大野更紗 『シャバはつらいよ』2021/05/03

散歩中に見た花シリーズ。


色が独特です。たぶんアフリカキンセンカの一種だと思うのだけど…?


これはウツギの一種かな?
結構知らない花がいっぱい咲いているので、何の花か調べるのが楽しいです。



大野さんの本は『困ってるひと』を読んでいますが、その後がどうなったのか気になったので読んでみました。
2010年6月末から2013年4月までの様子が描かれているようです。

大野さんはミャンマー難民支援や民主化運動に関心を持ち大学院に入ったのですが、病に倒れてしまいます。
なかなか病名もつかず、困っていましたが、やっと「皮膚筋炎」と「筋膜炎脂肪織炎症候群」という病名がつきます。
「自己免疫疾患」で、本人曰く「全身の免疫システムが暴走して、自分自身を攻撃するという類の病」だそうで、原因がわからない、治療方法もわからない「難病」です。
この本には通算九ヶ月間の入院を経て退院してからのことが書かれています。
入院中に色々とあったので、退院後は「一人で生きていく」と決めたようですが…。

入院していると「特定疾患」を申請しても月に12万円ほどかかったそうです。
大野さんはご両親が働いているので払えますが、もしお金がなかったら、どうなるのでしょうね。
退院後、病院まで歩いて2、3分のところに部屋を借りて住み始めます。
ご両親の住んでいる福島には病気を治せる医者がいないから仕方がないのです。
ヘルパーを一日一時間頼めることになったそうですが、それにしても日本の福祉って厳しいですね。大野さんのような人でもヘルパーが一時間ですか。
自分ではできない家事を頼むと一時間なんてすぐに終わってしまいますよ。
寝たきりではないので、やれることは自分でやれということなのでしょうか。

Twitterっていうのはやったことがないので、わからないのですが、何かつぶやくと、それを読んだ人が助けに来てくれることがあるんですね。
大野さんはTwitterに大分助けられています。親切な人っているんですね。
定期的にというのが負担でも、たまたま時間が空いていたり、気が向いた時になら人助けができることがありますものね。
Twitterができなくても、その時に必要な助けを求める術は何かないでしょうか。

2011年3月11日には区の相談支援担当の職員の方が安否確認に来てくれたそうです。どこの区にお住まいかわかりませんが、区によってはこういうこともしてくれるのですね。私の区はどうなのかしら?
Twitterで『おせっかい、高齢者、障碍者、難病患者、周辺近所に声をかけまくって』、『ステロイド、透析、血液製剤、免疫抑制剤等、医療行為・薬品が生命維持に毎日不可欠なひとのライン確保を』とつぶやいたそうです。
これは大野さんだからこそわかることですね。
病気のない元気な人にはわからないことです。
人に迷惑をかけないように、ひっそりと生きていくのもいいのですが、有事の時は声を上げないとわからないことがあるので、声を上げていくことも大事ですね。

色々と大変なことがあっても、それをサラッと書いているところが読んでいても好感が持てます。
シャバで移動する時は杖を使い、ヘトヘトになりながらだったので、電動車椅子を買うことにして、やっと届いた所で終わっていますが、その後が気になりました。
車椅子で色々な場所に行けるようになったのかしら?
あとがきに2013年4月に別の大学の大学院に入り直し、社会保障のシステムの勉強を始めたと書いてありましたが、今は何をなさっているのでしょうか。
調べてみると、今年の4月に東京大学医科学研究所公共政策研究分野特任研究員になったようで、ずっと研究中心の生活をなさっているようです。
お元気そうで、何よりです。