「私の小さなお葬式」を観る2021/05/14

ロシア映画って、この頃観たことないかも。昔観たことのあるのはタルコフスキーぐらい。
というわけで、ロシア映画に挑戦してみました。


日本語版(↑)とロシア語版(↓)のポスターです。


日本の映画ポスターは高齢の女性客を狙った感じで悪くはないのですが、私はロシアの方が好きです。こちらの方が元気が出る感じですもの、笑。
なんで魚を持っているのかしら?と思うでしょうけど、映画を観たらわかります。
(ネタバレあり)

元教師のエレーナは73歳。
一人暮らしをしており、都会で怪しい(失礼)セミナーを主宰している息子はここのところ5年も帰ってきていません。
病院に行くと、ショックなことを聞かされます。
心悸亢進で、心臓がいつ止まるかわからないと言うのです。
病院からの帰り道で、教え子のワレーラが大きい鯉をくれます。
ワレーラからもらった鯉を持って家に入ろうとすると、隣のリュドミラ(リューダ)が手伝おうかと言って来ますが、エレーナは断ります。
「いつも一人でやろうとするんだから」と嫌みを言われちゃいます。
リューダはエレーナのことが気にかかるようです。

エレーナは家で気分が悪くなり、気を失ってしまいます。
呼ばれた息子のオレクが病院にやってきて、家まで送ってくれます。
エレーナに何で病気のことを教えてくれなかったのか聞くオレク。
エレーナはそれを無視して、ソーセージやら肉やらを食べさせようとします。
母親あるあるですね、笑。
オレクは仕事の電話で呼び出され、2日後にまた来ると言って、お金を置いて帰っていきます。
息子がいなくなって、何やら考え込むエレーナ。
息子からもらったお金をへそくりの中に入れ、自分のお葬式について書き始めます。

夜中に寝ていると、物音が聞こえました。
行ってみると、シンクで鯉がはね、外に出ていました。
この鯉、凍ってなかったっけ?
大きいたらいを持ってきて、鯉を入れます。

エレーナは自分で自分の葬式の準備をすることにしたようです。
バスに乗り、出かけた先は戸籍登録所。埋葬許可書をもらおうというのです。
でも女性職員はそっけなく、死亡診断書がないから駄目ですよと言います。
オイオイ、本人を目の前にして言うかよ、笑。
それでエレーナは遺体安置所に行き、教え子のセルゲイに息子が忙しくて手続きができないので、自分で葬式の手配をしたいと告げ、こっそり書類を書かせます。
まだ死んでないのに、書いちゃうの…。
そしてまた戸籍登録所に行き、無事に手続きをすませます。
チョコレートが賄賂か、安いな、笑。
次に行ったのは、葬儀屋。
真っ赤な棺桶を選び、お持ち帰り。
バスに乗せたので、バスの乗客たちはびっくり!
若い女の子が面白がって、棺桶にまたがり写真を撮ります。

次の日、墓堀人に夫の墓の隣を掘らせます。
そのついでに鯉のためのミミズ捕り、笑。
隣人の男の子には買い物の手伝いをしてもらいました。
教え子の小間物屋のスヴェータの所で買い物をしていると、元オルクの彼女のナターシャが酔っ払い男と一緒に現れます。
二人は酒を巡って殴り合いを始めます。
あのままオルクと付き合っていたら、ナターシャの人生も変っていたのかしら?

