後にペレスが心を決め、故郷の島へ向かうフェリーの上でウィローに告げたのに、ウィローの気持ちがはっきりせず、意味深な終わり方です。
ペレスは責任感がありますから、彼なりに協力するとは思いますが。

長かったシェットランド・シリーズはこれで終わりです。
最後なのにあまりペレスとウィローのことやサンディのことが書かれていなくて残念でした。
日本語訳は今年の秋ぐらいに出版でしょうか。
ウィローの衝撃の告白が何か、わかる人にはわかると思いますが、お楽しみに。
もしも犯人がわかったら、すごいです。

そうそう、テレビ・シリーズになっているようなので、ペレスやウィロー、サンディがどんな感じか載せておきます。


私のイメージとは違います。
ペレスが年寄りっぽく、ウィローは普通の若い女性ですね。ウィローはもっと年を取った、ひどい服装の女性かと思ってたわ。(ごめん、私、ウィローって好きじゃないの)
サンディはもっとハンサムな俳優さんだったらいいのに、笑。