「好きにならずにいられない」を観る2021/05/17

今回の映画の題名も何でこうなったのという感じのものです。
原題は「フーシ」。制作国はアイスランドとデンマーク。
(ネタバレあり)


フーシは43歳。ポスターのように太っていて頭の毛が薄く、全く身なりに気をつかっていません。仕事は空港の荷物係をしています。
戦場のジオラマ作りやラジコンが趣味というオタクです。
母親と彼女の恋人のロルフと一緒に暮らしています。

ロルフはフーシのことを心配して(たぶん)、人生を楽しめ、ネットでいい女を見つけろとハッパをかけます。
実はフーシは奥手で今も童貞です。
職場でも同僚にあいつはセックスをしたことがあるのかとか、ひどい髪の毛だとか色々言われています。
フーシは言い返しません。そのためいじめは益々ひどくなっていきます。
いじめに気づいた上司に聞かれても、フーシはからかわれているだけだと言うばかり。
アパートに引越してきた少女・ヘラから、「大人なのになんで奥さんも恋人もいないの」と尋ねられる始末です。

こんなフーシの誕生日に母親たちは帽子とダンスのレッスン券をプレゼントします。
フーシは帽子をかぶり、お洒落をしてダンスのレッスンに行きますが、みんなが楽しそうにしているのを見て怖じ気づき、車の中でレッスンが終わるまで時間を潰してから帰ることにします。
レッスンが終わったようなので帰ろうとすると、シェブンという女性が吹雪いているので家まで送ってくれと言ってきます。
送って行った後で、今日のお礼で面倒をみるから、来週レッスンに来たらと言われます。

フーシはシェブンと約束したからと、翌週ダンスのレッスンに行きます。
レッスンの後、フーシはシェブンといつものタイ料理屋で食事をしてから家まで送っていきます。
シェブンにお茶を誘われ、最初は断ったのですが、フーシは思い切って家に入っていきます。まさかお茶ではなくミルクが飲みたかったから?
シェヴンは花屋で働いており、旅が好きだと話しました。
フーシは話を真に受け、シェヴンのためにエジプト旅行の計画を立てます。
シェヴンに旅行のことを言おうと花屋に行くと、シェヴンはいません。
彼女は花屋で働いていると嘘を言っていたのです。
もちろん旅行もフーシの勘違いでした。

同僚がフーシに車の調子が悪いから見て欲しいと言ってきます。
フーシはバカですねぇ。同僚は修理を店に頼んだらお金がかかるから、フーシに頼んでいるのにね。
この前シャワー室でしたことをフーシに謝ってきて、パーティに誘ってきたので、フーシは気をゆるしてしまいます。おいおい、大丈夫かぁ。
パーティに行くと、やってきたのはストリッパー。
脱いだ後、同僚は彼女にお金を渡し、フーシと〇〇〇するように頼みます。
やっぱりねぇ。

翌日、フーシは仕事に行きませんでした。
ドライブしようと外に出ると、ヘラがやってきて遊ぼうと言います。
フーシはヘラとドライブに行きますが、アパートに帰ると警察官がいて、フーシは誘拐容疑で警察署に連れて行かれます。
警察ではどんな遊びをするのか、しつこく聞かれます。
第二次世界大戦ゲームなんて言っても、信じられませんよね、笑。
これ以降、フーシは危ない中年男性として周りから見られるようになってしまいます。

ダンスのレッスンに行ってもシェヴンは現れません。
心配になったフーシはシェヴンの家を見張ります。
シェヴンは家に引き籠もっているようです。
フーシは家に押し入り、猫に餌をやり、朝食を作り、掃除機をかけ、大工仕事をし…様々なことをシェヴンのためにしてあげます。
シェヴンはゴミ収集の仕事をしており、無断で休んだので首になることを恐れていました。
フーシは自分の職場に休暇を申しで、シェヴンの職場には彼女が躁鬱病を患っておりしばらく仕事ができないので、代わりに自分がゴミ収集の仕事をすると言って納得してもらいます。
同僚の外国人労働者たちがとってもいい人たちです。

家に戻ると、母の彼氏のロルフが出て行ってしまったとのこと。
普通は43歳の息子に彼女が出来たというと喜ぶと思うのですが、この母親、ひどいです。彼が出て行ったのはフーシのせいではないのに。
「あんなゴミ女、いつまで追いかけるつもり。彼女は料理はしないのね、何が上手いの。ママを置いていくつもりなのね」などと言っている姿にはゾッとしました。
フーシがこんな風になったのも母親の影響があるのかもしれませんね。

鬱状態になっていたシェヴンはやっと浮上しました。
フーシと関係を持った後、一緒に暮らさないかとまで言い出します。
フーシが母を一人にしておけないので、しばらく待ってくれと言うと、「私は15で家を出たわ。40代になっても母親と離れられないなんて、どうかしているわ」と呆れられ、捨てられそうになったので、フーシは一緒に暮らす決心をします。
しかし、フーシがその気になって荷物を運んで行くと、シェヴンは心変わりをしていました。一時の躁状態だったのね。
15歳で家を出たというのだから、何かあったのね。
ホント、フーシって運がないわね。でも二人は一緒にいない方がよかったわよね。

フーシのもとに残ったのは、シェヴンのための鍵と航空券。
鍵はシェヴンの家のポストに入れ、空港に向かい、飛行機に乗り込みます。
やっとフーシ、独り立ちか?

最後まで映画を観ても、「好きにならずにいられな」くはなりませんでした。
(邦題と日本版ポスターが嫌いにならずにいられないです、笑)
まあ、こんな男性いるわよね。やっぱり見かけは大事よね。いい人なのはわかるけど…と女性は思うでしょう。
ちょっとオタクな男性が見ると、身につまされる映画かもしれません。

北欧の映画賞で主演男優賞を総ナメ。2015年北欧映画No.1の「第12回ノルディック映画賞受賞した映画だそうです。
グンナル・ヨンソン氏の自然な演技がよかったのでしょうね。
彼はアイスランドのコメディアンで、アイスランド版モンティ・パイソンだそうです。