料理を作ろうと思っていたら、リューダたち友人三人が押しかけてきて、一緒に料理を作ってくれます。
「火葬しないでね」と念を押すエレーナ。
彼女たちが帰ってからお化粧をし、ドレスを着て、「恋のバカンス」(ザ・ピーナッツのロシア語版)を流し、踊ります。
そして寝るのですが…。

夜中に鯉がまた飛び出していました。
外は嵐で、雷が落ち、木が燃えています。
エレーナはなかなか死ねないので、リューダに家に来てもらい、殺してくれと頼みます。
ベッドに横になるので、枕を顔におしつけてくれというのですが、いや~、頼まれてもできませんよね。
リューダはもちろん断ります。
じゃあ、ということで、携帯にエレーナが殺人を頼んだと証言した動画を撮ることにします。
さて、もう一度ということになったのですが、やっぱり無理。
そしてどうなったかというと、流石ロシア。二人はウオッカを飲み始めたのです。
作った料理もあったので、いいつまみよね、笑。
しばらくして、具合が悪くなったエレーヌは寝ます。(酔っ払ったのね)
リューダはエレーヌの眼鏡を取り、明かりを消し出て行きますが、ついでにオレクに「すぐ帰りな。母さん、死ぬよ」とメールをします。

夜中にオレクがやってきます。ちゃんとメールを読んだのね。
死亡証明書を見て、間に合わなかったと泣き出すオレク。
「許してくれ、まだ時間があると思ったんだ。もっと話がしたかった。愛してる…」と言っている時に、酒臭いことに気づきます。
目が覚めたエレーヌが説明しようとするのですが、怒ったオレクは聞こうとしません。荷物をまとめろ、施設に行くんだと言い出します。
そんなこんなで言い合っているうちに、車のキーが鯉の住んでいるたらいの中に落ちてしまいます。
そうすると、鯉さんは見事にキーを飲み込んでくれました、笑。
オレクは鯉を殺そうとしますが、エレーヌは必死に止めます。
鯉のお腹を押して車の扉を開けようとしますが、開きません、笑。

翌朝、獣医のところに行き、鍵の取り出し方を聞きますが、獣医は鯉の腹を切り裂くか、新車を買うかですねぇというばかり、笑。
可哀想に思ったのか、釣り餌に料理用のスパイスを入れると下剤になると教えてくれました。魚も下痢をするのかしら?
二人で小間物屋に行ってスパイスを買っていると、またナターシャがやって来ます。彼女はオレクに気づくと、口紅をつけます。女心ですねぇ。
そんなナターシャに、また男が金を寄越せと言って掴みかかります。
オレクはナターシャを助けますが、「これが私の日常よ」と言うナターシャがせつないですねぇ。

家に帰り、食事をする二人。
ナターシャとの付き合いをエレーヌが反対したので、オレクは付き合うのを止めたようです。
「ここにいるのは酔っ払いか老人だけ。都会に行ってよかったわ。幸せかい」と息子に聞くエレーヌ。
オレクはムシャムシャと美味しそうに母親の手料理を食べています。
その顔をジッと見つめるエレーヌ。息子を心から愛しているのですね。

夜中にオレクは起き、タバコがないかと引き出しをあさります。
ナターシャの若い頃の写真が入っていました。
セーターの中にタバコがあることに気付き、外で吸うオレク。

翌朝、オレクは鯉を川に放してやります…。

大きな眼鏡にベレー帽がチャーミングなエレーヌ。
息子が頼りにならないからと、自分でお葬式の用意をしちゃうなんて、すごいおばあちゃんです。
マリーナ・ネヨーロワという女優さんが演じていますが、ロシアでは知らない人がいない名女優とのことです。
そうそう、役所の職員役の女性も印象的でした。ナタリヤ・スルコワという人で、あんな職員、いそうですね、笑。
女優さんたちが存在感をビンビンに出していましたが、なんといっても一番は鯉さんでした。
原題が「Карп отмороженный」で、日本語では「解凍された鯉」だそうですものwww。(日本語の題名はかすってもいませんね)

ザ・ピーナッツのロシア語版「鯉のバカンス(каникулы любви」は、ア、「恋」の間違いですが(笑)、ロシア人の中では日本の歌だと知らない人がいて、世代を超えた有名な曲だとか。意外ですね。

ロシアのコメディもなかなか面白かったです。
最後にエレーヌがどうなったのかは、あなた次第です。